シマノによるペダル式パワーメーターに関する特許が発見されました。SPD-SLでの実装を想定したものです。Bikeradarが報じています。
参考 US20160052583A1 – Bicycle pedal – Google Patents
出典 Shimano has patented an SPD-SL power meter road pedal – but will it be released?
スピンドル軸でのパワー計測 バッテリーは外部式?
Bikeradarの当該記事はちょっと無駄に長いので個人的に主要な情報と感じた部分のみ要約してみました。
- シマノが力センサーと加速度センサーをスピンドルに内蔵したペダルの特許を申請していた。同社はパワーメーター搭載ペダルを開発中なのかもしれない
- 最も興味深いのはSPD-SLロードペダルでこのコンセプトを展開しようとしている点だ
- 主要なパーツがスピンドル周辺に集中していることを考えると、MTB用SPDバージョンも開発しているかもしれない
- この特許は2014年に最初に申請され、2018年に認可されている
- その後2020年11月、ペダル内で単一のプロセッサーのためのひずみゲージまたはパワーソースとして、ピエゾセンサーがどのように使われるかについての特許が認可されている
- 特許文書でのデザインで製品化されるかは疑問の余地があるが、シマノのロードペダルの人気を考えるとこの製品には高い需要があるだろう
- 特許によるとスピンドルのクランクアーム寄りのスレッド部の内側にケイデンスセンサーもあるのがわかる
- 他社製パワーメーター同様、パワーはこれらのひずみゲージとケイデンスセンサーから算出されるわけだ
- 傾斜センサーは2軸の加速度センサーで、ペダルの移動速度を測定するものと思われる。これによりGarmin Cycling Dynamicsのようなデータを得られるかもしれない
- しかしながら特許はスピンドルの貫通穴について認可されたものだ
- スピンドル中心の穴からワイヤーを出してプロセッサー、ワイヤレス送信機、クランク内のバッテリーといった「コントローラー」に接続することができる
- 図面によるとペダルはクランクから取り外しできるので、コントローラー部も恐らく着脱式だろう
- 特許によるとペダルからのワイヤーはコントローラーへのプラグイン式コネクタを持っているので、コントローラー部はクランクに接着されることもあるかもしれない
- クランクアームコントローラーには電池または充電可能な電池が内蔵されているが、文書ではソーラーバッテリーや機械ストレスへの反応の結果として得られるピエゾ電流デバイスにも言及されている
- 2020年11月にはペダルがピエゾデバイスから電源供給されることについての特許が認められている
- これ自体は2015年7月、2016年3月の特許の一部だったのだが、最近になってこれが認可されたことは、シマノがこのコンセプトを本気で検討していることを意味しうる
- 大まかに言ってこの特許は「電極を埋め込まれた強誘電体フィルムを内蔵した自転車部品」という発明を保護するものだ。そしてこれはペダルのスピンドルに内蔵可能だ
- シマノはこのパワーメーターペダルを発売するだろうか? 近年のパワーメーターの急速な発展を考えると、スピンドルの裏からワイヤーを出してクランクアームの別体ポッドに繋げるという考えは、Garmin Vector 3やFavero Assioma Duoといった競合製品と比較するとエレガントではない
- しかもそれらのポッドがクランクに直付けされるなら、スワップが容易であるというペダル式パワーメーターの大きい利点が削がれてしまう
- 問題はシマノが、GarminやFaveroなどが有する特許を侵害せずにこの問題を解決できるかということだ
- シマノのクランク式パワーメーター、Dura-Ace FC-9100-Pは、(少なくとも初期は)左右のパワー計測の精度や温度補正に関していくつかの問題があった
- その問題はクランクのデザイン、特にパワー伝達効率を高めるために非対称となっているドライブサイドのクランクデザインにあるという推測がある
- シマノのペダル式パワーメーターはパワーメーター専用設計のクランクではなく、既存のHollowtech IIクランクに後付けできるように見えるのは注目すべき点である
- シマノがペダル式パワーメーターに移行すれば、非対称デザインのクランクアームも継続できるということになる
- シマノの次期Dura-Aceの登場に合わせ、Dura-Aceのパワーメーターも刷新されるのは十分にありうることだ
- シマノが今年2月にパイオニアを買収してからあまり時間は経っていないが、パイオニアがシマノ向けの新製品を開発していることはありうる
- しかしこうした特許はありながらも、私の予想ではシマノはクランク式パワーメーターを継続すると思う
- 2003年に発表されたSPD-SLに関するシマノのあらゆる特許は、今後数年で全て期限切れとなる。サードパーティからSPD-SL互換のペダル式パワーメーターが今後出てくるだろうか?
特許の真の目的は?
これらの情報を読むと、シマノが本当にパワーメーター内蔵SPD-SLペダルを出そうとしているのかどうかは確かに疑問の余地がありますね。特にバッテリーをはじめとする何らかのデバイスをクランク側に内蔵させてペダルとワイヤーで繋ぐというコンセプトであれば、記事中で指摘されているように利便性の点で見劣りします。
GarminやFaveroがどんな特許を持っているのか不明ですが、もし特許上の問題があるならクロスライセンスを取り付けることでより洗練された・シンプルな製品にする必要があるようです。もし製品化されるなら、高い品質を期待してシマノ製SPD-SLパワーメーターペダルを選択したい人は多いでしょう。
しかしこれらの特許は、SPD-SLペダルに関する特許が失効した後にサードパーティが「SPD-SLタイプ」のパワーメーター搭載ペダルを出せなくするための、自社製品保護を目的としているのではないかという憶測も他のサイトでは見られます。
またパイオニアの技術が今後のシマノ製パワーメーター製品に活かされるのは間違いないとは思いますが、時期的なことを考えると来年3月頃の登場が噂されている新型デュラエースに「パワーメーター搭載SPD-SLペダル」が加わるというのは、確かにあまり現実的ではないような気もします。
とはいえ、非常に気になる、注目すべき情報ですね。
なおGarminとFaveroのパワーメーター搭載ペダルについては当サイトにいくつか記事があるので、是非あわせてお読みください(下にリンクがあります)。