タイヤ・チューブ

最安のブチル・最速のラテックス・バランスのポリウレタン【自転車チューブの性能】

Tubolitoやシュワルベの「Aerothan」をはじめ、ポリウレタン素材チューブの存在感が増してきていますが、超軽量ブチル、ラテックスそしてポリウレタンの中でどれがいちばん転がり抵抗が少ないのか? そして転がり抵抗以外に考慮すべき点は何かについて、Cyclingtipsが面白い記事を出しているので紹介します。

出典 New testing shows latex tubes are still fastest
出典 Inner tube rolling resistance

最速は現在でもラテックスチューブに軍配

AeroCoach Inner tube rolling resistance data

© aerocoach

  • イギリスのAerocoachが最新の転がり抵抗テスト結果を発表した
  • 昨今の新しいタイプのチューブも好成績を収めたが、ハイエンドのラテックスチューブが今でもトップに躍り出た
  • ポリウレタン素材自体は新しいものではなく、パナレーサーが1990年代に「Greenlite」という製品を発表している
  • トレンドに火を付けたのはTubolitoだが、ドイツのReveloop社の人気も高まっており最近はSchwalbeもAerothanでポリウレタンチューブ界に参戦した

関連記事:シュワルベの超軽量チューブ「Aerothan」がリムブレーキ対応になって登場 ライバルはTubolito?

シュワルベの超軽量チューブ「Aerothan」がリムブレーキ対応になって登場 ライバルはTubolito?
シュワルベが2015年に発表し話題になっていた超軽量チューブ「Aerothan(エアロザン)」がこの度バージョンアップされ、リムブレーキ対応になったそうです。完全にTubolito対抗の製品ですが、果たしてその実力は!? 参考 Sch...

ポリウレタンにはラテックスにはない長所がある

AeroCoach Inner tube rolling resistance data

© aerocoach

  • ポリウレタンには極端な軽量さや優れたエア保持能力、耐パンク性能など数多くの長所がある
  • Tubolitoのディスクブレーキ専用ロードモデルは公称23gと言われており、SchwalbeによるとAerothanはラテックスやブチルに比べて2倍パンクに強く、スネークバイトにもより強いという
  • Aerocoachが自社のローラーで実施したテストによると、Tubolitoの標準的なポリウレタンチューブは超軽量ブチルチューブに比べて45km/hを維持する際に2.7ワット少ない力が必要だったが、それでも1.5W分速いTubolito Sモデルはトップ性能のラテックスチューブより2.6Wほど遅かった
  • Revoloopの成績はもう少し良く、Tubolito Sチューブより2.3W優れていたが、テストで最高成績を収めたVredesteinのラテックスチューブより1.1Wほど劣った
  • 最新のSchwalbe AerothanはTubolito SとRevoloopチューブの中間程度の成績だがRevoloopsはわずか0.5Wほどのアドバンテージなのでかなり効率的とは言える
  • Aerocoachのテスト結果の数字のみを見るのなら、そして転がり抵抗の削減に極端に重きを置くのであれば、高品質ラテックスチューブを選択したほうが良い
  • Challenge, Vittoria, Vredsteinのラテックスチューブはどれも0.1Wの範囲内の違いに収まるのでどの製品でもいいようだ
  • Michelin Aircompラテックスについては1.4W余分に必要になるので例外だがそれでもあらゆるブチルチューブとRevoloopsを除くポリウレタンチューブよりは上位に来る
  • Tubolito Sはラテックスに比べて100g軽量化できるし、ポリウレタンはほぼ毎日空気の補充が必要になるラテックスよりもエア保持性能が高く、メーカーのデータを額面通りに受け取るのなら、ライド中にパンクしにくいというメリットがある。これらは考慮すべき点である
  • 転がり抵抗の面でわずかなペナルティは受けるが、ポリウレタンにはその代わりに多くの利点がある、高額な初期投資を除いては
  • 大部分のポリウレタンチューブの小売価格は大まかに言ってラテックスのそれの2倍である(ラテックスチューブ自体が超軽量ブチルチューブよりも既に高価である)
  • ポリウレタンは、専用パッチが必要ではあるがパンク時には修理も可能だ
  • あなたはどの素材のチューブを選ぶだろうか? ブチルは現在でも明らかに最も安価であり、ラテックスは未だに最速だ。ポリウレタンは明らかに勢い付いており、価格が下がってくれば良い戦いになるかもしれない

こうして見るとラテックスチューブの転がり抵抗の低さにはあらためて感心させられますが、レースやイベントでの成績をあまり重視しないホビーライダーにとってポリウレタンチューブの利便性、運用上のメリットは確かに魅力的です。大ブランドのシュワルベがAerothanでこの分野に参入したことで、今後ポリウレタンチューブがますます盛り上がっていくのかもしれませんね。

面白かった点としてはパナレーサーが90年代に既にポリウレタンチューブを出していたということ、ラテックスチューブの中でもMichelin Aircompが若干成績が奮わない点(それでもポリウレタンには勝っているのも面白い)、それ以外のラテックスチューブはほぼ等しく優秀だったこと。

最速ラテックスとポリウレタン系最上位のRevoloopとの差は1W。1Wを取るか、利便性を取るか!?

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました