UCIが2月8日の月曜日、4月1日から適用されるロードレースの新ルールの一部をアップデートしました。その中に驚きの内容が含まれています。
出典 PART II – ROAD RACES Rules amendments applying on 01.04.2021 Update on 08.02.2021
前腕をハンドルバー上の支点としてはいけない
Position on the bicycle
Riders must observe the standard position as defined by article 1.3.008. Sitting on the bicycle’s top tube is prohibited. Furthermore, using the forearms as a point of support on the handlebar is prohibited except in time trials.
自転車のポジション
ライダーは1.3.008条で定義されている標準的なポジションを遵守しなければならない。自転車のトップチューブに座ることは禁止する。さらに、前腕をハンドルバー上の支点として使用することはタイムトライアルを除いて禁止する。
上で言及されている「1.3.008条」は以下になります(出典)。
The rider shall normally assume a sitting position on the bicycle. This position requires that the only points of support are the following: the feet on the pedals, the hands on the handlebars and the seat on the saddle.
ライダーは通常、自転車に座るポジションを取るものとする。このポジションが必要とする支持点は次のものに限定される:ペダル上の足、ハンドルバーへの手、サドル上への着座。
“the hands on the handlebars”(ハンドルバーに接触している手)という部分をさらに明確化するかたちで、forearms(前腕)をハンドルに乗っけちゃダメだよー、と言っているわけです。
これはすごいですね。「自転車のトップチューブに座ることを禁止する」(=スーパータックの禁止)という部分については先週、下の記事で紹介しましたが、多くのプロサイクリストから不満が寄せられたばかりです。
Speeco ABBエアロハンドルは許される?
ところで今回のルールのアップデートで、昨年12月に紹介した19万円もするSpeeco ABBのエアロハンドルは4月1日以降、UCI規約違反になる…のでしょうか?
「前腕をハンドルバー上の支点として使用する」という文言から考えると、このハンドルのショルダーに肘から先を乗せることはルール違反になりそうですが、
- いやハンドルを支えているのはあくまでブラケットを握る「手」なのだからルール違反にはならない
- そもそも今回のルール変更は安全面を考慮したものだろうから、ブラケットを握っていられるSpeecoのこのハンドルは違反にはならないだろう
等々、海外でも意見が分かれています。ただしこのハンドルが禁止された場合でもぐっと幅の狭いハンドルが流行しそうな気はします。
いずれにしても、肘から前をハンドルの上にだらりと垂らしながら高速で巡航する逃げ選手たちのあの姿が見られなくなるのは個人的にはちょっと残念です。これもUCIによる安全対策の一環なのでしょうか。プロサイクリストの多くからさらに反感の声が寄せられるのは間違いないでしょう。