イタリアのVittoria(ヴィットリア)がTPU(サーモプラスティック・ポリウレタン)素材の超軽量インナーチューブ「Ultra Light Speed」を発表しました。同社製の標準的なブチルチューブに比べて70%軽量・14%高速、かつ耐パンク性能が57%向上しているとされています。
TPUチューブは他にTubolito, Reveloop, Schwalbe, Pirelli, Foss等から発売されていますが、タイヤ・チューブ大手としてはVittoriaも加わることになりました。保守的な超大手Continentalが今後どう出てくるかも気になるところ。
公式 Ultra Light Speed Inner Tubes – Vittoria
700×25/30cのみ・ディスクブレーキ専用
今回発表されたのは700×25/30c対応の1サイズのみで、重量は30g。素材は100%リサイクル可能で、リムの発熱には弱いためディスクブレーキ専用とされています。バルブ長は60mmで、バルブコアが取り外し可能なのでディープリムでは自前のエクステンダーがあれば対応できるとのことです(50mmディープまで対応)。
製造はドイツ。リペアパッチとクリーニングクロスが標準で付属します。価格は1本$30。発売開始時期は現時点では不明です。
他社製TPUチューブとの違い
他社から出ているTPUチューブとの違いは何でしょうか。Tubolitoの製品にはリムブレーキでも使えるもの・使えないものとがあり、例えば最軽量のS-Tubo-Road(18-28mmタイヤ対応・40mmプラスチックバルブ+40mmエクステンダー・23g)はディスクブレーキ専用。Vittoria Ultra Light Speedも30gと超軽量なのでウォールが薄く熱に弱いのか、ディスクブレーキ専用です。
一方シュワルベのAerothanはすべてのバリエーションでリムブレーキでの使用が可能とされています(公式サイトFAQより)。Aerothanのロード用最軽量モデル「Aerothan Race」の重量は41g。これ以上軽いとやはりディスク専用となるのでしょうかね。Revoloopはディスクブレーキでの使用を推奨(同社FAQより。リムブレーキでの使用を禁止してはいない)。
Vittoria Ultra Light Speedの良いところはパンク修理キットが付属しているところです。TPUはもともと耐パンク性が高いとされていますが、それでもパンクした場合はブチルチューブで使うような一般的なパッチキットとの相性は悪く、専用パッチを現場近くで入手するのは困難。事実上、専用パッチキットの購入・携帯が不可欠ですが最初から同梱されているのは助かりますね。
逆にVittoriaでは現状対応サイズが700×25/30cのみなので、グラベルロードやMTB向けのサイズ、より耐久性が高いバージョンを希望する場合は他社製品も併せて検討したほうが良いでしょう。
ちなみにPirelliのP ZERO smarTUBEはバルブコアが取り外しできず(60mmバルブ)、パンク時は修理不可とされています。ピレリはこのあたりで少し見劣りしてしまいますね。