タイヤ・チューブ製品レビュー

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan’s NoTubes に戻した理由

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FINISH LINEのチューブレスタイヤシーラントは昨年夏、鳴り物入りで登場した新製品です。一般的なシーラントで使用されるラテックスを含まず、主成分のポリエチレン・グリコールにデュポン社のケブラー繊維を配合。液体状態を長く保ちつつ、高いシール性も確保することを謳っています。ついでに言うと環境にもやさしい。CO2ボンベも使える。

FINISH LINE チューブレスタイヤシーラント

この製品、雑誌でも絶賛されていたため、私もチューブレスレディタイヤで使ってみることにしました。使用ホイールはMavic Cosmic Elite UST。タイヤは同Yksion Pro USTです。なおこのシーラント、ロード用タイヤでは90mlの注入が推奨されています。ラテックス系シーラントでは30ml程度を入れるユーザーが多いことを考えると、3倍もの量になります。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

さて、実際にこれを入れてからタイヤに100psiほどの空気を入れて観察したところ、1〜2時間で空気圧は20psiまでに低下。その後何度か空気を継ぎ足すも、24時間が経っても状況は変わらず。その後も空気を継ぎ足し続けたものの、48時間が経過しても40psi以上の空気圧は維持できない感じでした。

とはいえ時間の経過とともにシール性は高まっていき、空気漏れの量は次第に少なくなってはいきました。おそらくそのまま4日、5日と育てていけば使用予定の87psi(6bar)を維持できるようになるような気もしました。

しかし、です。かりに4〜5日が経過してビードやバルブ付近がきっちりシールされ、タイヤにも毛細管現象でシーラントが確実に染み込んだとしましょう。それで走れるようには、なる。

なるのだが、パンクしたら? 微細なパンク穴から吹き出したこのシーラントが、すぐに凝固してエア漏れを防いでくれるだろうか?

その可能性は低い、と私は考えました。えー実際にパンクするまで試してくれよ、という声も聞こえてきそうですが、それはイヤです。これからチューブレスライフをはじめようというのに、いきなり大失敗したら私の中でのチューブレスへの印象が相当悪くなります。経験上、他にもっといいシーラントを知っている以上、それを使わない手はありません。

というわけでFINISH LINEのシーラントは除去することにしました。下は48時間以上経過した時の写真。ボトルに入っている時は灰色なのですが、タイヤ内ではこんなふうに水色に変色するようです。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

ケーシングの内側にはまんべんなく貼り付いてくれています。長く液状を保つものといってもきっちり膜を張ってくれそうには見えます。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

タイヤ下側にはたっぷり液状のシーラントがたまっています。時間をかければ初期シーリングの仕事はしてくれるとは思うのですが…

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なお48時間しか経っていないせいもありますが、このシーラントのお掃除は簡単でした。タオル地のウエスによく染み込み、きれいに拭き取れます。リムもタイヤも簡単にクリーニングできました。三ヶ月後はどうなのかは知らないけど。特にニオイもしません。環境に優しい製品であるのは間違いないでしょう。

Stan’s NoTubes タイヤシーラント

というわけでStan’s NoTubes タイヤシーラントに変更します。

なぜこの製品を選ぶのか?

私はチューブラータイヤでこれを使っていて、実際にパンク時に助けられた経験が何度かあるからです。バシュッと音がして「あーなんか踏んだ、やっちまった…」という時も、停車してホイールをくるくる回すとパンク穴からシーラントが噴出して穴を塞いでくれました。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

そういう経験が何度かあった。ただ、もうタイヤの寿命がきていてトレッド面がすり減っている時に大きめのパンクをやらかした時はこれでも太刀打ちはできませんでした。しかしあのピンホールパンクしたタイヤからプシュッ、パスッ、と白い液体が出てきて穴を塞いでくれたあの仕事。あの信頼感。あの記憶がある限り、私がこれのかわりにFINISH LINEを使う理由はないのです。

というわけでこれを入れるのですが、ここでTipsをひとつ。私はEffetto Mariposa(Caffelatexのメーカー)製のシリンジを使うのですが、本体に量の目盛りがあっても0mlからノズル先端までの部分はカウントされていませんし、チューブを挿入した状態でシーラントを入れると何ml入れたかまったく把握できません。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

そこでまずシーラントをボトルごと計測します。今回新品を用意したNoTubesのシーラントは容器込みで518g。内容量473mlです。mlは容積でgは重量なので同じとは限りませんが、このシーラントに関して言えば1ml=1gです(計測しましたよ)。つまりこれが488gになるまで入れてあげればちょうど30gを入れられる計算になります。

私がFINISH LINEのシーラントをやめてStan's NoTubes に戻した理由

さてNoTubesのシーラントを入れ、空気を入れたあとどうなったかというと…100psi入れてから24時間後に計測してもリア80psi、フロント60psiとかなり優秀な結果です。

もっともこれは、FINISH LINEのシーラント成分がタイヤ側にすでに浸透したせいもある、と言えなくもないですが、前日までの急激な空気圧低下(1時間で100psiが40〜20psiに、等)を考えると、やはりビード部やバルブ部のシーリングがかなり早く仕上がるからではないか、と推測します。

というわけで、私が今後チューブレスでFINISH LINEのシーラントを使うことはないと思います。ただ、サイクリストに一番人気のシーラントをお聞きしたアンケート記事でも紹介したように、北米amazonでも酷評されている製品ではありますが、プロのメカニックの方が絶賛されているわけで、現在の私にはわからないようなメリットがこの製品にはあるのかもしれません。

とはいえチューブレスレディのタイヤ・ホイールシステムのデビューにあたって、どちらが初心者にとってより安心かといえば、やはりStan’s NoTubesであると言わざるをえません。

NoTubesにも短所はあります。こっちのほうがクサいです(私は耐えられますが)。あと環境に優しくありません。肌もかぶれるので素手で触ってはいけません。水道管が詰まるので廃棄時は流してはいけません。等々です。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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