スイスのイタリア寄りの都市ルガーノに本拠を置くEffetto Mariposa(エッフェット・マリポサ)が「オリーブ」の種を主原料とした100%生分解性シーラント「Végétalex」(ベジェタレクス)を発表しました。
公式 Végétalex - bicycle tyre sealant - Effetto Mariposa
オリーブの種が主原料
この製品の特徴は植物ベースの粒子と繊維のみを使用しているところで、主な原材料は微粉砕したオリーブの種(オリーブオイルではない)とセルロース繊維だそうです。マイクロプラスチックやラバー、アラミド繊維は一切使われていません。
これらの素材を多糖類のひとつである「キサンタンガム」(xanthan gum)を溶媒として使用することでパンクの穴を効果的に素速く塞ぐことができる、というのがセールスポイント。
このキサンタンガムというのは水と混ざると粘り気が出るので、乳液や化粧水の他、「あんかけ」のとろみなどでも使われている素材です。
なぜこうした製品を作ったか。シーラントは定期的に交換する時に廃棄したり、路上でパンクした際には飛び散ってしまいますが、ラテックス系のシーラントは環境に宜しくない、サステイナブルな製品ではない、という発想です。
ただ使用量は同社のCaffélatexに比べると20%増しで入れる必要があり、29×2.10 (54-622) のチューブレスレディタイヤであればVégétalexは84 mlを注入する必要があります。
環境に優しいという点以外に、乾燥にも強く6ヶ月間はパンク修復能力があること、CO2カートリッジも問題なく使用できることがメリットとして挙げられています。
容量は1,000mlで欧州価格は1本30スイスフラン(約3,500円)。公式サイトから購入可能で日本にも発送できます(送料9.90 CHF)。国内販売はこれからのようです。
プラスチック・フリーはこれからのトレンドに?
この製品に限らず生分解性素材を原料とした自転車関連製品は少しづつ増えてきています(最近ではEliteの「Jet」ボトルが話題になりました)。
国内でもスーパーやコンビニのレジ袋が有料化されるなど「プラスチック・フリー」の動きは私達の身近でも徐々に進行中です。100%生分解性とまでは行かなくとも、今後こうした環境フレンドリーな製品はますます増えてくることでしょう(素材がプラスチックであっても製造過程で環境負荷を減らす取り組みもあります)。
環境や人体に優しい繊維系素材をベースとするシーラントとしては他にもFINISH LINEが存在し(ただしポリアミド系樹脂のケブラーを含み、アレルギーフリーではあるものの100%生分解性ではありません)、私も使ってみたことがありますが、なかなか良い仕事をしてくれず個人的には良い思い出がありません(下に関連記事のリンクを貼っておきます)。
関連記事:私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan’s NoTubes に戻した理由
それだけに似たアプローチのこの「ベジェタレクス」の実力は気になるところ。果たして植物素材・繊維素材がパンク穴修復においてラテックス系シーラントに勝利することはできるのか… レビューなどを見かけたらまたご紹介します。その日までは… こいつで我慢だ!