プロサイクリング

自転車パーツ不足がツール・ド・フランス2022参加予定チームに影響? トレーニングでは旧バイクからのパーツ移植も

世界的な自転車パーツ不足が続いているため、一般サイクリストにとっても消耗品の確保が難しい状況ですが、プロサイクリングの現場にもこの影響が出始めているようです。仏誌BFM Businessが報じています。

出典 Tour de France: comment les équipes font face à la pénurie de "vélos" (BFM Business)

チェーンは2000kmで交換していたが…

  • 世界的な自転車パーツ不足のため、ツール・ド・フランス2022に参加予定のチームは機材面での体制づくりを迫られている
  • 第109回ツールは7月1日にコペンハーゲンを出発、24日にパリにゴールするが、今後何ヶ月も続く自転車パーツ不足のため、タイヤやホイール、ブレーキパッドやローター、駆動系やケーブル、パワーセンサー等を長持ちさせるための対策が強いられるだろう
  • 「状況は非常に複雑ですが、ツール本番はもちろん、もうすぐはじまるトレーニングに向けてもできるだけのことはやっています」とGroupama-FDJのジェレミー・ロワは語る
  • ツールに参加するこのチームの8人は、各自4台のバイクと大量のコンポーネントを必要とするが、トレーニングを開始するためにまず前年度のバイクからパーツを移植することになるだろう。再使用可能なパーツを選び、修繕するのはメカニックの仕事だ
  • 「通常、使用したバイクはシーズンの終わりに2000〜3000ユーロで一般人向けに販売されます。今年、ラピエールは2022年用のフレームは供給できたのですが、トレーニングでは2021年に使用していたパーツを載せ替えます」
  • 「いくつかのパーツについては通常よりも長く使えるようにします。チェーンはいつもなら2000km毎に交換しているのですが、2500〜3000km持たせないといけないでしょう」
  • Cofidisのように機材面でGroupama-FDJほど恵まれていないチームもある。Cofidisはまだバイクを受け取っていないが、トレーニングは数週間後に始まる
  • 「11月末には届くと思うのですが、本当に間に合うかどうか来週ミーティングで確認します。12月にはインターンシップも予定されているので、その頃には2022年のバイクが必要です。時間切れになりつつあります」と同チームマネージャーのセドリック・ヴァスールは語る
  • この状況下でベストを尽くしているのはパーツメーカーも同様だ。シマノ・カンパニョーロ・スラム。タイヤではヴィットリア・コンチネンタル・ピレリ。シマノはGroupama-FDJをはじめとする多くのチームにホイールも供給している
  • しかしプロサイクリストはパーツ供給に関して特権を得ているわけではない。UCIの規定では、チームはハイエンド・コンポーネントを使用しなければならないが、市場にあるものと同一のものを使わなければならないため、一般サイクリストと条件は同じなのだ
  • シマノはスポンサード・チームへのパーツ供給は十分だとしている。またスポンサード・チーム専用の生産ラインはないとしているが、プロサイクリストのサポート用パーツは事前に(1年ほど以前から)発注しているという
  • 2021年に使用されていたパーツの性能について、シマノは「ワンシーズン以上持つ」と語る。またカセットやチェーン、ブレーキパッド、チェーンリングといった消耗品についても各チームに十分に供給される予定なので、メインコンポの寿命を延ばしてくれるだろう、とのことだ

一般人からするとシマノのチェーンは3000kmなど余裕で持つのではないか、と思えますが、プロサイクリングを支える安全性と性能(精度)の維持を考えると、チームとしては頭の痛い問題なのかもしれません。

 
またシマノはチーム用パーツの発注は事前にかけているとのことですが、その「事前予約枠」さえ心配されているような状況なので、一般人にとっての自転車パーツ不足は相当長引くのかもしれないですね。

自転車パーツ不足の原因については、需要の急増に加えて流通や生産キャパシティの下振れもありますが、最近では「原材料不足」もよく指摘されています。樹脂も足りないとも言われていますし、半導体も足りていません。カーボン製品やパワーメーターをはじめとする電子部品搭載パーツへの影響も大きくなってくるのでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました