昨年2022年7月に開催された「Eurobike 2022」において、Garmin Variaレーダーに対抗する初めての製品群としてMagene L508とBryton Gardia R300が発表され話題になったのは記憶に新しいところ(初出記事)。Magene L508については今年の1月、英国メディアによるレビュー記事を紹介しました。
この記事では、オランダ在住の人気テックブロガーDC Rainmaker氏がBryton Gardia R300を数ヶ月間使用した感想を昨日アップしていたのでその概要を紹介します。
出典 Bryton Gardia R300 Cycling Radar In-Depth Review
公式 Bryton Gardia R300
Gardia R300の問題点
同氏の意見では、Bryton Gardia R300には大きく3つ問題点があるそうです。
- 乗り物を完全に見逃してしまう
日当たりの良い開けた農場道路を3時間ほど走っていたところ、Gardia R300は1時間に1〜3回、追い越してくる乗り物の検知に失敗していた。私と同じような速度でゆっくりと接近してきたクルマではなく、明瞭な条件の道路で30kmh/50kmhで走っていたクルマだった。小さいクルマでもなかったし、ごく普通の小型SUVやセダンなどだった。同時に稼働させていたVariaは問題なくクルマを検知していた - 乗り物の検知の遅れ
いくつかのライドでは乗り物の検知が極端に遅いことがあった。Variaなら100メートル以上離れたクルマを検知しているのに、Gardia R300は検知しない。Gardia R300はクルマ2〜4台分というギリギリの時になってはじめてクルマを認識する。スピード域が近い時、検知したクルマが消失するのはVariaでもあることだが、Gardia R300の場合はもっと悪い - 誤検知アラート
私と他の人が経験したいちばん大きな問題は、実際はクルマが存在しないのにレンジの端っこで短時間のフォールスポジティブ(=偽陽性。正常な事象を異常として検知すること)が発生することだ。あまり心配することではないし、Garminのデバイスでもたびたび起こる。都市の高密度エリアで、ガラスと反射の多い建物がトラフィックを映し出しているとそうなることがあるし、Gardia R300が同じ動作でも心配はしない。しかし、空っぽの田舎の農場道路での誤検知なのだ。空っぽで静かな部屋でこれを書いている今でも、電源を入れてペアリングしておくとたまに何か探知している
また、あまり深刻ではないもののマイナーな問題点として次の3点が挙げられています。
- Variaでは高速で危険な追い抜き車両が赤でフラグされるところ、Gardia R300では通常車両として表示される
- Bryton appと既存のバイクコンピューターでは距離が一致しない(Gardia R300は190mまで、Variaは150mまで検知するとされているのでそのせいかもしれない)
- 隠れたクルマ(クルマの後ろにクルマがいる場合など)の検知は、Variaよりも苦手であるように見える。これはVariaでも難しい問題だが、複数台のクルマの認識はVariaほど上手にはやれないようだ。Gardia R300が2台のクルマを表示している時、Variaは3台表示しているという具合だ
road.ccによるMagene L508 レーダーテールライトレビューでは、検知失敗こそあまりなかったものの、接近中のアラート時間は短いという指摘があり、その点はBryton Gardia R300も似たような動作のように見えます。
これまでGarmin Variaに対抗する製品が出てこなかったのは、特許絡みの事情もあるとは思いますが、検知失敗(フォールスネガティブ)が基本的には許されないデバイスなので、精度の高いアルゴリズムを極めるのがそう簡単なことではないのが理由だったのかもしれませんね。
Bryton Gardia R300は製品発表から9ヶ月、ヨーロッパ・アジアでの販売開始から4ヶ月が経過しているものの、多くのユーザーがフォールスポジティブを経験しており、修正が簡単ではないことがうかがえます。DC Rainmaker氏は、お手頃価格のレーダー製品が各社から出てきていること自体は歓迎しているものの、いまのところBryton Gardia R300はパス、とのことでした。