Schwinn(シュウィン)というアメリカの自転車ブランドがあります。1895年にシカゴで創業した米国で最も古いメーカーのひとつで、アメリカ人なら知らない人はいないくらいのブランドですが(ビーチクルーザーは特に有名)、下の記事の最後のほうでも触れたように1992年に一度倒産しています。
そのシュウインが現在北米のスーパー、ウォルマート限定で販売しているMTBのコストパフォーマンスが超絶なのでご紹介します。
参考 Schwinn Axum DP Mountain Bike with mechanical seat post, 29-inch wheels, 8 speeds, blue
スーパーで買えるドロッパーポスト付き29er
Axum(アクサム) DPというモデルです。税別ながらウォルマートで引き取ればわずか$498(記事執筆時点の為替レートで54,163円)で買える自転車ですが、ドロッパーシートポストまで搭載している29erのハードテール・マウンテンバイク。フロントフォークは100mmトラベルでマニュアル・ロックアウトに対応。
実はこのAxum DPはドロッパーポストのない「Axum」というモデルの上位バージョンとして登場しました(DP = Dropper Postの略)。そしてノーマルシートポスト仕様の先代Axumはなんとお値段$399でした。
下の動画でAxumの実際の所有者の方がレビューしています(英語)。コンポーネントは「AXE」という謎ブランドで、フロントシングル(歯数不明。シュウィン公式サイトにも言及なし。ついでに所有者も数える気なしwww)、リアは11-48の8スピード仕様らしいです。シートポストはSuntour XCじゃないかな、とのことです。
この動画を見る限り塗装はラメが入っている感じで、とってもきれいですね(Axum DPはブルーなので塗装はこれと同じではありません)。あと細かいところですがディスクローターはシュウィンの十字マークの穴が開いている専用品で、ブランディングはかなり意識しているなと思いました。
駆動系はAXEというブランド(?)他は基本ノーブランド
ドロッパーポストは KS EXA 900iという製品で当然メカニカル(KS = Kind Shockという中華ブランド)、トラベルは125mm。ディスクブレーキも当然メカニカル。ローターはフロント180mm、リア160mm。ブレーキやリム・ハブ等のメーカー名は不明です。チェーンは先代のAxumと同じならKMC。タイヤもAxumと同じなら29×2.60(これもメーカー・ブランド・銘柄は不明)。
5万円前後のMTBは日本のスポーツサイクル専門店でも見かけることは見かけるので、その意味では特に新しいものではないかもしれませんが、29erでかつドロッパーポストまで付いていて5万円台、というのはかなり攻めた価格だなぁと感じます。これが近所のスーパーで買えるなら英国のVitusなどの激安完成車ブランドもうかうかしていられないでしょう。
アメリカは人口が多い国です。日本の約3倍。市場規模も断然大きく自転車を楽しめる自然もはるかに多いです。シュウィンのような歴史のあるブランドが本気を出して激安MTBを作ってウォルマートに置いておけば本来普通に勝てる状況にあります。
というか本気で勝ちに来ているのだろうか、という気もします。国民的自転車ブランド・シュウィン復活の兆しのような気がしないでもありません。
サイズ? 1つに決まってんだろ!
ウォルマートの製品ページを見ても詳細スペックはなく、サイズにしても18.5インチのワンサイズのみ。、163cm〜188cmの人ならたぶん乗れるだろみたいなアメリカ的寛容仕様。ジオメトリなんかもありません。
サイズのことなど聞こうものなら「ビッグマックにサイズなんかあるわけないだろ? ビッグマックはビッグマックだろ?」と呆れられそうです。
重いんでしょう? などと聞こうものなら「重いかどうかって? そりゃ重いよ。」 と即答されるに決まってます。そういう細かいところをつつくのは全く野暮な自転車です。
そのあたりが逆に「北米最古参のシュウィン」っぽい感じでもあり、メイド・イン・アメリカなパーツなんか1個も使われていないのは確実ですが、なんかアメリカっぽい自転車だなと思ったのでした。近所に山や林があれば、とりあえず乗ってみる。遊んでみる。「だってMTBってそういうものだろ?」と言われそうです。なんか楽しそうな自転車です。
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