シュワルベのタイヤに「こぶ」ができたことのある方は多いかもしれません。この「こぶ」の現れかたにはいくつかのパターンがあるようですが、どれも原因は同じようです。
いろんなタイプのこぶ
下は私が2010年に経験した、SCHWALBE KOJAK 20×1.35(ワイヤービード)の不良です。舗装路を走っていて突然ものすごい突き上げを感じて、見たところこんなふうに「きゅうり」みたいに変形していました。
下はメーカー不明ですがアメリカの方が海外掲示板redditに投稿していた写真(※シュワルベではありません)。これを見るとわかりやすいのですが、結局、グネグネと変形する理由は、どこかに「こぶ」ができてしまい、その結果タイヤの他の部分がひっぱられてグネグネしてしまう、ということのようです。
Twitterで、シュワルベ・マラソンのサイドウォールにできた「こぶ」の写真を共有していただきました。これは私も最近愛用しはじめたタイヤで、最初に購入したペアが初期不良でした(こぶはなかったのですが、変形がありました)。
シュワルベは色々とありそうですね。私も交換して2か月ほどで写真のようにボコっと膨れているのを発見。調べるとケーシングに穴あいてるわけではなくて、ケーシングの層の中で気体が発生して、風船のように膨らんでいるようです。使用に問題はなさそうですが、気分のいいものではないですね。。。 pic.twitter.com/EmY9OiR03F
— ぱんだこω (@black_kuroda) December 23, 2019
インナーチューブが破裂することも
しかしこの「こぶ」が発生したタイヤは、使わないほうが良さそうです。
シュワルベは今から10年前の2009年、Ultremo Rというタイヤをリコールしています。
出典 Schwalbe Issues Notice on Ultremo R Tires – Bicycle Retailer
そこにはこんなことが書かれています。
シュワルベがUltremo Rタイヤのいくつかについて膨張(bulge, =ふくらみ、こぶ、隆起)に関する告知をしています。製造過程におけるミスにより、影響を受けたタイヤのカーカス層が十分にラバライズ(rubberize, ゴム加工)されていませんでした。
これらのタイヤのうちいくつかは使用開始後、短期間で、カーカス層が剥離したことによる膨らみがはっきりと視認できるようになります。この現象を示したUltremo Rタイヤはいかなる場合も継続使用してはいけません。これらのタイヤはすぐに交換する必要があります。そのようにしない場合、カーカス層が擦り切れ、その結果インナーチューブが破裂するため、甚大な結果に至る可能性があります。
ライド中にこの膨らみに気づいた場合、どのような場合でもスピードを出してはいけません。この場合は空気圧を必要最低限まで落とし、低速で注意深く乗るようにして下さい。
それは下の写真のような膨らみでした。
しかしアルトレモ以外でも、
- Schwalbe One
- Stelvio(旧製品)
- Lugano
- Land Cruiser
- Marathon
- Kojak
等々、様々な同社製タイヤでこの現象が見られています。もはやどの製品、ということはないレベルです。
シュワルベの場合は10年前からある
シュワルベはむかし韓国製だったこともあるようですが、最近のマラソンはインドネシア製だったので、特定の工場というより製法にずっと何らかの問題があるのかもしれません。
シュワルベ・マラソンについてはトレッド面が非常に固いので(雨でスリップしやすいのもそれと関係があるらしい)、そのためにサイドウォールにこの「こぶ」ができてもタイヤ全体は歪みにくいのかもしれません。
とはいえ、使い続けているといずれはインナーチューブが破れることが多いらしく、仮にフロントタイヤでこれが起こると大きい事故に繋がる恐れがあるので、やはりすぐに交換したほうが良いように思われます。
シュワルベのこのタイプの不良については、”bulge in schwalbe tyre”で検索すると英語圏の情報が大量にヒットします。
- Schwalbe Issues Notice on Ultremo R Tires – Bicycle Retailer (2009)
- Bulge in Schwalbe tyre – Cycling UK Forum (2010)
- Schwalbe Lugano – Crappy Tire? – Bike Forums (2013)
- Schwalbe Marathon Bulges – Cycling UK Forum (2018)
- Slight bulge in new tyre – thoughts on safety? – Bikeradar (2019)
少なくとも10年は発生し続けている事象であり、2009年にはこの症状を出したアルトレモについてはリコールされているわけなので、最近買ったシュワルベタイヤがこんな感じになった、という場合は普通にメーカーが交換に応じてくれると思います(これを交換してくれないようならもうシュワルベのタイヤは誰も一生買わないでしょう)。
マラソンをはじめ、他のタイヤでは正式なリコール告知が出てないように見えるので、その点は若干不親切かな、という気がします。
シュワルベ特有の現象ではない
なおこの「こぶ」については、必ずしもシュワルベのタイヤでのみ発生するわけではなく、コンチネンタルやブリヂストンのクルマ用タイヤでの事例もたくさん見つかります(”bulge in tyre”や”bubble in tyre”で画像検索するとおもしろい例をたくさん見ることができます)。
タイヤ製造においては避けられないタイプの不良なのでしょう。
ちなみに筆者はこうした出来事があった後でも、多くのシュワルベタイヤを愛用しています。この「こぶ」以外にも品質面で安定していないなぁ、と思わされることは多いのですが、それでも使いやすく便利で高性能なモデルが多いためです。不良品に当たった時はおとなしく返品して新しい製品を送ってもらうのが良いと思います。Amazonで何度か返品交換してもらいましたが、面倒な手続きや質問が一切ないので助かります。