アメリカのアマチュアサイクリスト(カテゴリー1所属・ナショナルチーム経験・海外レース出走経験あり)の方が「海外でプロとして走れるチャンスを得たのですがこれはその価値があるでしょうか?」という質問を海外掲示板に投稿しています。
最近スペインのチームでレースするチャンスを得ました。しかし27000ドル(※本記事時点のレートで379万円)の費用がかかり、それにはコーチング・レース・住居費以外は含まれません。つまり食料や移動費、保険や飛行機代などは自腹ということです。さらに大学で付き合って2年半になる彼女から離れ、学業も諦めることになりますし、そのチームは新しいので借金を負って終わる可能性もあります。良い点も悪い点も同じだけあり、どうしたらいいのか途方に暮れています
出典 is being a pro cyclist worth it?
それ詐欺じゃね?という意見が多数
スレッドのタイトルは「プロサイクリストになることはそうするだけの価値があるでしょうか?」。これに寄せられた回答を見ていきましょう。
- 悪い点しかないように思えます。大学を終えなさい。そうすれば何か得られるでしょう
- 君がお金を払うんだよね。それは君がプロサイクリストになるということではなく、スポンサーになるということだよ
- プロの意味は、何であれあなたが行うことからお金を得るということです
- この業界に30年くらいいるが、詐欺のように聞こえる
- プロというのはお金を支払われる程度に何かが得意な人のことを言う
- 100%詐欺だと思う、多くのチームが最近ヨーロッパでこれをやっている
- 良い選手たちに給料を払うために君の財布を必要としているチームのように思える
詐欺ではないか、という意見が多いです。私も読みはじめてすぐひろゆきの声でこう聞こえてきました。
(満面の笑みで)それはプロではありませんwww お金を払って仕事をすることをプロとは言いません。それって詐欺られてませんか?
ひろゆき氏のYouTubeライブ配信で「声優デビューさせてもらえることになったのですが、ボイストレーニングや演技指導で毎月何万円か支払う必要があり…」という相談をよく見聞きします。声優に限らず「プロデビューできます、でもそれには○円かかります」という話はすごく多いですね。それを思い出しました。
さてこのスレ主さんは「その話の良いところって何ですか?」と質問され、次のように回答しています。
スペインに住めること、仲良くできるチームがあって、プロのコーチングがあって(UAE)、ジローナに専用のトレーニングラボがあって他の国に旅行できて、バイクも、スポンサーも、イベントも、レースもたくさんあって、新しい言語を覚えられて、サイクリングで強くなれて、コネもできて、UCIコンチネンタルだし、UAEのドクターもいます
しかしこの回答にはマイナス5もの低評価が付いています。誰かや何かの悪口や批判を書いているわけではないのにこれほど低評価が付くのはちょっと珍しい。それだけ多くの人が「君ちょっと考え方おかしいんじゃないか」と思ったのでしょうか(ちなみにこの選手に声をかけたチームはTeam UAEのスタッフと何らかの関係があることが匂わされています)。
そういうプロチームの大部分は27000ドル払えとは言わないですよ、と指摘されると質問者の方はこう続けます。
僕はプロなんて言っていません、将来的にチャンスになるかもしれないと言ったのです。ビジネスでそうするようにリスクを取って何かにお金を注ぎ込んで、うまく行く時もあれば行かない時もあります
これには他の人が「君は質問のタイトルで『プロ』という言葉を使っているじゃないか」と突っ込みを入れます。
スレ主さんはさらに、
そのチームにはプロのコーチがいます。それに僕たちはUCIコンチネンタルです
と続けるのですが、
なぜ君はここで「僕たち(We)」という言葉を使うのですか。まだ加入したわけではないでしょう。これが詐欺だと言われたくないのかもしれないけど、これかなりの確率で詐欺ですよ。
と指摘されます。
どうも読んでいるとこの質問者の方は、心の中ではもう27000ドル払ってチームに合流することを決めているようにしか見えません。ではなぜ質問をしたのでしょうか。「いいと思う、チャンスじゃないか、間違っていないから頑張りな!」という励ましが欲しかったのかな、と思います。自分が望む答えだけを聞きたい、そんな感じがします。
個人的にもこれは詐欺に近い何かではないかと感じます。「将来的にそのチームで走れるかもしれない若手選手を選別するトレーニングキャンプに参加するために379万円を自腹で用意する必要がある」という話なら、それはあるかもしれないな、と思うのですが、それは「プロサイクリストになる」とは別の話。しかし誘う側は「プロになれるぞ」と思い込ませるのかもしれないですね。