ヤビツの呪い。それは、希望のサイクリングを突然阻む原因不明の謎の現象。高い場所を目指すほど負荷は重くなり、最終的には全感覚の喪失、それに伴う意識混濁・自傷行為。さらには、人間性の喪失に至る。自転車乗りがヒトである以上、避けては通れないものである。
そう言えば
まだ名乗って
いませんでしたね
私はnadokazu
ヤビツの探窟家
「駄目脚卿」と人は呼びます
というわけで、本日の駄文はこちら!
おやおやおやおや。タイトル画像の元ネタは、愛らしい絵柄で血湧き肉躍る冒険活劇ですね。特に2人の孤児が友情を育むエピソードには、心を強く動かされます。未読の方は、ぜひご一読ください。
DAHON K3は「平坦仕様」!
DAHON K3は、非常によくできた自転車です。驚くほど軽量・コンパクトでありながら、収納サイズに見合わない走行性能。ハイエンドコンパクトデジカメのような「ギュッと凝縮された中に、高性能がギチギチに詰まっている」という感じで、ガジェット物欲野郎の心を鷲掴みにしてきます。
とはいえ小径車のなかでも、さらに小さめな14インチホイール。そして3段しかない変速と、駆動系の仕様は制約を受けまくりです(さすがにこれ以上を求めるのは、無理というものでしょうけど)。
だからでしょうか。DAHON K3は、ロー側のギアでも若干重め(6速ブロンプトン比)の設定になっています。走行性能としては、完全に平坦走行前提でパラメータを振ってある(振らざるを得ない)感じです。
つまり、DAHON K3の「登坂性能」は、
「ゼロだったんだよ!」
ということ。特に、自分のような駄目脚サイクリスト的には。
DAHON K3で、峠方面に向かう。それは行ったらもう帰ることができない、片道切符の「絶界行(ルビでラストダイブ)」です。
DAHON K3で峠越え!その可能性が、ゼロとは言えない。
とはいえ、ここは日本国。普通に走っていたら、坂に遭遇してしまうことが不可避の国です。
- DAHON K3で平坦路を楽しくサイクリングしていたら、道を間違って峠道に迷い込んでしまう。
- 標高の高い場所まで輪行して、下り基調のコース設定をしたと思っていたら、なぜか激坂に出くわしてしまう(経験者談)。

そんな可能性だって、この国に住んで自転車で走る以上、ゼロとは言えないのです。
いまのままだと不可抗力で峠道に遭遇してしまったときに、速攻で天に召される可能性が高まってしまうばかり。これは、「きわめて危険な現状に置かれている」と言えるでしょう。
そうなると、必要なのは
「DAHON K3の登坂能力を、あらかじめ把握しておくこと」
それこそが、生存可能性を高めてくれる唯一無二の選択肢であるはずです。
DAHON K3の登坂性能を、どうやって確認する?
では、どうすれば、DAHON K3の登坂性能を確認できるでしょうか?
「自宅近くの坂(斜度10%)を登るとき、いつも立ち漕ぎになる」ぐらいのデータでは、自分を含めて誰も納得しないでしょう。
条件を揃え、比較対象を用意し、数値で証明する必要があります。
はっ! そういえば!
自分の手元には、ブロンプトンでヤビツ峠を登坂した際の走行データが複数あります。
同じ場所をDAHON K3で走れば、りんりんロードで実施した平坦走行実験同様に比較データが取れます。相変わらずのn=1ですが、少なくとも自分だけは納得できる検証結果が見えてくるでしょう。
そうだ ヤビツ、行こう。
過去の実験①~実験③の結果はこちらから!


実験④DAHON K3で、ヤビツ峠に行ってみた。
というわけで、自転車乗りの底辺(=ボトムズ)な脚力しかないにもかからわず、懲りずにやってきてしまいました。ここは地獄の一丁目、国道246号線のなこぎ(←なぜか変換できない)交差点です。
自転車乗りの血潮で濡れた路肩。
地獄の旅路と人の言う。
ハダノの街に、百年登坂の亡霊が蘇る。
ヤビツの高原、カナガワの宇宙に、
無敵と謳われたDAHON装甲特殊部隊。
情無用、命無用のアルミ騎兵。
この脚、30回転/分也。
最も安価なワンマンアーミー。
次回「レッド心拍」。
K3、危険に向かうが本能か。
それでは標高761Mのヤビツ峠へ向かって、「絶望の登坂」のスタートです。
名古木(ながぬき)交差点から走り出すと、すぐにガツンと斜度が上がります。サイコン読みで、5〜7%ぐらい。ですが、さすがにスタート直後だけあって、脚はまだ余裕があります。セカンドギアでも、ぎりぎり登れる感じです。
しばらくトップギアとセカンドギアで走り続けて、斜度が厳しくなるポイントにやってきました。いちばんキツイ蓑毛はまだ先ですが、もうローギアを解禁しないといけないとは…。
右親指で、変速レバーを押します。
…あれ?
セカンドだと思ってたら、ローでした!!
なにベタなことしてるんだよ…。いや、でもコレ自分で自分にあきれてる場合じゃありません。大ピンチなんですけど!!!
とりあえず、立ち漕ぎでなんとかクリアして、ほっとひと息…つけません!目の前には、いよいよ蓑毛の坂が行く手を阻みます。脚、腕、そして体幹。全身に思い切り力を込めて、転倒寸前の速度をギリギリ維持します。たまらず立ち漕ぎにスイッチしますが、すぐに耐えられなくなってまた地獄の座り漕ぎです(写真は復路で撮影)。
ヤバい…キツイ…息が上がる…心拍限界です…。下ってくるロードのみなさんに失笑されつつ、ようやく最上部の左カーブを抜けて蓑毛の坂を越えました。「ビンディング外さないとヤバい!」と、登坂中にもう何度思わされたことか…。
でもまぁ、蓑毛さえクリアしてしまえば、あとはもう知れたモノ…じゃなかったです。なにしろ、ここはヤビツ峠。地獄のまっただ中です。脚を破壊する斜度の登りは、蓑毛クリアの後にだって何度も何度も出てきます。
這々の体で菜の花台の展望台を越え、見通しがいい2カ所のストレート気味な部分(自分の中では「絶望1号」「絶望2号」と呼称)を越え、涙目になってようやくゴールに到着。
何度来ても、どんな自転車で走っても、ヤビツは地獄…地獄です…!!
あれ? でも、3段変速のDAHON K3でも、なんだかんだでヤビツ登れちゃいましたね。
DAHON K3でヤビツを登坂した結果は、どんな感じ?
こんな感じでした!
Stravaの「ヤビツ峠コンビニスタート」セグメントのタイムは、いずれも50分台。105クランクに交換したブロンプトンで登坂したタイムには追いつきませんでしたが、ノーマルクランクのブロンプトンを2分差で上回るタイムが出てしまいました。マジか…。
まとめ:DAHON K3の登坂性能でも、ヤビツは越えられる。
ヤビツに行く前は、
「ゼロだったんだよ!」
と思いっきり信じていた、DAHON K3の登坂性能。実は、全然ゼロじゃなかったです…!n=1で誤差の範囲ではありますが、ノーマルの6速ブロンプトンより登坂性能が上かもしれないというのは、驚きでしかありません。
登坂性能皆無とか思っていて、DAHON K3さんサーセンっしたーーーーーー!!!
全力で土下座させていただきます!!
ただし!
K3で登坂したあとは、ブロンプトンでの登坂後に比べて、明らかに全身がボッコボコに疲労しています。そりゃそうですよね。ブロンプトンより重いローギアを無理矢理踏んで、なんとか辿り着いたんですから。
「DAHON K3には、ヤビツを登れるだけの登坂性能がある」ことはわかりました。ですが、だからといってDAHON K3で峠越えありのサイクリングに出かけてしまったら、自分の駄目脚はそこで完全終了。目的地までは、到達できない可能性が極大です。
それにしてもビッグアップルに交換したDAHON K3は、輪行よし、平坦よし、登坂もギリギリなんとかなる!と、実におそるべきパフォーマンスを発揮しまくりです。
あとは100km超の長距離を無問題で走れたりできたら、割と本気で「無敵!」と言える折り畳み自転車になってしまうのではないでしょうか(やりませんよ!)。