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シマノ新型デュラエースR9200についての海外メディアによるファースト・インプレッション

本日9月1日に発表されたシマノの新型デュラエースについて、Cyclingtipsのテクニカルライター、James Huang氏がYouTube動画でファーストインプレッションを公開しているのでその一部を抜粋して紹介します。同氏は2週間Dura-Ace R9200を試用したとのことで、あくまで初期的な評価であると断った上で語っています。

劇的な違いはないがはっきりとわかる改善がある

以下の動画の18:28秒以降の(埋め込み動画をクリックするそこから再生されます)、主に性能面についての感想に絞ってご紹介します(抄訳です)。

  • シフト性能は驚くほど良い、特に11スピードが既に非常に良いものであったことを思うと感心する。シマノが主張する変速スピードの速さは、ドラマティックではないが確かに違いはわかる。スプロケットやチェーンリング間での速いチェーンの動きはシマノと競合他社の間のギャップをさらに広げている。ダウンシフトでもアップシフトでもスーパースムーズな、典型的なシマノ特有の動きだ。スプロケットの歯先形状でどんな魔術を使っているか知らないが、うまく行っている
  • ドライブトレインも驚くほど静かだ、11スピードのロード・ドライブトレインで12スピードのMTBチェーンを使うと音が静かになるから好んで使う人がいる、と聞いていたので興味深く試してみた。追い風のセクションで走ってみると、確かに駆動系よりもタイヤの音のほうがより聞こえる
  • 個人的には自分がよく乗るコロラド州ボールダーのダートではリアディレイラーにクラッチがあったほうが好みなのだが、これはまぁ個人的な好みの問題だ
  • レバーのエルゴノミクスについては、もし旧型のシマノのレバーが好きならこのレバーも気にいると思う。というのもレバーの内側の寸法は大きくは変わっておらず、まだ小さい部類だからだ。私は手が大きめで、指を巻きつけられられる部分が増えるのでわずかに長いボディは個人的に気に入っている。ポジションが繊細な人ならわずかに変更が必要になるかもしれない
  • シフトボタンの高さの違いはそれとわかる。感触の違いで別々のボタンがわかるようなテクスチャーになってはいる、が大きい違いというわけではない。フルフィンガーグローブをしているとボタンの違いを判別するのがeTapに比べてやや難しいかもしれないが、全体的には以前よりも判別しやすくはなっている
  • ブレーキ性能の改善もはっきりとわかる。10%のパッドクリアランス増は非常に大きいとは言えないが、サーボウェーブ・リンケージはパッドがローターに触れるまでのレバーの動きが少なく、パッドがローターに当たると少し柔らかいフィールになりコントロール性が増している。私はシマノのストッピングパワーは好きだが、セラミックのカンパニョーロのほうがモジュレーションが良いのでそちらのほうが好みだったが、サーボウエーブでそのギャップが埋まった
  • ブレーキノイズについてはそれとわかるほどの改善があるかどうかはわからない。長い下り、特に急な下りでは「チンチンチン」という音は経験したが、ノイズは皆無とは言えないもののひどいものでもない
  • ホイールは36mmハイトのクリンチャーを試したが、軽量でキビキビしていて非常にフィールが良い。比較的静かだ。特に強く感じたのは、ハイスピードでのバランスが素晴らしいこと。ここは下りが多い土地なので簡単に時速80〜90km出るのだが、80km/hでも18km/hでもフィールが変わらない
  • 全体的に思うのは、シマノの最大の問題は11スピード製品が既に非常に良かったのかもしれないということだ。今回の製品には確かにはっきりと感じ取れる多くの改善が見られる。シフトのスピードや品質(正確さ)、ギアレシオやブレーキ性能は巨大な改善というわけではない。もし私が既に11スピードのDi2デュラエースやアルテグラを持っていたら、本当にワイドなギアレンジが欲しいとか、カセット中間でのギアジャンプが気になるといった理由がなければ、アップグレードする動機は持たないかもしれない。特に重量面でのアドバンテージもないからだ(※新型デュラエースは全体的に10gほど重量増)
  • 現在使っているコンポを捨ててアップグレードする必要があるかどうかは私は答えられないが、新車を買うことになってアルテグラやデュラエースの12スピードDi2を選べるのなら、これは非常に良いものだし、11スピードよりも確かに良くなっている(から、検討する価値はある)

James Huang氏の評価では、現行R9100に比べると”huge”な(ものすごく大きい)違いはないが、”noticeable”な(はっきりわかる・確かにそれと感じ取れる)違いはある、という表現が多く使われていました。R9100の正常進化版、という印象です。

ブレーキ性能については従来の強力なストッピングパワーを維持しながらもカンパニョーロ製品で特徴的なモジュレーションの良さが加わったことが伺えるので、これも興味深い改善点ですね。またホイールについては36mmリムのみの評価ですが、かなりバランスの良いものに仕上がっているように思えました。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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