ドロップハンドルのフロントシングルでリアは多段変速にする。その場合、シフターにはどんな選択肢があるのでしょうか。スラムやシマノの1xコンポを搭載した完成車を買うのなら悩む必要はないのですが、自分で組み上げようとする時は様々なことを考える必要があります。
主に、
- レバー:シフトレバーとブレーキレバーは一体型にするのか、別々にするのか
- ブレーキシステム:メカニカルか、それとも油圧ディスクか
- 変速段数:11 speedか、12 speedか、それともそれ以下か
- 変速システム:10 speed以下の場合、ロード用か、それともSHIMANO Dyna-Sys系か
- ハンドル:31.8mmか22.2mmか
といった項目です。「ドロップハンドルのフロントシングル+リア多段」の自転車を妄想したことがない方には何が何だかさっぱりイメージできない話だと思いますが、実際に組もうと思うと自分の需要に合致するパーツはそれほど多くないことに気付かされるのです。
具体的な話をしましょう。これは私が最近手に入れたドロップバー用油圧ブレーキ、TRP Hylex RSという製品です。シフトレバーを兼ねない、ブレーキのみの製品。これを使ってドロップバーのフロントシングル・グラベルバイクを組むことが確定しています。するとリア用のシフターを選ばないといけませんが、ここでSRAMのロード・シクロクロス用1xレバー群(Force 1, Rival 1, Apex)が消えます。
そもそも油圧でなければ他にも選択肢があります。たとえば機械式のレバーにサムシフターがのっかっているGevenalle GXのようなシクロクロス用製品。でも、もう油圧ブレーキ買っちゃったしね、今更この選択肢はない。それにブレーキレバーとシフターは別体型にしておきたい。なぜならシングルスピード化する時に簡単だから。
レバー以外の駆動系は入門用のもので済ませようと思っています。シマノならSLXあたり。よし、リアメカとカセットはSLXにしよう。RD-M7000とCS-M7000。
ならシフターもSLXで…と思いますが、調べてみるとSLXのSL-M7000は当然フラットバーでの使用を想定しているため、クランプ径が22.2mmです。これは私が使う予定の31.8mmドロップバーにはとりつけられません。
ならWレバーにするのはどうだろう。右側だけ使う。しかし使用予定のフレームには、Wレバー台座がありません。よし、ではDIXNA レバーコラム マウント 1-1/8インチ(28.6mm)を使ってステム下にマウントさせてはどうか。それか何らかのマウントを使ってドロップバーに固定する(実はDIXNAからそういう製品が出ているのですが31.8mmバーには非対応)。
でも11 speed対応のWレバーなんてあるんだろうか? 調べてみたら、ありました。DIA-COMPEにENE CICLO 11S シフトレバーという製品があるらしい。これはいい。パワーラチェットタイプのフリクションシフターです。うん、インデックスでなくてもいいよ、のんびり自転車に仕上げるんだから。
参考cbnレビュー DIA-COMPE ENE 11S SHIFTER
でも製品情報をよく見ると「SRAM製品での使用は出来ません。シマノ製Dyna-Sysパーツには使用できません。」とある。やられた、ロード専用か。そりゃそうだw 使用予定のSLXのリアメカとカセットはDyna-Sysなのでワイヤーの引き量が足りないね。どうしたものか。
リサーチを続けているうちにmicroShift MTB用 スーパーライトウェイトCNCサムシフターという製品を発見します。左はダブルかトリプル、右は11s用です。右だけの単品売りは残念ながら、ありません。リアは11sのインデックスとフリクションの切り替えが可能。これはいい。気になるお値段¥16,524。でも現在欠品中で納期1〜3ヶ月。こういうニッチな製品はなかなか手に入らない。
このmicroShiftのサムシフター、仮に入手できたとして、どこにどうやってつけようか。これはどう見てもクランプ径22.2mm。やはり細いハンドルにするしかないのか。それとも分解してしまって、先のDIXNAレバーコラムマウントに付けてみるか。でも付くかどうかは、現物を合わせてみないとわかりません。これはちょっとバクチです。
ハンドルが22.2mmなら悩まないんだけどなぁ。と、ここで気持ちを切り替えてSRAMのMTB用リアシフターを眺めてみます。すると、あることに気付きます。NX以下のトリガーシフターは22.2mmハンドル用なんだけど、GX以上はMatchmaker Xという自由クランプになる。
なんかこれはいろんな対応パーツが出てきそうだ。調べてみると…やはりあった。Paul SRAM SHIFTER ADAPTOR。そうか、こいつがあればSRAMの11sシフターをドロップハンドルにセットできる。
等々、妄想は尽きません。結局まだどのシステムにするかは決めかねているところ。私のケースだとmicroShiftのサムシフターかSRAM+Paulのどちらかが現実的なような気もしますが、どちらもパーツの入手性があまり良くないという問題があったりします。
この記事に登場した主な製品と、それぞれの簡単な概要を表にしてみました。
SHIMANO SLX SL-M7000 | 22.2mmクランプ一体型シフター。Dyna-Sys11 |
DIA-COMPE ENE 11S SHIFTER | フリクションWレバー。Dyna-Sys非対応 |
microSHIFT SL-M11 | 22.2mmクランプのサムシフター。Dyna-Sys11対応 |
SRAM GX 11-speed Trigger Shifter | クランプ別体型の11sトリガーシフター。シマノとほぼ互換 |
Paul SRAM SHIFTER ADAPTOR | SRAMシフターを31.8mmハンドルに装着するアダプター |
DIXNA レバーコラム マウント | Wレバーをコラムにマウントするもの。OS, STDの2タイプあり |
ハンドルを22.2mmの細いタイプにしたり、変速を10 speed以下にするのなら選択肢はぐっとひろがるのですが、オーバーサイズハンドルでリアは11 speed, ブレーキシフトを別体とするとほんと一筋縄ではいかない感じです。でもまあ、こうやってどんなパーツ構成にしようかと悩むのも楽しみのひとつ。
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<<追記>>
この記事をお読みいただいた方々から有益な情報をいただいたので追記いたします。
XShifterについては下の記事で紹介してあります。