WahooがELEMNT BOLTの後継製品(2021年モデル)を発表しました。製品名は「ELEMNT BOLT」のままですが、本記事では「ELEMNT BOLT V2」とします。このELEMNT BOLT V2についてオランダ・アムステルダム在住の著名ブロガーDC Rainmaker氏が初期使用感を公開しているのでその概要を共有します。少なくとも現段階では多くの問題を抱えた製品のようです。
出典 Wahoo ELEMNT BOLT V2/2021 with Color Screen & Maps: A Review In Progress | DC Rainmaker
先代ELEMNT BOLTやROAMとの相違点
まず先代ELEMNT BOLTやROAMとの相違点は次の通り。
- ROAMのような完全なルータブル・マッピングが内蔵された
- カラーディスプレイが追加された
- カラーが64色になった(ROAMは8色)
- データフィールドに色が付くようになった(心拍とパワー表示の色をゾーンごとに変えられる)
- 内蔵ストレージが16GBになった(ROAMとBOLTは4GB)
- マップセットに標高データが内蔵された(ROAMではストレージ不足のため搭載されていない)
- ほぼすべてのヨーロッパ・北米・オーストラリアのマップがプリロード済み(その他の地域はWiFiでダウンロード可能)
- ボタンはポップアップするようになり、グローブでの操作がやりやすくなった
- USB端子がUSB-Cに変更された。より耐久性がありIPX7防水に対応している
- 急速充電に対応した
- バッテリードア・キャップは交換可能になった
- WhatsApp, Line, Signal, Telegram等のメッセージング通知に対応した
- ユーザーインターフェースのフォントの多くが変更された
- アンビエント・ライトセンサー(暗がり検知)が追加された(ROAMにはあったがBOLTにはなかった)
- サイズはやや大きくなり重量も61gから70gに増えた(ROAMは95gでGarmin Edge 530は79g)
- 駆動時間は公称値15時間で変わらず
DC Rainmakerによる評価
以下、DC Rainmaker氏による評価の抄訳・要約です。
- 新型BOLTはフルカラースクリーンとフルマップを搭載しており、基本的にはWahoo ROAMのミニ版だ。ROAMは$379だがBOLT V2は$297だ
- ROAMにはないようなユニークな新機能はほとんどないので、より安価で小型のROAMが欲しい人には向いているかもしれない
- ROAMにないハードウェア上の特徴はUSB-C充電だ。ついにUSB-Cに対応した!
- これまで私が行ったGPSユニットのテストの中では、最悪の経験をした
- データフィールドは更新されるまで時に2〜3分かかり、絶え間なくクラッシュし、複数のセンサー(心拍・パワー・ケイデンス・eTAP)で信号落ちが定期的に発生した
- 昨日のライドでは6マイルほど道を間違えて走ることになった。マッピングは現在位置から数分ずれることがしばしばだ(うまく行った時でさえ)
- 大量のライドファイルが失われた
- ライブトラッキングはランダムに1マイル遅れる
- 今日はライド中にクラッシュし、センサーからの信号が頻繁に途切れた(スパイクを記録することもあった)
- マップ・ターン通知は平均で30〜90秒遅れる
- 不具合のリストには枚挙の暇がない
- 私はWahoo TICKR HRストラップと単一のパワーメーター、Stravaルートとのシンクロなど一般的なユーザーのように使用した
- Wahooは、私が経験したトラブルは(筆者が居住する)アムステルダムの自転車ルートとマップデータの密度に関係があると考えている。実際、アムステルダムから離れるほど安定性は向上し、家に近くなるにつれて動作は悪くなっていった。ただそれも一貫性のある動作ではなかった
- しかし私が信頼する知人たちは問題を経験していない。それは彼らがアムステルダムのような自転車道や自転車インフラが充実した場所で乗っていないからかもしれない
- 既存のROAMユーザーがBOLT V2を選択する理由はないと考える。いくつかの新しい改善はあるが、本当に小さいサイズが必要というわけでないのなら買い替えの価値はない
- またこのモデルは$299のGarmin Edge 530から市場を大きく奪えるとは思わない。Edge 530にはWahooにない機能がたくさんあり、大まかに言って最近では非常に安定していて信頼できると評価されているからだ
DC Rainmaker氏が使用したユニットはWahooからの貸与品で、今回のレビューはあくまで初期の使用感でありフルレビューではない、と同氏は強調しています。また、これらの不具合がすぐに治るものなのか、時間がかかるものなのか、あるいはずっと治らないものなのかはわからない、とも語っています。
同氏は3年前にEdge 520 Plusをテストした際にも、アムステルダムでは地図関連機能がうまく動作しなかったと語っています(しかしセンサーの信号が落ちたり、走行データが失われたりクラッシュするといった問題はなかったとのこと)。もし原因がマップの複雑さに起因するものであれば、将来的なファームウェアアップデートで改善されるかもしれないので、ELEMNT BOLT V2を検討中の方は少し待ったほうが良いかもしれませんね。
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