イタリアのFSAがセミワイヤレス・ロード用電動コンポK-Force WEの12スピード版をEurobikeで発表しました。2016年以来の大型アップデートとなります。Bikeradar, CycilngTips等海外メディアが報じています。
狙いは完成車市場?
以下、主要メディアから集約した情報です。
- K-Force WE 12はディスクブレーキのみ対応、従来通りシフターとディレイラー間の通信はワイヤレスだがディレイラー同士はバッテリーに接続されるセミワイヤレス式となる
- 通信プロトコルがアップデートされており、11スピードバージョンと違い、シフターからの信号はフロントディレイラーとリアディレイラーに直接送信される。以前はフロントディレイラーがリアの信号も受け取り、バッテリーを介してリアに送信する仕組みだった。しかし旧来のこの通信仕様も、万一の際のフェイルセーフとして保持されている
- 通信はANT+に加えBluetooth 4.0も追加された
- シフターのバッテリーはCR2032電池が1枚づつ
- リアディレイラーはカセットでの正確な位置をどのポジションでも理解・記憶できるようになった
- 外観にはほとんど変化が加えられていない
- FSAはMTBコンポでは既に12スピード化しているが、ロード12速用に全く新しい軽量なチェーンを開発した
- クランクセットはBB386Evoスピンドルで3Kカーボンアーム
- チェーンリングは7075アルミ100%で54/40, 50/34, 46/30(160〜175mmまで2.5mm刻み)が用意される
- ワンピース構図のダイレクトマウント・チェーンリングはCannondale HollowGramに大きいインスピレーションを得ているように見える
- カセットは11-25, 11-28, 11-32で、ギアが1枚増えても11スピード版より軽量になっている。チタンスプロケット・カーボンスパイダーのワンピースカセットで、11スピードの類似の組み合わせより13%軽い(11-32で195g)
- ディスクローターは160/140mmが用意され、6ボルト/センターロック両方に対応する
- 市場での流通は2022年中または2023年春になるという説がある
- 重量は2,390g、価格は4280ユーロ説がある(Shimano Ultegra Di2と同様の価格になるだろうとも言っている)
- 11スピード版K-Force WEについては少なくとも2023年末まで販売を続ける
元記事へのコメントを読むと、FSAは良いブランドであり、コンポの世界に競合は必要だから応援したいところが、Shimano Ultegra Di2等に比べると何ら優位性がない、11スピード版のK-Force WEも実際に使っている人を見たことがないという意見(このコンポは実在しない蜃気楼ではないかとの表現も飛び交う始末)、実際に買って使っているが保守パーツの入手が困難であり、サポートもあまり良くないという声、本当に売る気があるのだろうかという意見等が見られます。
確かにシマノやスラムと比べても特に大きいセールスポイントがあるようにも見えませんが、FSAはハンドル・ステム・シートポスト等のフィニッシングキットで深い繋がりを持つ完成車メーカーに「駆動系のもう1つのオプション」を提供したいと考えているようで、まずは完成車に搭載してもらって存在感を高めていくという算段があるのかもしれませんね。