今年のツール・ド・フランスで優勝候補の一人、タデイ・ポガチャルがダウンヒル中に落車していました。速度を落として侵入したコーナーからの立ち上がりの時だったのが幸いしたのか、大事故には至りませんでしたが、突き出した左手が路肩のグラベルの上を滑っていくのを見て「うわーこれは痛い!!」と冷や汗をかいた方は多いのではないでしょうか。
転倒時は、本当は手を外に出して身体を庇ったりせず、バイクにしがみついたまま倒れたほうがダメージが少なくて済む、という意見を何かで読んだ記憶があります(本当かどうか知りません。場合にもよるだろうと思います)。しかし仮にそれが正しいアドバイスだとしても、つい反射的に手を出してしまいますよね。そんな時、グローブをしていないと結構な擦過傷を負います。
グローブの意義とは
Cyclingtipsのフォーラムに、このシーンがきっかけでGloves or no gloves?(グローブする、しない?)と問いかけるスレッドが立っています。
- ポガチャルがツール第18ステージで、グローブをしていない手を地面に滑らせているのを見ていたら、考えさせられました。現在のプロトンでは男性も女性もかなりの割合でグローブをしていない人がいます。私の場合、日焼けの問題もありますが多くの理由でグローブをするのが好きです。あなたはどうでしょうか?
- トレーニングではグローブをしないが、レースではする
- 同感だね。私もグローブは嫌いだが、グローブなしでレースはしない
- どんなライドでも付けていたほうが良いとは思う。自転車に乗っている時間はレース以外の時のほうが長いのだから、事故が起きる確率はもっと高くなる
- 屋内でも屋外でもグローブをしている。屋内では湿度管理になるし、屋外ではグリップと落車時の保護に良い
基本的には「グローブはしたほうが良い」という意見が多いようですね。しないほうがハンドルバーを握った時の感触が良く、多くの路面情報が伝わり、コントロール性も高まるから好きだというライダーも多いですが、グローブをすることのメリットを改めて列挙してみると
- 落車時に手の保護になる(特に掌)
- 振動吸収効果があるため、手〜腕が痺れず、疲労を軽減できる。結果的に長く乗れる
- 掌にマメができるのを防げる
- 日焼けを防げる
- ライド中に顔の汗も拭える(製品による)
- カラフルなもの・反射素材使用のものであれば路上で目立つ
等々がすぐに思い浮かびます。
私自身も、MTBに乗りはじめたばかりの頃ですが、オフロードで落車した時に砂の浮いたハードパック路面で掌を擦りむいたことがあります。コケ方に比べてダメージがかなり大きく(数日間痛い)、それ以降グローブには意識的になりました。ポタリングでは使わないこともありますが、距離が伸びると「ああっ、面倒がらずにハメてくれば良かった…」と後悔することが多いです。
ポガチャルの落車時、J SPORTSでは浅田顕氏が解説をされており、プロ選手でグローブをしないのが流行っているけれども、皆さんはしてくださいね、といった主旨のアドバイスを何度か繰り返されていたのを思い出しました。
グローブの要不要論は、サイクリング以外のスポーツでもよく話題に上ります。たとえば登山の世界でも、岩場を登る時にグローブをする派・しない派に別れたりします。ダイレクトな感触による身体能力の最適化・最大化を求めるのか、怪我のリスクや疲労の低減を求めるのか。簡単な正解のない話ではあります。
▼ 筆者愛用中のMorethanのグローブのレビュー記事です。サイズ感などのご参考にどうぞ