プロサイクリング

UCIによるスーパータック禁止は誰のため? ある陰謀論を考察してみる

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UCIが今年4月1日からトップチューブに座って乗る、いわゆる「スーパータック」をロードレースで禁止したことを昨日お伝えしました(下の記事)。

UCIがロードレースでのトップチューブ乗りを禁止 するとロードバイクであのパーツが流行る?
UCIが2月4日にライダーの安全に関する規則を改定しました。その結果、今後のロードレースでは次のようなライディングフォームが見られなくなります(2:34あたりから)。クリス・フルームが2016年のツール・ド・フランス第8ステージで優勝した際...

その記事の最後で「これからロードバイクでもドロッパーポストが流行するのかもしれない…」と書いたのですが、海外ではついにこんな陰謀論まで出始めました。それが下のミームです。

絵を描いたのは誰だ!

スーパータック禁止の裏には本当は誰がいるのかな? 見てやろう。と男性が囚われの身のUCIさんの覆面を取ると、そこに隠れていたのは… 「俺達にドロッパーポストを強引に売りつけたい全てのサイクリングブランド!」

果たしてこの陰謀論はやりすぎなのか。それともある程度の現実味はあるのでしょうか。

完成車メーカー・パーツメーカーにとっては追い風に

昨日の記事を書いている時、私も実は「ドロッパーポストを売るためじゃないかなー」とちょっとだけ考えました。スーパータック禁止によって一部の選手たちが損をしても、空気抵抗軽減装置としてのドロッパーポストが流行すれば、パーツブランド、完成車ブランドにとっては大きい経済効果となるでしょう。

独自形状のシートポストが多いカーボンロードの場合は、各メーカーが専用品を開発する必要が出てくる場合が多くなりそうです。するとドロッパーポスト対応版の完成車は3万円〜8万円くらいの幅で値上がりしてもおかしくありません。

山岳コースのあるロードレースで勝つには必要不可欠のアイテム、ということになれば、ロード用ドロッパーポストはたとえ性能的にはまずまずのものであったとしても、確実に売れる製品になります。メーカーにとってこんなありがたい話はないでしょう。

自転車メーカー各社の代表がUCI規制委員会の幹部たちと会食などしつつ「そろそろ新しい刺激が欲しい。我々は自転車の販売単価を上げたい。そこで相談だが…」と、胸元から1枚の写真を取り出す。そこにはスーパータック乗りをする、あるスーパースターの姿が。

Chris Froome

「これを禁止してくれるだけで、我々は潤う。そしてあなたがたの地位は、今後も保証されることになるでしょう…」

という感じの陰謀論。まぁそれはないとは思いますが、あってもおかしくはないような気はします。今回のドロッパーポストの話は別として、本当の目的が選手やレースの安全確保のためではなく、特定の利害関係者に便宜を図るためのレギュレーション、というのはどのスポーツでも、これまでにたくさんあったのではないか思います。

2023年モデルあたりから、レース仕様のハイエンドロードバイク完成車はドロッパーポストが当たり前に。またシートポストの可動域を確保するためにフレームのジオメトリも見直し。ロードバイクの外観がガラッと変わったりするのかもしれませんね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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