一部のスポーツ自転車用タイヤには、タイヤ交換時期の目安となる「トレッド摩耗インジケーター」が備わっているものがあります。どんなものなのか、一緒に見ていきましょう。
凹みが見えなくなったら交換時期
現在たまたま筆者の家にあるタイヤの中で、「トレッド摩耗インジケーター」の存在が確認できたのはコンチネンタルとIRCのタイヤです。下はContinental Grand Prix 5000で、白い丸で囲った部分に見えている凹みがそれ。英語では”Tread Wear Indicator”、その頭文字を取って”TWI”と呼ばれたりもします。下の写真でも、上の白丸の左隣に「▲ TWI」という記号が読めますね。
コンチネンタルのヘルプページ(2019年4月5日公開・2021年4月13日更新)では、次の製品がTWIをフィーチャーしているとあります(GP4000SIIが皮切りだったと聞きます)。また「この機能は段階的導入なので、同じタイヤでもTWIがない場合があります」という説明もあります。
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私はこのトレッド摩耗インジケーターをほとんど意識してこなかったので、最近IRCのロードプラスタイヤである「BOKEN PLUS (650 × 47B)」に謎の穴を見た時、何だこれ? と思ってしまいました。すると読者の方が「それはTWIでしょう」と教えて下さいました(ありがとうございます!)。
このTWIのあるタイヤは、他にもあるでしょうか。調べてみたところ、Schwarbe Pro One、あとGIANTの一部のタイヤにもあるそうです。またTWIは、これらの写真で見られるような「穴」の他に「溝」であることも、あるようです(TWIであるかどうかをメーカーが明示的に謳っていなくとも、トレッド面の「模様・溝」が見えなくなってきたら、普通に考えれば交換時期でしょう)。
私の限られた経験では、ミシュラン・ヴィットリア・ヴェロフレックス・TUFO・パナレーサー等のタイヤでこれを見た記憶がないのですが、「このタイヤにはあるよー」という情報をお持ちの方、教えていただけれると幸いです。近年はこれがあるモデルが増えているのでしょうか。
目安にはならない場合も
さて、この「トレッド摩耗インジケーター」ですが、あまり当てにならないという話も耳にします(タイヤの寿命が来たと思ったらこれをやっておけ!というアドバイスに感心する声という記事で紹介しています)。特にコンチネンタルのGP5000系では、このインジケーターが見えていてもサイドウォールが先に逝ってしまうのだとか。
実際どうなんだろう、と、筆者も買い物用自転車に払い下げたお古のGP5000を観察してみました。すると確かに、TWIはまだなんとか穴が残っていたのですが(記事冒頭の写真)、リアタイヤのショルダー部に下の写真のような損傷を発見しました。写真からは少しわかりづらいのですが、ケーシング内の糸が露出しています。
これはそろそろパンクしてもおかしくない状態ですね(ゴム自体が経年劣化でひび割れ乾燥していて、無理もない感じではあります)。「トレッド摩耗インジケーター」は、トレッド面の摩耗については参考情報になりますが、ショルダーやサイドウォールの摩耗については、あまり役に立たなさそうです(せっかくなら穴の1つを肩側にずらしても良いような)。
余談ですが、筆者はレースに出ませんし、コーナーでバイクを倒すような乗り方も、まずしません。そんな私のタイヤでもショルダーがこのような損傷を見せているので、コンチネンタルのタイヤはショルダーから下側がトレッド面よりも早く消耗・劣化する傾向はあるのかもしれないですね(GP5000のこうした終わり方は海外でもよく報告されてもいます)。
筆者のこのタイヤは、何か鋭利なものがめり込んだ結果にも見えるのですが、皆様もマメに点検してみてくださいね。