ロードレース関連の情報ですが、非競技系のサイクリストにとっても気になる話題を見かけました。ワールドツアーチームのBora HansgroheとDeceuninck-QuickStepが今年中に全てのレースで「チューブラータイヤの使用をやめる」方向でテストを進めているそうです。
出典 Bora-Hansgrohe and Deceuninck-QuickStep looking to ditch tubular tyres entirely
クラシックレースでもチューブラー以外を検討中
ソース元記事の要点は次のようなものです。
- Specializedがスポンサーを務めるBora HansgroheとDeceuninck-QuickStepは2021年シーズン、チューブラータイヤの使用を完全に停止する見込みである
- 両チームはこれまでもクラシックレースを除いてチューブラーの使用をやめていたが、これらの(クラシック)レースでも使用タイヤを最適化すべく、さらなるテストが進められている
- Specialized S-Racingのロードチーム広報、Leo Menville氏は「(HansgroheとQuickStepは)Turbo CottonまたはRapidAirタイヤとラテックスチューブとの組み合わせだけを使うことを考えているようだ。Turbo Cottonはレースの80%で間違いなく使われることになるだろう」と述べている
- この決定は2020年に発表された、チューブレス非対応のRoval Rapide CLXと軽量なAlpinist CLXというクリンチャーホイールによるトレンドへのコミットメントを意味する
- 「チューブドタイプのクリンチャータイヤの性能を超えるようなチューブレスホイール・タイヤシステムを生み出せるようになったら、私達はそれをライダーに推薦するだろう」とRovalは述べている
- Turbo Cottonは多孔質のコットン・サイドウォールを持つ純粋なクリンチャータイヤであり、グリップや耐パンク性能よりもスピードが優先されるドライな日に好んで選択されるだろう
- Turbo RapidAirはチューブレスとの互換性に最大の注意を払って開発されたものだが、インナーチューブ必須の新型のRovalホイールとの組み合わせではグリップと耐パンク性能が高くなり、パンクが発生した場合でもリムとタイヤのインターフェースもより確固としたものとなる
スペシャライズドによる謎の「チューブド推し」
プロロードレースでのチューブラータイヤ使用率はここ数年減少傾向にあるので、それ自体は特に目新しいニュースではないのですが、興味深いのはSpecializedが(ホイールメーカーのRovalも同社の傘下)それに留まらず、チューブレスさえ放棄しようとしているところです。
昨年2020年のツール・ド・フランスでジュリアン・アラフィリップが第2ステージをチューブド・クリンチャータイヤで勝利し、その時は大変話題になりました(下の記事で紹介しています)。
スペシャライズドの去年からの「チューブド推し」は不思議な感じがします。一昔前はチューブラータイヤが転がり抵抗の面では最高であり、パンクしてもタイヤが外れないから安心だ、と言われており、その後、いやチューブレスのほうがタイヤの真円度も高いし抵抗も少なく安全だ、という話になり、今度は「いやチューブドを超えるチューブレスシステムはない」という話(Roval談)になっています。
ただしRoval/Specializedによるこの「チューブド推し」については、なぜ・どのようにそれがチューブレスやチューブラーに比べてアドバンテージがあるのか、具体的なデータが乏しいのが現状です。そのためこの「チューブド推進」の動きにはマーケティング上の理由があるのではないか、という声が多く聞かれます。
チューブドタイヤのほうがプロチームのメカニックは作業時間が少なくなりそうな気がしますし、アマチュアがプロと同じホイールを使いたいと思ってもチューブラーやチューブレスだと敷居の高さを感じて手を出しにくい、しかしチューブド仕様ならもっと買ってくれるのではないか? という思惑があるのかなと思ったりもしますが、皆さんはどう思われますでしょうか!?