Wahooが初のマルチスポーツウォッチ「ELEMNT Rival」を発表しました。数年前から噂されてきた製品で、現時点では主に、というかほぼ完全にトライアスロンレースでの使用が想定されています。果たしてその実力は?
公式 Wahoo Triathlon Multisport Watches | ELEMNT RIVAL | Wahoo Fitness
参考 Wahoo RIVAL Multisport GPS Watch In-Depth Review | DC Rainmaker
目玉機能はタッチレス・トランジション
トライアスロンレースでパフォーマンスをトラッキングする場合、データの管理には大きい苦労があるようです。サイクリングだけであればGPSサイコン1つで済みますが、ランになったらデータはどうすれば良いのでしょう? さらにスイムでは? 別々に取得するのは考えただけで面倒ですよね。
ランだけならサイコンをバイクから外して一緒に走るのもありかもしれませんが、トライアスロンでは種目から種目へと移動する「トランジション」そのものも大事な競技と言われていて、あまり時間はかけられません。さらにスイムになったらサイコンなど持っていけませんよね。
しかしこのELEMNT RivalはELEMNT GPSサイコンシリーズとペアリングすることで、トランジションを自動で検知させられるのが最大の売りとなっています。スイムを終えてバイクに近付くとELEMNTシリーズのGPSサイコンと同期させられるので、スイム・バイク・ランを1つのデータとしてシームレスに扱えるので便利。
さらにトランジションの検知がうまく行かなかった場合でも手動で切り替えができる機能もあります。
他に大きい長所としては、アクティビティがStravaのようなサードパーティのプラットフォームに自動的にアップロードされてしまう前に、専用のスマホアプリでトランジションの誤りなどを手動で修正できる点。スマホアプリのこの機能は非常に使い勝手が良い、と冒頭のリンクで紹介したDC Rainmakerの記事では高評価です。
現時点で短所・欠点が多い
ELEMNT Rivalには上で挙げたような大きい長所はあるものの、一方で現時点では短所・欠点もかなりあるらしく、DC Rainmakerのレビュー記事からは「今後には大きく期待できるが現時点では微妙」という評価が読み取れます。
例えばRivalには「今のところ」できないことが多々あります。スリープトラッキングなし、音楽機能なし。インターフェースも直感的ではなく複雑。また光学式ハートレートセンサーは同氏が最近試した製品の中では最も精度が低く、GPSもGarminやPolarと同型と思われるSONY製チップセットを使用しているにもかかわらず精度があまり良くないそうです。
しかしWahooによると、同社にとってこのRivalはマルチスポーツウォッチというカテゴリーに参入するための初の試みであるため、今後ファームウェアの更新を続けることで現状で不足している様々な機能を追加していくとのこと(ただしどの時期にどの機能が追加されていくのかという具体的なタイムフレームが全く示されていないことにDCR氏は懸念を示しています)。
タッチレス・トランジション機能に魅力を感じるトライアスリートを別とすると、現時点ではマルチスポーツのデータトラッキングを考えているサイクリストにとって使い勝手はあまり良いものではなさそうです。
ちなみにセンサーとしてはANT+とBluetoothに対応しており、パワーメーター・ケイデンスセンサー・ハートレートモニターとのペアリングが可能。またインドアサイクリングオプションとしては「KICKR」がウォッチ内に表示されますが、通信はANT+ FE-CなのでKICKR以外のスマートトレーナーでも使えるようです。
いずれにしてもサイクリングメインの方は熟成を待ったほうが良さそうです。
他、基本情報としてGPSモードでのランタイムは24時間。スマートウォッチモードで14日間。チップセット自体はGalileoに対応しているものの、現時点ではGPSとGLONASSの1秒記録のみ。非タッチスクリーン式、50m防水(5 ATM)。
米国定価は$379.99、カラーはステルス・グレーとコナ・ホワイトの2色となっています。