シマノが海外で人気のGPSサイクルコンピューター・Hammerhead KarooシリーズからDi2関連の機能を削除するよう要請した件について、下の記事でお伝えしました。簡単に言うと、HammerheadがSRAM社に買収されたことが原因のようです。
シマノの真意は何処にあるのか。やや謎めいたところのある事件ですが、ひとまず本件についての海外サイクリストの反応をいくつか観察してみましょう(出典:Reddit)。
パイオニアの技術で「シマノ」サイコンを復活させる?
- サイクルコンピューターがどうやったらシマノのビジネスに損害を与えうるというのか。SRAMによるHammerhead買収と、シマノの決算とのあいだに関連を見いだせないのだが
- ビジネス上の決断は、表面的には合理的に見えないことは時々ある
- 私の考えでは、シマノはDi2 + ライダーのビッグデータがSRAMの手に渡るのが嫌だったのかな、と
- (上の人に)しかしそんなに有益なデータはないのでは。何が収集できる? ライド毎のシフト回数やタイプとか、バッテリー効率とか? それがSRAMにとって絶対に必要なデータとは思わない。今回はシマノの横暴で、SRAMが売ろうとしている製品の価値を下げようとしただけではないか
- SRAMがHammerheadを買収していなかったら起こらなかった出来事だな。シマノは独自のヘッドユニットのために買収できる会社を探しているのだろうか。いずれにせよシマノの決断ミスで、業界全体にとって良いことではない
- (上の人に)シマノはパイオニアの製品群を買っているから、それがそうなのかもしれない
- シマノはパイオニアの技術を全て持っているから「シマノ」コンピューターを復活させることはできるだろう
- 残念ながら人々がKaroo 2を買わない新しい理由にはなるだろう。シマノのこの対応はひどいとは思うが、選ばなければならないとしたら私はシマノを使い続けるし、他のヘッドユニットを選ぶだろう。駆動系を置き換えられるわけがない。これはSRAMとシマノの戦いであり、WahooやGarminは心配しなくていいと思う
- シマノが静かにこの決定を撤回してくれたら良いのだが。Di2の2台のバイクを変更するつもりはないが、将来のコンポ選びには影響する
- 残念ながら反=消費者的なこうした戦略は、うまく行った前例がある。例えばAppleとiMessagingの互換性だ。しかしAppleとは違い、シマノは完全な製品エコシステムを作れていない(特にパイオニアの失敗があった)。これが何処に向かうのかは興味深いところだ(楽しくはないだろうが)
- (上の人に)シマノのアクションカメラを持っているけれど、シマノによるエレクトロニクス製品は怖くて遠ざけるようになったからね
元々のDC Rainmakerによる記事へのコメントを総合しても、大きく次のような意見が多いですね。
- 今回のシマノの動きはユーザーのことを考えておらず、誰得の乱暴な決定だ
- これではシマノのコンポから離れる人が出てくるだろう
- いや、シマノ離れは起こらない。サイコンを基準にして駆動系を選ぶ人などいないからだ。Hammerhead(と親会社のSRAM)は打撃を受けるだろう
SRAMによる市場寡占も問題の背景か
シマノ批判が多いのは間違いないですが、次の意見も面白いと思いました。
ここにはより大きい問題があると思う。SRAMが、TREKやSpecializedのように様々な会社をずっと買収し続け、市場を独占しようとしていることだ。今回のヘッドユニットの件は、そういうより大きい問題の小さい一症候に過ぎないのではないか?
確かにSRAMによるモノポリーの動きは大きく、Hammerheadの買収劇はシマノからすると「一線を越えられた・ケンカを売られた」ようなところがあったのだろうか、とも想像します(とは言え、シマノの市場シェアも元々大きいですが)。
しかしシマノのような大企業が、そのような感情的な動きをするとも思えません。
実はシマノ、パイオニアの技術も含め、独自のエレクトロニクス・エコシステムを作り上げようとしている、ということはないでしょうか。かつて存在したフライトデッキを再興させようとしているのではないか。パイオニアから引き継いだフォースベクトル、それを唯一分析できるSHIMANO CONNECT Lab、非公開のプロトコルのDi2通信…
私達一般人にはわからないところで、何か大きい絵が動いているのでしょうか。しかしGPS機能も含むヘッドユニットを新たに作るのは簡単ではないですよね。Wahooとパイオニアは仲が良かったですが、果たして。会社の買収自体はなくとも、SRAM陣営に対抗するようなアライアンス・同盟関係を作っていく動きはありそうな気もします。