こんにちは、CBN Blogのウェブマスターです。いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。
これをお読みの皆様はたぶん1万円の自転車には乗っていないと思いますが、amazonの「折りたたみ自転車」の売れ筋ランキングでNo.1になっている自転車がどんなものか、ちょっと興味ありませんか。
というわけでご一緒に観察して参りましょう。本記事の執筆時点(2020年1月17日)で、amazon販売の折りたたみ自転車でいちばん売れているのがこれ。
参考 折りたたみ自転車 カゴ付 20インチ P-008N おしゃれなS字フレーム シマノ外装6段ギア フロントLEDライト・ワイヤーロック錠付き (ミニベロ/折り畳み自転車/軽快車/自転車)
価格は¥10,380(送料無料)。ほぼ1万円です。キャッシュレス決済なら消費者還元5%が効くので¥9,861と、アンダー1万円の自転車です。
THREE STONE P-008N
この自転車、車体には「THREE STONE」とプリントされています。ブランドなどあってないようなものかもしれませんが、これがブランド名に該当するのでしょう。富山県にある「株式会社アイジュ」という会社が運営している「THREE STONE」というお店が売っているようです。モデル名は、恐らく「P-008N」でしょうか。
見た目は結構悪くないような気がします。カラーは全5色。
また第4位にも「AIJYU CYCLE」というものがランクインしているので、このメーカーの自転車はかなり一般層に売れているのではないかと推測します。日本の格安自転車界の影のドンだったりして…
車重16kg コンポはShimano Tourney TZ(6速)
スペックを見ると、フレーム素材は「スチール」とあります。恐らく「ハイテン」と呼ばれるハイテンション鋼でしょう。本格スポーツタイプの自転車で使われている高級クロモリ(クロームモリブデン鋼)とは同じ成分ではないでしょうし、あくまで想像ですが、まぁちょっと柔らかめに仕上がっているのではないでしょうか。
ホイールもタイヤもメーカーや銘柄はまったくわかりません。
唯一メーカー名が記載されているパーツはシマノ。「安心のシマノ製6段変速サムシフト」や「安心のシマノ製6段ギア&ディレイラー」という文句が踊っています。
商品画像を見る限り、Shimano Tourney TZ 6 speedが搭載されているようです。
Tourney TZはシマノのコンポーネントの中ではMTBカテゴリに属し、その中でいちばんグレードの低いモデルです。
なら性能が悪いかというとそんなことは多分なくて、「シマノは最下級グレードのターニーであっても無名中華コンポーネントよりも正確に動作し、耐久性も高い」という評判を国内外のウェブサイトで目にしますし、実際そうなんだろうと思います。
ブレーキはフロントがキャリパーで、リアがバンド式(ドラムブレーキ。ママチャリでよく使われているタイプ)。
ホイールは20インチ。ETRTOは記載されていません。
そして車重は16kg。恐らく付属のロックやライトなどは含まない数字であると思われます。
買った方々の感想
この自転車を実際に買われた方によるネガティブ評価を眺めると、次のような問題があるようでした。
- ホイールのリムに陥没があった
- フロントバスケットの固定金具がありえないほど錆びていた
- ヘッド内径の公差が大きいらしく、ステムがガタつく
送料込みで¥9,861という値段を考えると、もう何があっても仕方ないかな、という気はしますが、個人的には前カゴ金具のサビは、実際に写真を見るとちょっと許容できない感じでした。
しかしリム面の傷や、ヘッドチューブの精度が出ていない、というのはもっと高い自転車でもしばしばあることなので、1万円の自転車ならなおさら仕方ないかな、という気はします。
ちなみにヘッド内径が広すぎてステムがユルユルな場合は、カーボン・アセンブリー・コンパウンドを塗ると解決します(スチール製品でも使える技です)。
いちばん入手しやすい製品だとFINISH LINEの「ファイバーグリップ」でしょうか。
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ハンドルがガタつく、というのはパーツの精度が出ていないからでしょう。あるいはボルト類が必要十分な力で締められていないから。そのあたりを自転車屋さんに依頼してチェック…してもらうと、3,000円とか5,000円くらいするのではないでしょうか。
どこまで快適にチューンナップできるか
この激安自転車、何をどうすればより快適に乗れるでしょうか(吊るしの状態で快適でないと仮定した場合)。
もう一度写真を見てみましょう。
まずサドルもっと上げましょう、というのは、ありますよね。大人が乗るのであれば、このサドルの高さはないです。ステムが枝分かれしているくらいのところまで引き上げてみると、だいぶ違ってきますよね(というかそれで足がペダルに届かなければハンドルを下げたほうが良いでしょう)。
このサドルポジションは普通ではない、ということが世の中にもっと広まれば、みんなもっと「自転車はこんなに軽やかに走れるものなのか」と、新しい発見をすることになると思うのですが、なぜか小中学校では教えてもらえない知識です。私自身も、スポーツ自転車を買ってはじめて気付いたことでした。
あとは車重が16kgとスーパーヘビー級なので、まずキックスタンドを外す。そしてサドルをもっと軽量なものに交換し(このサドルはかなり重いはず)、前カゴと前後の泥除けを外してしまいましょう… って、この自転車を買う人はスタンドもカゴも泥よけも必要でしょうから、それは無理か。
せめてサドルだけもっと軽いものにすると良いのではないか。バネ付きなので重いはずです。同じくらい乗り心地が良くて数百グラム軽いサドルは、たくさんあるでしょう。あと簡単にできそうな軽量化は、ペダルでしょうか。これもきっととても重いはず。
それでも劇的に軽量化できそうには、見えません。仮にサドルとペダルを軽量なものに交換して、前カゴと前後フェンダーを外したとしても、1kgは軽くなると思いますが2kgは軽くならないでしょう。頑張って1.5kg程度でしょうか。すると14.5kgくらいまで軽くすることはできそうです。
16kgが14.5kgになるだけでもだいぶ違うと思いますが、このあたりが激安自転車の限界という気がします。
重量面以外に、もし乗っていて「あまり進まない」とか「鈍重だ」と感じるようであれば、それはフレームに使われている鉄の素材や、ホイールのスポークテンションに原因があると思います。
ホイールのスポークテンションを調整すれば…って、この自転車を買う方には全く意味がわからない話かもしれません。
そして回転部品。ホイールのハブやクランク回りのベアリング。これをちゃんとグリスで潤滑してあげて、もし締めすぎだったら加減を調整して… というような作業は、お店に依頼すると1万円以上するでしょう。
でもぱっと見た目、構造的に何かおかしいところがある自転車には見えないですし、もし素材やパーツの精度が最低限保証されているなら、調整次第で結構快適になりうるような気はします。
どんなものなのか、ちょっと乗ってみたくなりますよね。折りたたみ式なので、もしフレームが高剛性寄りに振ってあるなら、調整次第で結構いい感じで走ってくれたりして。
保管場所さえあれば買って試してみたいところです。
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