かつて一斉を風靡して巨大な存在感を示していたにもかかわらず、なぜか現在インターネット上での情報提供やコミュニケーションに力を入れていないブランドは少なくありません。例えばDe Rosa(デローザ)もそうしたブランドのひとつです。
De Rosa Gravel 2020
デローザにもグラベルロードは数年前から存在してはいるのですが、その情報も断片的で、本気で売っているのかどうかよくわからないものが多かったです。今年2020年向けのモデルとしては、下の”De Rosa Gravel”というモデルが存在するのですが、これについても情報が非常に少なく、詳細がよくわかりません。
デローザのInstagramアカウントにも情報がありません。
公式 GRAVEL ENG | DE ROSA
shop De Rosa Gravel 2020
イタリアのデローザ本国公式サイトを見ても、このバイクについての詳細情報は英語でもイタリア語でも表示されません。本日時点で完成車スペックも、ジオメトリチャートもありません(数値のテーブルはあるものの後述の理由で信用できません)。
しかしこのバイクはスイスのベラチスポーツで販売されています。同店があるメンドリジオはイタリア・ミラノからさほど遠くなく、店主のベラチ氏はデローザ家と旧知の仲。というわけでこの謎バイクについて聞いてみたところ、デローザにもらった2020年モデルのカタログに情報が書いてあったからそれを記載している、とのこと。
というわけで、ベラチスポーツのDe Rosa Gravel 2020ページに記載されている以下のスペックは、デローザ公式サイトにも掲載されていない不思議で貴重な情報なのでありました。
- カラー:Antracite
- サイズ:S(51cm), M(55cm), L(59cm)
- 完成車コンポとホイール:Shimano GRX 2×11 / Fulcrum Racing 600 DB または Shimano GRX Di2 2×11 / Vision SC 40 TL DB
- クランク:170 – 175まで2.5cm刻み、歯数は50/34または52/36
- ステム:90-130mmまで10cm刻み
- ハンドル:40-46cm
- カセット:11-25, 11-28, 11-30の3つ
サイズはS, M, Lとあるのですが、デローザのサイトでは49から58までの5サイズあります。しかもその中には51cm, 55cm, 59cmというサイズなんか存在していないんですね。そのためそれらのサイズに対応するジオメトリ上の各数値も信用できません。
恐らくベラチスポーツが受け取っている情報のほうが正しいです(内容がこちらのほうが詳細ですからね。ただしジオメトリはやはりありません)。
これを自社サイトにアップしないデローザ、やる気あるのか… と思ってしまいますが、本国サイトに情報がないのですから国内代理店・日直商会のサイトにもこのグラベルバイクに関する情報は当然ながら、まだありません。
というか、このデローザのグラベルロードに関する情報、英語圏のサイトを調べても全く何も出てこないのです。
まぁ、画像を見る限り特殊なフレームではなさそうです。BBドロップは結構低いように見えます。ヘッド角とトレイル量も通常のロードに近いものでしょう。画像のサイズでは。チェーンステイは短め…なのかな? とにかくジオメトリ表を見てみないことには何とも言いようがありません。
トップチューブにはベントーボックス用のアイレットがあり、ダウンチューブにもボトルケージ用のダボ穴らしきものがなんとなく見えます。リアキャリアも恐らく装着可能でしょう。
GRX 2×11の完成車はベラチスポーツ価格で¥366,777。この場合ホイールはFulcrum Racing 6 DBのOEM版であるRacing 600 DB。Di2のGRX 2×11で¥590,443、こちらはホイールがVision SC 40 TL DB。どちらもしても「デローザの完成車としては」かなり安い、と言えるでしょう。
しかしどこまで本気で売ろうとしているのかがよくわからないところではあります。グラベルなのにタイヤのクリアランスみたいな基本的な情報さえありません。何故なんだ。
ヨーロッパの多くのメーカーはグラベルロードのコンセプト化・製品化に苦戦している印象を受けます。Cinelli King Zydeco, Ridley Kanzoなどは頑張ったモデルのように見えますが、中には思想がよく定まっていないまま「とりあえず出した」ように見えるモデルも多々あります。
果たしてDe Rosa Gravelはどうなんでしょうか。いろいろと考えさせられる1台です。