GoPro Hero 10 Blackと先代のHero 9 Black、そしてInsta360 One R、DJI OSMO Actionの4台で同じ風景を撮影した動画を著名ブロガーDC Rainmaker氏がYouTubeに掲載しています。網羅的で正確な比較ではないのですが、一般人にはかなりありがたい有益な比較です(30分の大作)。
この動画ではただクリップを流しているだけなので、自分の目で見てどのカメラが好みかを判断する良い材料になります。この記事では各クリップについて筆者がどう思ったかを書いていきます。これは主観的な感想なので、あくまで受け止め方の一例としてお読みいただけると幸いです。
クリップを見た感想
以下、リンクをクリックすると別ウィンドウが開いて上のYouTube動画の個々のセクションに飛べるようになっているので、実際に画面を見ながらお読み下さい。
1:45 尾根線のグラベルロード(スイスアルプス)
機種と設定:Hero 9 (4K30, SuperView, Boost) vs Hero 10 (4K60, SuperView, Boost)
Hero 10のほうがコントラスト控え目で扱いやすい印象。山の姿を見るとダイナミックレンジも広い。路面のディテールもHero 10が圧倒的に上。晴天下のせいかHyperSmooth自体は大差ないように見える。Hero 10はコントラスト中間域の調整で見やすい画質になっていると感じる。逆光耐性も強い(Hero 9よりフレア少なめ)。
3:17 尾根線のグラベルロード(スイスアルプス)
機種と設定:Hero 10 (4K60, Boost, SuperWide) vs Insta360 One R (4K60, 最広角・FlowStateで手ブレ補正)
手ブレ補正は圧倒的にHero 10が上。Insta360 One Rも画質は悪くないがビットレートが低い感じがする(路面のディテールでわかる)
7:00 深夜ライドテスト(アムステルダムのサイクリングロード)
機種と設定:Hero 9 (1080p30, Boost) vs Hero 10 (1080p30, Boost)
シャープネスとカラーはマニュアルで同じ設定・ビットレート最高
この映像は正直驚きました! というのもHero 10は暗所性能が改善されているという触れ込みなのですが、正直大差ないように見えます。ただHero 10のほうが露出が低めに出ていて(DC Rainmaker氏によると設定は完全に同じだそう)、結果的に映像の味付けが変わって見やすくなっているような気はします。しかし暗所でのHyperSmoothは本質的に進化していないのではないか、という印象です。
動画のコメント欄を見ても「夜間はHero 9のほうがマシじゃないのか」という声があるほどです。うむむ…
9:21 夕刻の低照度下 4台カメラテスト
機種と設定:Hero 10 (4K30, Boost) vs Hero 9 (4K30, Boost) vs Insta360 One R (4K30, FlowState補正)vs DJI OSMO Action (4K30, Rocksteady)
4K30対決です。ビットレートは他のクリップも同様ですがGoProは全て最大設定です。手ブレ補正と画質ではHero 10がやはり一歩抜きん出ているように見えます。微振動ブレはHero 9よりも改善されていますね。Insta360 1Rはビットレート低めですがシャープネス処理が上手なのか見やすい映像に仕上がっていると感じました。一番気になるのはDJI OSMO Actionのビットレートの低さです。
個人的にはこのくらいの中途半端な低照度条件(平たく言うと曇り空)が一番難しいと感じるのですが、Insta360 One Rはこういう条件をうまく処理できているんじゃないでしょうか。筆者が現在使っているHero 9は、この条件では非常に良くないですね。これは予想通りでした(ファームウェアアップデートで改善して下さい!)。
12:55 山の絶景 イタリアン・アルプス(ドロミテ)
機種と設定:Hero 9 (5.3K30, Linear, Boost) vs Hero 10 (5.3K60, Linear, Boost)
5.3Kのリニアレンズ対決。これも驚き! 逆光耐性はHero 10のほうが上ですが、この比較ならリニア処理はHero 9のほうが上ですよ!多分Hero 10の60fpsだと処理が追い付いていないのでしょう。冒頭でロール方向のブレが大きく出ています。ただ5.3K30なら互角の結果が出るような気がします。
このあたりはチップセットに余裕があればファームウェアアップデートで将来的に解決される… いやHero 11に持ち越しだったりして…
13:44 山のハイキング スイス・アルプス ダイナミックレンジテスト
機種と設定:Hero 9 (5.3K30, Boost) vs Hero 10 (5.3K60, Boost)
直前のクリップと同じ設定でのテスト。レンズは広角。性能はほぼ互角という感じ(レンズフレアはやはりHero 10のほうが少ない)。ちなみに動画全体は4K30ベースでアップされているのでその点も加味して判断する必要あり。Hero 10の5.3K60はビットレートの面でそんなに無理をしているわけではないようには見えます。
15:28 山のハイキング(ラン)スタビライゼーション・テスト
機種と設定:Hero 9 (5.3K30, Boost) vs Hero 10 (5.3K60, Boost)
これもほぼ互角。
16:00 山のハイキング 4台によるカラーとダイナミックレンジのテスト
機種と設定:Hero 10 (5K60, Boost) vs Hero 9 (5K30, Boost) vs Insta360 One R (5K30, FlowState補正)vs DJI OSMO Action (4K60, Rocksteady)
ダイナミックレンジはどれも大きい違いはないように見えます。カラー面ではDJI OSMO Actionは「映える」感じの絵作り。最後の岩の表面を見ると解像感が一番高いのはHero 10。
16:31 MTBテスト 4台カメラによる最速フレームレート決戦
機種と設定:Hero 10 (2.7K240, Wide, Boost) vs Hero 9 (1080p240, Wide, Boost) vs Insta360 One R (1080p120, 最広角・FlowState補正)vs DJI OSMO Action (1080p240, 最広角・Rocksteady選択不可)
これは全部30fpsで現実の速度に合わせていますが、Hero 10の2.7K240のビットレートはさすがに低く少し無理があります。ただ240fpsでここまで出ているのは立派という言い方も出来そうです。1080p240はHero 9もDJI OSMO Actionもきれいですが、手ブレ補正は圧倒的にHero 9のほうが上(※OSMO ActionはRocksteadyが使えなくなっているので当然の結果)。なおInsta360 One Rは画質が悪く見えますが、これはレンズに汗が付いていたためだそうです。
19:17 オランダでのMTBライド 4台カメラ 4K最速オプションテスト
機種と設定:Hero 10 (4K120, Wide, Boost) vs Hero 9 (4K60, Wide, Boost) vs Insta360 One R (4K60, 最広角・FlowState補正)vs DJI OSMO Action (4K60, 最広角・Rocksteady)
4Kでの最大フレームレート対決。Hero 10の240fpsはさすがにHero 9の60fpsよりも劣りますがかなり頑張っている印象。4K60で統一したらHero 10が勝ちそうです。Insta360とDJI OSMO Actionは同レベルでビットレートはGoProよりやはり低めに見えます。
22:54 ラフなMTB スイスアルプス
機種と設定:Insta360 One R (4K60 最広角・FlowState補正) vs Hero 10 (4K60 Superwide, Boost)
最広角レンズでのテスト。手ブレ補正については比べてはいけないレベルでHero 10の圧勝。
25:48 かなりラフなMTBライド スイスアルプス
機種と設定:DJI OSMO Action (4K60, 最広角・RockSteady) vs Hero 10 (4K60, SuperWide, Boost)
これも手ブレ補正・ビットレート共にHero 10の勝ち。
28:13〜 ドローンのFPV視点対決 オランダ
機種と設定:DJI FPV Drone (4K60, ジンバル)vs Hero 10 (4K120, HyperSmoothオフ+ReelSteadyで後処理)
私はドローンに詳しくないのと、後半では再生時のフレームレート設定が謎なのでノーコメント。素人目にはどちらも悪くないように思いました(DJI FPV Droneはフレームレートが落ちているので多分画質が悪いわけではないのだろうと思います)。
Hero 10の暗所性能は劇的ではないがやや改善
全体的に思ったのは、光量の豊富な晴天下ではHero 10のHyperSmooth 4.0は確かに進化しているように見えます。しかし「暗所性能の向上」は、個人的には期待していたほどではなかったです。それでも低光量下での微細な振動はかなり改善されているように見えます。
4K120や5K240といった高フレームレート設定は、素晴らしいとは言えないまでも十分に使える画質が確保されているように見えました。普段使いする60fps程度までならどの設定でもHero 10は確かに進化しているように見えます。
Hero 10では最高フレームレートが単純に2倍になっていますが、Hero 9の最高フレームレート設定の画質よりは劣って見えます。しかし同じフレームレートなら確かに進化しているのではないでしょうか。読者の皆様も動画を見ながら観察してみて下さい!
▼ 関連記事