本日は個人的にちょっと気になる完成車を観察、Salsa Stormchaser Single Speedを取り上げます。何年も前からあるモデルですが、ドロップアウトを交換することでシングルスピードから多段仕様にもできるグラベルバイクです(GRX 810とRockShox Rudy XPLRを搭載した1x仕様やフレームセットもあります)。
公式 Salsa Stormchaser Single Speed
2023年モデルは1,899ドル
基本的な仕様は6066-T6 アロイフレーム・カーボンフォーク、タイヤクリアランスは700c / 650bの50mm。シートポストは27.2mmでドロッパーポストのステルス・ルーティングに対応。ブレーキはTRP RRL / Spyre-C。Race Face Ride クランクセット(38T)、コグは17/18T付属。見るからに走りが軽快そうです。アイレットはマシマシで旅自転車にも良いですね。
完成車重量はサイズ56cmの場合、9.53kg。米国定価は$1,899。海外メディアの紹介記事へのコメントを読むと「シングルスピードのアルミグラベルでこの値段は高すぎだろう」との声が多いですが、まぁ今はこんな感じのプライシングがどこも普通になってしまいましたね。国内では2021年モデルが税込み¥219,780でした。$1,899は本記事時点のレートで26.3万円です。
ちなみにTRP RRLは私も複数台で使っているのですが、握りやすくアクションも気持ち良くて大変気に入っているブレーキレバーです。Spyreとの相性も良いです。超おすすめ。
オルタネーター・ドロップアウト
Salsaの一部車種ではリアエンドに”Alternator Dropout”と呼ばれる別体式のドロップアウトが採用されており、Stormchaser Single Speedの場合は”Alternator Flat Mount”が付属するのですが、別売りのプレートに交換すれば多段化もできます。
Alternator Flat Mount(写真下)は当然スライドエンドになっており、チェーンテンションやチェーンステイ長の微調整が可能です。
私自身も、Salsaではないのですがこのようなシングルスピードと多段変速のどちらにも対応できるオールロードバイクを所有しています。シングルスピード・多段変速、どちらのパターンも試しましたが、現在はせっかくなのでシングルスピードで乗っています(オフロードを走れるシングルスピードのドロップハンドル車は他に持っていないので、楽しまないともったいない)。
シングルスピードの魅力
シングルスピードだとメンテナンスが簡単ということもありますが、個人的にはリアディレイラーが存在しないことによるフリクションの少なさに起因する(と思われる)ダイレクトなライド感が最大の魅力です。あとは「身体がディレイラーの役割を果たさなければならない」ところも楽しい(登りたければお尻を上げざるをえない・速く走りたければ回すしかない、等)。
SalsaのYouTubeチャンネルでは、元ロードレーサーのMatt Acker氏が次のように語っています。
シングルスピードバイクの魅力について説明しましょう。陳腐なことを言っているように聞こえるかもしれませんが、いくつかの点で少しだけ「ピュア」な感覚が確かにあるのです。心配事が本当に少ないんです。
登れそうな坂なら登ればいいですし、登れないなら押して歩けばいいんです。泥だらけになってバカをやれば、頭がスッキリします。シングルスピードバイクでペダルを回している時は、考え事が少なくなります。
シングルスピード・グラベルバイクは泥詰まりのひどいレースで愛用している方も米国には多いようですが、必ずしもそうした過酷な条件でなくとも、楽しく感じられるものではないでしょうか。ガチのヒルクラが入ると正直無理なことはあるのですが、平地メインのグラベルはもちろん、そこそこのアップダウンのあるシングルトラックを走っても楽しいですね。あと輪行も気軽です。