Vittoriaがタイヤインサートの「Air-Liner Road」を発表しました。これまでにMTB用・グラベル用製品が同社から発売されていますが、ロード用はサイズ以外に何か違っているのでしょうか。Bikerumorが詳しくレビューしています。
出典 Vittoria Air-Liner Road doubles as bead lock and run-flat foam liner if you get a flat – Bikerumor
公式 Vittoria Air-Liner Road
MTB・グラベル用とは素材が異なる
Bikerumorは概ね次のように伝えています。
- Air-Liner RoadはMTB用やグラベル用とは違うフォーム素材を使用している
- 他のAir-Linerはランニングシューズで見るようなEVAフォームを使用しているが、Air-Liner Roadのフォームは密度が低く、フォーム自体により多くの空気孔がある
- このフォームは高圧になると縮み、ビードをリムに押し付けるためビードロックの役割も果たす
- パンク時に空気圧が下がるとフォームは元の形状に戻りタイヤ内で膨らむ
- シーラントが塞げないようなパンクの場合でもそのまま乗って帰宅できる
- しかしこれは帰宅するための一時的な低速走行用のものであり、Vittoriaは20km/h以下で距離50km以内の使用を推奨している
- 現実的にはそのような使用をした場合、タイヤはダメになるかもしれない
- パンク後にライナーがダメージを受けていれば交換する必要がある。また1年に1回は交換し、最低1 bar(14psi)の空気を入れた状態で保管することを推奨している
- Air-Liner Roadは2019年にアレクサンダー・クリストフがクラシックレースのヘント=ウェヴェルヘムで勝利した際に使われていたので実績がある
- Air-Liner Roadの重量は25mmタイヤ用で22gと極端に軽く、専用のバルブも60mmで5gと悪くない
- 専用のVittoria Multiwayチューブレスバルブは横方向にも空気穴があるため、底面がインサートに押し当てられる時でも空気を流すことができる
- Air-Liner Roadのインストールは、不可能ではないが、普通にタイヤをはめる時よりは間違いなく難しい
- チューブを入れる時のようにタイヤの片側を開いてフォームを入れていくが、インストール時は標準的なタイヤレバーと、超タイトなタイヤ・リムの組み合わせ用のビードジャックを使うのがベストと感じた
- フォームのせいでビードをいつものように中央溝に落とすことができないため、リムにタイヤをはめるのは少し苦労する
- タイヤの取り外しには(コンプリートキットに同梱される)Vittoria製のプライヤーを使う必要があり、プライヤーでタイヤを向こう側に押し出してからタイヤレバーを入れ、ビードを手前に出す
- Vittoria Universal Tubeless Tire Sealantはボトルのフタにプレスタバルブのコア抜きがあり、プレスタの軸に直接差し込めるようになっている
- テストのためシーラントを入れず、スローパンク状態を再現して乗ってみると、タイヤははっきりわかるほどグニャグニャはしたが、ライドは驚くほどよくコントロールされていた。何かがおかしいのは間違いなくわかるが、ちゃんと転がり、止まり、曲がることもできた
- タイヤから空気を完全に抜いた状態では、普通にパンクしたタイヤで乗っている状態に近いが、リムは路面に当たらない。またこの状態でも、注意は払った上でだが、曲がったり止まったりできた
- Air-Liner RoadはS, M, Lの3サイズ展開で、タイヤ幅はそれぞれ25〜28mm, 28mm〜30mm, 30〜32mmに対応する(重量は各24g, 31g, 39g)。最大リム内径はそれぞれ21mm, 23mm, 26mm
- ライナーの価格は1本$39.99
- Road Tubeless Tool-Kitは別売りで$24.99
- Vittoria Universal Tubeless Tire Sealantは容量によって$6.99-$24.99
- コンプリートキットはライナー2本とツールキット、シーラント1本入りで$99.99となっている
このレビューを読む限り、使用感自体は悪くなさそうですが、インストール作業は正直かなり苦労したのではないかと思わせる書き方です。シーラントでも塞ぎきれないようなパンクをしても、どうしても50kmほどは自走で帰りたい、という人向けと思えますが、どの程度の需要があるのか気になるところです。
とりあえずタイヤペンチは必須ですね。