チューブを入れるタイプのタイヤ(「チューブド・クリンチャー」または単に「チューブド」や「クリンチャ」ーとも呼ばれる)用に、様々なメーカーからインナーチューブが発売されています。しかし製品が多すぎてどれをどういう考え方で選んだら良いのかよくわからない、という方のために、この記事では4つの視点からおすすめの製品をいくつかピックアップしてご紹介します。
耐久性を重視したチョイス
まずは耐久性も高くパンクにも強い、最も安心して使えるチューブを見ていきましょう。「普段使い」に最適なもの。このジャンルで代表的な製品は「パナレーサー・サイクルチューブ」。サイズもミニベロ用からロードバイク・MTB用までラインナップが充実しており、入手性も良いのが特徴です。パンク時の予備に持っておくのもありでしょう。通勤通学にもオススメ。
この「普段使い」できる丈夫なチューブは、シュワルベ・マキシス・ミシュラン・コンチネンタルなど各社から出ていますが、個人的にこのカテゴリーではどの製品も極端な性能差はないように感じます。そうなると流通量が多い製品のほうが品質の面で若干の安心感が出てきます(製造日が極端に古いものを避けられるため)。
筆者はパナレーサー以外にシュワルベのチューブも使っていますが、他メーカーの品が良くないとも思わないので、そこはお好みで。迷ったらパナレーサーで良いと思います。
性能に全振りしたチョイス
次に「性能に全振り」したい人ためのチューブを見てみましょう。例えば「完成車付属のホイールシステムがちょっと重いけれど、軽快な走りを楽しめないだろうか」といった場合。あるいは「高性能ホイールとタイヤに買い替えたから、その性能を最大限引き出したい」場合。そんな時に最初に試してほしいのがVittoriaのラテックス・インナーチューブです。
最初に紹介した「普段使い」タイプのチューブは「ブチル」という素材ですが、こちらは「ラテックス」という素材が使われています。走行抵抗が少なく、ワンランク上のライドフィールを楽しめます。しかし「空気が抜けやすい」という短所があり、基本的にはライド前に必ず空気圧をチェックしてエアを補充する必要があります。一週間も放置しておいたら、ほぼペッタンコです。
それでも乗り味を楽しみたい場合にオススメです。「鉄下駄ホイールからカンパニョーロのゾンダに換えたぞー!」という方、せっかくなのでこれも併せて試してみてはどうでしょうか(下の商品は外箱が違いますが同じ商品です)。
性能と運用性のバランスを取ったチョイス
2週間も3週間も放置しても空気があまり減らないノーマルチューブは便利だけど、高性能チューブも試したい。でも1晩でガクンと空気が減る超高性能チューブは使いにくいなぁ… という方には「パナレーサー・R’AIR(アールエア)」がオススメ。このタイヤ、素材は超軽量なブチル。ノーマルチューブに比べると空気の減りはやや早いですが、ラテックスよりは断然持ちます。
筆者の700cホイールの場合、1週間放置しておいても1気圧も減るかどうかという印象です(※減り方は環境よって異なります)。軽量で、軽快な走行感覚と運用性のバランスが取れている製品だと思います。個人的にはイチオシです。
ちなみにこのR’AIR、10年ほど前はバルブの根本付近でパンクを起こす個体も多かったようですが(筆者も経験あり)、最近そういう声はあまり聞かなくなった気がします。とはいえ「性能側」に振った製品ではあるので、ある程度デリケートなものと考えて運用したほうが良いでしょう。扱いは丁寧に。
また全体的な耐久性もノーマルチューブよりは劣るので、使用頻度・バイクの保管環境にもよると思いますが、少なくとも1年に1度は交換したほうが良いです。
飛び道具
最後は「飛び道具」。と言ったら失礼かもしれませんが、最新技術が活かされた「熱可塑性ポリウレタン(TPU)」素材の超軽量チューブがいくつか存在します。いちばん有名なのはTubolitoですが、他にもシュワルベやピレリといったメーカーからこの素材のチューブが出ています(ピレリ製品についてはTubolito製造という説があります)。とにかく軽量です。
筆者は最初に購入したTubolitoが不良品だったため、その後は使用していないのですが、最近は品質が安定しているという情報もあります。1本4000円前後とまだまだ高価ですが、ブチルチューブに比べると異次元の軽さなので興味がある方は試してみてはどうでしょうか。
あまりに軽量なのでパンク時のスペアとして持っておきたい…と思ってしまいますが、私が今後これを使う場合は「普段使い」にして、逆にパンク時用のチューブにはパナレーサー・サイクルチューブのような安心して使えるものを携帯する、というスタイルになると思います(パンク修理用にサドルバッグから取り出したチューブが不良品だった!となったら笑えないため)。
サイズとバルブも忘れずに確認しよう
自分に合った銘柄(製品)が決まったら、対応するタイヤのサイズとバルブの種類・長さも忘れず確認しましょう。タイヤサイズとバルブの種類を間違えることは少ないと思いますが、バルブ長は現在使っているものの長さを測っておくと間違いないです。