あるよ! 以上!で、話は終わるのですが、終わらせませんよ? 今回も無駄に長い、駄文地獄に付き合っていただきます。
さてさてTacx Neoが静かで、高性能で、スタイリッシュで、非の打ち所を見つけるのに多大な苦労を強いられるトレーナーであることは、もはや誰もが認めるところでしょう。しかもコストパフォーマンスにも優れているとなったら、もう夢見る力は絶対無敵じゃないですか!?
まさに覇権トレーナー。これからスマートトレーナーを買うなら、Tacx Neoにしておくのが圧倒的に間違いのない選択と言えます。
…だがしかし! いや、だからこそ!! Wahooの民としては、「Wahoo KICKRも良いトレーナーですよ!」と、声を高らかにしたいのです。
理由は2つ。以前の記事でも書きましたが、
- 明らかに優位なポイントがあるから。
- ネガティブポイントが致命的な差ではないから。
です。決して
泥船に同乗する犠牲者を増やしたい!」
とか
よく考えずにKICKR買っちゃったから、負け惜しみ的な言い訳をして自己正当化したい!
などという意図は、微塵もございません…よ?
Wahoo KICKRの、明らかな優位ポイント。
揃いまくったオプション群。
お金に糸目をつけず、「ぼくのかんがえた、さいきょうのとれーなーかんきょう」を実現するには、いろいろな専用オプションが用意されていることが不可欠です。
仮にお金が一時的に不足していても、いろいろ揃っていた方が後々の拡張性に期待できるのは間違いありません。
それでは、Wahoo KICKRのオプションラインナップを並べてみましょう!
- 滑り止めマット「KICKRトレーナーフロアマット」
- パソコンを置く机「KICKRバイクデスク」
- 心拍や速度に応じて、風力が変化する謎扇風機「KICKR HEADWIND」
- コースの傾斜に合わせてフロントを上下させる悪魔機器「KICKR CLIMB」
などなど、もう半端ない充実度です。「コレ商品化にOK出したの誰だよ!?」と思い切りツッコミを入れたくなる製品から、「素晴らしい!君は英雄だ!大変な功績だ!」と、開発者を賛美しまくりたいものまで。
バーチャルライドを楽しむためのアイテムが、全方位的に揃いまくっています。お金と設置スペースがあれば、全部まとめて大人買いしたいですなぁ。
ちなみにTacx用にも、USB ANT+ アンテナやボトルホルダー兼タブレットホルダーなど、いろいろなオプションが用意されています。オプションの充実度では、決してひけをとりません。
ですが、ひとつだけ「KICKRで使えるけど、Tacxでは使えない」オプションが存在します。
唯一無二!KICKR CLIMB。
「KICKRで使えるけど、Tacxでは使えない」オプション。それこそが、この斜度と連動してフロントを上下させる悪魔機器「KICKR CLIMB」です。
そして「KICKR CLIMBを使える環境がつくれるという1点だけでも、Wahoo KICKRを選ぶ価値がある!」と、断言してしまえるほどの面白さがKICKR CLIMBにはあります。
KICKR CLIMB、もう最の高としか言いようがありません。何度だって書きます。KICKR CLIMB、楽しすぎます。
ペダルの負荷増加とともに、自分の意思とは関係なくフロントがグイグイ持ち上げられる。ラジオタワーの登り(「Bonus Climb」って、こんな嬉しくないボーナスいらないよ!!涙目)や、NY KOMの斜度17%になる辺りとかで感じる絶望は、蓑毛の手前にある鳥居の辺りで感じる絶望に勝るとも劣りません。
うわああああああ! やめろ!やめてくれえええええ!!!!
デストライドに敗北してパーツを奪われる哀れな一般サイクリストのように、涙目で悲鳴をあげながら貧弱な脚を蹂躙され続ける。このリアリティ! このヒドさ! この地獄体験は、まさに悪魔的…!!!
KICKR CLIMBありとなしでは「同じバーチャルサイクリングであっても、まったく異なる体験である」と、声を大にして世界に宣言したいです。英語できないけど。
自分の意志にかかわりなく、車体が勝手に動く。バーチャルライドに、テーマパークのアトラクション的な面白さが加わります。今までのライドとは明確に違う、新しい体験のベクトルがプラスされるのです。
そう、0から1へ! 1から、その先へ!いま、全力で輝こう!こんな感じで、バーチャルライドを新しい舞台へ引き上げてくれる存在。それこそが、KICKR CLIMBにほかなりません。
設置しやすく、片付けやすい。
Tacx Neoは、収納状態から畳んだ脚を開いて展開することで使用可能になります。その時に脚部は上から下に広げることになるため、本体を上方向に持ち上げるという動作が必要になります。
重い重い、重い本体のスマートトレーナー。それを持ち上げると同時に、脚を広げる。これ、貧弱な坊やと言われたサイクリストには結構ツラいのでは?
さらに、持ち上げるということは、べらぼうに重量のあるトレーナー本体を落としたり倒したというリスクも増すということ。
ちなみに私がTacx Neoを試乗するためにショップに行ったときは、この「畳む→広げる」というセッティングを試させてもらえませんでした。
ショップが展示品の試用について、ダメを出す。それはつまり、そんな判断をするだけの理由(=リスク)がある証左にほかならないでしょう(いや「こんなひ弱そうな奴に触らせてたまるか!」という店員さんの判断があった可能性も否めませんが)。
またTacx NEOは運搬時に、上方向に畳んだ脚部の肉抜き部分を持つことになります。片手だけで運ぶのは、重量バランス的に難しそう。さらにスプロケ側のほうは気をつけていないと、スプロケと指が接触してチェーンオイルが付いてしまいます。
対してWahoo KICKRは、アームを横方向に広げるだけ。展開時に必要な筋力は、上方向に持ち上げるよりも明らかに少なくて済みます。持ちやすいハンドルが装備されていて、鍛えてる人なら片手での持ち運びだって楽勝です…多分。
いずれにしても設置と片付けのしやすさでは、間違いなくKICKRに軍配が上がると言えるでしょう。
フットプリントと占有領域が小さい。
以前レビューしたときに図版を作って比較してみたのですが、トレーナー周りのフットプリントについてはそこまで大きな違いは感じません。
とはいえ、パイプ状の脚部が低い位置にあるKICKRに対して、Tacx NEOは板状の脚部が斜め下に展開します。三次元空間的な比較だと、スペースをより多く占有するのは間違いなくTacx NEOです。
KICKRは脚部が広がっていても低い位置で横に広がっているだけなので、ヒョイッと跨げてしまいます。生活導線を思いっきり妨害する位置に設置していても、ギリギリ我慢できる範囲に収まります。
ミニベロだってOK。
Wahoo KICKRは、スプロケ位置の高さが調整できます。さらにフライホイールが別体式になっているので、ホイールサイズの小さいフレームでもブレーキなどにトレーナー本体が干渉してしまう可能性は極小です。
なのでWahoo KICKRなら、ミニベロでもZWIFTできます。もちろん100%の保証ができるはずもありませんが、少なくとも「巨大なフライホイールに直結するTacx Neoと比較した場合、装着可能なフレーム形状は明らかに多岐に及ぶ」というのは間違いありません。
うどん県メイドのミニベロTyell FX(20インチ406)は、問題なくセッティング可能。ふつうに楽しくZWIFTできています。
このおかげで助かったのは、メインのロードバイクをグランピーさんに塗装補修に出していたときです。西濃運輸が何度連絡したのも関わらず、横浜から広島までの配送に2週間近くかけやがったせいで、かなり長期にわたって手元にロードがない状態。
ですがサブのミニベロでZWIFTできたので、その間もペダルを回せました。
ネガティブポイントはあるけど、致命的な差じゃない。
明らかに敗北する静粛性。
典型的日本家屋であるところの極小集合住宅住みである自分には、トレーナーで最重視するポイントは間違いなく「静粛性」。隣や階下の部屋に迷惑をかける、というのだけは絶対に避けたいところです。
もし、静粛性に超えられない壁があったら買い換えも辞さない覚悟で、Tacx NeoとWahoo KICKRを一緒に試せるショップに行って比べてみました。
結果は「明らかにTacx Neoが静か」でした。Wahoo KICKRがフライホイールの回転に伴う高周波音を店頭という雑音だらけの環境でもハッキリ聞き取れたのに対して、Tacx Neoはほぼ無音。
静粛性においてTacx NeoとWahoo KICKRの間には、グレイス=フィールドハウスを取り囲む壁よりも高く、絶対に越えられない壁があります。
ただ、Wahoo KICKRがもうどうしようもないほどに、やかましい音を発するかというと、それは全然。
もともと静粛性に優れたダイレクト方式なので、フライホイールの回転音は全自動洗濯機よりも低い印象。ペダリングに伴う振動も「グロータック ブルカット2」で、かなり軽減できています。
うちの環境ではドア一枚隔てたリビングにいる家族がテレビを見ていても、文句を言われないレベルです(家庭内カーストは、私が最下層ですよ?念のため。)。しかも、最新モデルはさらに静粛性が上がっているらしいです。
Tacx NeoとWahoo KICKRの静粛性には、大きな差があります。間違いなく。ですが「それが致命的なネガティブになるか」というところについては、否定的です。
路面は再現できません。
Tacx Neoにあって、Wahoo KICKRにないのが、路面の状況を反映してペダルに伝える「石畳再現機能」。
ショップで試乗したとき試してみましたが、確かに石畳の凸凹路面を走る感覚でペダリングできます。リアリティ凄!なので、「この機能が絶対に必要!」という方はWahoo KICKRを選んではいけません。私は、この機能あってもオフにしちゃうと思いますが。
まとめ
Tacx Neoでは、KICKR CLIMBは使えません。KICKR CLIMB、本当に異次元の体験なので後から気になったら絶対に後悔します。せめてTacx Neoをポチる前に、いちど試してみることを強く強くおすすめします。
あ、でもそれで最安値を逃しちゃったらマズいので、やっぱりTacx Neoが安くなってたらポチりましょう! いざとなったら買い換えればいいんです!!(ブラックサイクリスト発想)
それと、Wahoo KICKRにはBluetooth方式のケイデンスセンサーと、11速のスプロケが標準で付属しています。合わせて買ったら、普通に1万円以上。これ、地味にうれしいです。
あと世紀末ロードバイク漫画の「はやめブラストギア」で、作中にがっつり登場するのはWahoo KICKRとKICKR CLIMBですぞ!(Tacx Neoは「ろんぐらいだぁすとーりーず!」のイラストに登場したりはしていますが、作中には出てきていません)
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