ツール・ド・フランス2023・第15ステージでセップ・クスに接触し、多くの選手の落車を引き起こした観客が現地のジャンダルムリー(憲兵隊)によって特定されたそうです。ユンボ・ヴィスマは被害届を出す模様です。
出典 Jumbo-Visma envisage des poursuites contre le spectateur qui a fait chuter Sepp Kuss
出典 Jumbo-Visma gaat aangifte doen tegen toeschouwer die valpartij veroorzaakte
以下、フランスとオランダメディアによる記事の要約です。
- (落車を引き起こした)人物はジャンダルムリーによって特定された。しかしセップ・クスが被害届を出してはじめて取り調べを受けることになる
- いずれにしてもロイターの報道によるとユンボ・ヴィスマは被害届の提出を検討しているとのことだ
- チーム・コフィディスも、観客は「思い出を作るためにカメラは必要ありません」という声明文を出した
- チーム監督のリシャード・プルッヘ「落車した選手のためにそうしないと(=被害届けを出さないと)いけないと思います。うちの選手だけでなく、他チームの選手のためにもです」
- セップ・クス「道が狭くなってきたのでプロトンではリズムを落とそうとしていたんです。先頭グループを先に行かせたかった。僕は端にいて、誰かが運悪くセルフィーを撮ろうとしたんです。その人が近づいてくるのは見えませんでした」
- プルッヘ「観客がそばに立って応援してくれるのは本当に素晴らしいことです。とても嬉しいことです、しかし距離を保ってください。一度、強いシグナルを送っておくことは非常に重要だと私は考えています」
- スポーツディレクターのアルトゥール・ファン・ドンヘンは「その人物に間違いなく損害を回復してもらうつもりです」と語る。主に機材ダメージの損害のことを言っており、金額は「かなり大きいもの」になるとのことだ
- プルッへ監督によると、選手たちのフィジカルなダメージも相当なものだという。「多くの打撲と擦過傷でダメージを受けています。これは特に最終週で効いてくるでしょう」
- (プルッへ氏)熱くなって思わず「登りではなぜ入場料を取らないのか」と考えてしまいましたよ。そうすれば本当のファンだけ来るじゃないですか
- 2021年には、テレビカメラにプラカードを向けて落車を引き起こした女性がブレスト法廷により4ヶ月の禁固刑を求刑された後、最終的には1200ユーロの罰金刑となっている
この落車の様子は私も見ていましたが、問題の観客はスマホで選手たちを水平にパンしながら自撮りをしていたように見えました。
海外掲示板では「罰金刑が効くのは貧しい人だけだ、罰金ではなく懲役にしろ」などと厳しい意見が見られます。また、次のような意見が印象的でした。
ファンとの接触はずっとこのスポーツの一部ではあったけれど、現代の「俺を見てくれ」というソーシャルメディア時代ではさらに悪くなっているように思える。誰もがTikTokとかInstagram用に撮らないといけなくなっている。スマホの操作で忙しくて誰もレースなんか見ちゃいない
観客との近さはサイクルロードレースの一部ではありますが、誰もが高性能なスマホでレースを撮影できるようになっていることを考えると、レース主催者もこれまでよりも厳しい対応策を考えなくてはならない時代になってきたような気はします。なお、詳細は不明ですが同日にはユンボ・ヴィスマの選手が観客に殴られたという情報もあります。