風の谷ならぬ、チャリの沼のナドカズです。
その者、青き自転車をまといて
岡山の野に降り立つべし。
古き言い伝えはまことであった…!
というわけで、本日の駄文はこちら!
前回のラブライb…あらすじ!
(♪ デン! パラパッパパッパッパー)
「おりたたみ自転車で旅しています」を
読んだ私を待っていたのは、
自転車旅に出かけたい!
という止められない衝動。
「私の輝かしい自転車生活が〜」
廃人化を阻止するためには、
自転車を連れて旅に出るしかない。
そこで私は、いま大流行の
ジャンボフェリーに乗って、
輪行旅行をすることにしたの!
でも!
客先「納品の先延ばしは、無しです!」
上役「自分のために何をすべきか、よく考えるべきよ」
それでも私は 輪行自転車旅がしたい。
諦めきれない!
私、やっぱりやる!
(♪ さぁ~夢をー)
▼ 前回記事
短すぎる四国滞在のあと、岡山県「児島」へ!
「うどん」と「Tyrellファクトリー訪問」というミッションを完了させて、高松駅から快速マリンライナーに乗車。瀬戸大橋を渡って、サクッと本州に戻りました。
よくよく考えると、四国で過ごしたのはわずか5時間。半日かけて辿り着いたのに、滞在時間短すぎ!
…とは思いますが、そこは「もう一度行く理由ができた」と考えるべきでしょう。FSXでのTyrellファクトリー巡礼も、ぜひやりたいですしね。
それはさておき、瀬戸大橋を渡って下車したのはJR瀬戸大橋線の児島駅。駅から750mほど離れた(Google経路探索による)旧児島駅からは、「風の道」が旧下津井駅跡まで伸びています。
「風の道」は下津井電鉄の線路跡(1914年開通・1990年廃線)を利用した歩行者・自転車専用道で、距離は約6.3km。
「現存する下津井線のホームや架線柱などが見られます*」
「旧鷲羽山駅付近で瀬戸内海の雄大なパノラマが楽しめる*」
などなど、見どころ満載(*倉敷市公式観光サイト 倉敷観光WEB「風の道」より引用)。
2023年の個人的No.1自転車書籍「おりたたみ自転車と旅しています」に掲載されている、「廃線跡とレールの音」にも登場。その魅力が、とても叙情的に描かれています。
ちなみに私、書籍に掲載されるより前に、星井さえこ先生のサイト「#チャリと来た」でアップされたときから、ずっと「行ってみたい」と思ってましたよ?(ウザい古参アピール)
荷物を背負って、想定外の登坂!
それでは、ということで聖典に記されたとおり、児島の街中から「風の道」に向かい…ませんでした。
なぜならパソコンにタブレットに充電器などなど、自転車旅にはおよそ必要とは思えない大量のオモチャを満載したバックパックを背負っているから。まずはこの重い荷物を宿泊予定のホテルに預けないことには、サイクリングなんてしていられません。
児島駅から宿泊予定のホテルまで、最短ルートならわずか数キロ。控え目に言って楽勝で…あれ…? なんだか脚が重たく…なにこの坂…斜度…が…ぐはっ!(吐血)
いい感じの眺めが望める場所に来てしまいましたが、「それだけの高さを登らされた」ということですよね…。下調べ不足で、完全に想定外だった坂が登場。思いのほかキツイ斜度と長さの猛攻を受けてしまい、あえなく撃沈されました。「風の道」には、まだ辿り着いてすらいないというのに…。もうやめて!脚のライフはゼロよ!
さらによろしくないのが、ピークを越えたらホテルまでは下りが続いていたこと。明朝ホテルから児島駅に向かうときには、この下りが登坂路になるってことですよね。
やだーーーーーー!!!
旧下津井駅跡から、「風の道」へ!
荷物を預けて、身軽になったら再出発。瀬戸大橋をくぐって、いよいよ本日のメインイベント!旧下津井駅跡に向かいます。
下津井港近辺の街並みを抜けた先にある、旧下津井駅跡。そこには、当時の電車が何両も保管されていました。風雨にさらされていますが朽ち果てたりはしておらず、ある程度のメンテナンスはされている感じです。
児島方向を見てみると、少し先まで線路が残されたままになっています。ホームに立っていたら、いまにも電車がやってきそうな感覚にとらわれました。1954年頃には海を渡って琴平まで行く「下津井電鉄・関西汽船・琴参電鉄」の、3社連絡乗車券があったのだとか。
そんな在りし日の隆盛に思いを馳せつつ、サイクリングがスタート。ホームの脇から「風の道」に入って児島方面に向かって走り出すと、路面はいきなりグラベルでした。歩行者・自転車専用道のはずなのに、舗装されてません。これロードバイクだと、パンクを心配するレベルです。
さらに想定外だったのが、かなりガッツリした坂道が続くこと。廃線跡だというのに、この斜度はいったいどういうことなんでしょうか? つくば霞ヶ浦りんりんロード(筑波鉄道ルート)の獲得標高をすべて足し上げても、ここまで登りませんよ! 責任者の方は、一歩前に出てください!
さらに!交差点付近がアスファルト舗装されていてるのですが、これでようやく舗装路を走れる…と思ったら、その先ですぐ未舗装に逆戻り。ぬか喜びさせられて、落胆はひとしお。度し難い…!度し難いぞ…!
路面はガタガタで、荒れまくり(ゆるポタ民基準)。そして、登っても登っても終わらない坂道。見晴らしの良さに、結構な高さまで登らされたことを実感します(本日2回目)。
「屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ…」
謎の怒りに全身を震わせていると、ようやく舗装された区間に入りました。ああ…やっぱり舗装路は走りやすい…。
さらに朗報が!旧鷲羽山駅跡を過ぎたら、そのあとは下りです!!
旧児島駅跡までの道中では、あちらこちらで桜がバッチリ満開。思わず、口元が緩みます。自転車を停めて、写真を撮りまくりです。
旧児島駅付近には大通りに分断されている場所が2箇所あるので、横断歩道まで大回りして迂回。そして風の道に戻ると、路面がまた変わりました。今度はテニスのクレーコートみたいな感じ。アスファルト舗装ではありませんが、パンクの不安は圧倒的に低いです。
ゆるゆる走っていると、かなりアッと言う間に旧児島駅に到着。「風の道」全線走破は、まぁ楽勝でした!(坂でズタボロになってないとは言ってない)
まだまだ続く、廃線跡。「茶屋児島自転車道」へ!
「風の道」を走破して旧児島駅に到着しましたが、まだまだ時間はあります。そこで旧茶屋町駅まで続く、「茶屋児島自転車道」を走ってみることにしました。
この道も、下津井電鉄の廃線跡。なのですが、茶屋町〜児島間は児島〜下津井間よりも早い、1972年に廃線となっています。その後、用地が倉敷市に売却され自転車道として整備されることになった、という経緯のようです。
「茶屋町児島自転車道」と書かれているページも普通にヒットするので、正式名称をググってみたのですが公的機関のサイトの記述が全然みつからないんですよね。唯一引っかかった岡山県道路整備課の文書では「茶屋児島」だったので、たぶん「町」は付かないのが正しいはず。
それはさておき、サイクリングロードとして整備された時期は茶屋児島自転車道の方が先なのですが、風の道よりも圧倒的に舗装区間が長いです。
さらに!桜のトンネルになっている箇所も複数、しかも距離も長くてニヤニヤが止まりません。
マスクをしていなければ不審者として通報されかねない、キモい笑顔で舞い散る花びらの下を高速で駆け抜け(速度約8km/h)ていると、道はだんだんと内陸部に入っていきます。そして進行方向を見てみると、この先もう明らかに平坦じゃないことを予感させる風景が…。
以前、廃線跡のサイクリングロードについて「基本的には平坦基調であることが、大きな魅力」だと書きました。だって、そこはかつて線路が通っていた場所。無茶な登坂は、存在してはならないのです。
▼ 参考記事
なんですが!
ここは、山岳国家日本国。そりゃ普通にありますよね、坂道…。激坂ではないにしても、きっちり「登坂」させられました。
RWGPSによると、距離およそ3kmで獲得標高は約60m。走ったことをトラウマ体験として記憶から抹消するには、もう十分すぎる坂スペックでした。
右手に瀬戸大橋線の高架が見えてくると、間もなくゴールです。そして、ここでも桜のトンネルがお出迎え。またしても頬が緩みまくります。
旧茶屋町駅に到着!トータルの距離約15kmで、獲得標高は115m(RWGPSによる)。いや〜、こっちもいい道でした(坂のことは記憶から消去)。
足を伸ばして、倉敷美観地区へ!
茶屋児島自転車道を走っていて気になったのが、路面に「倉敷美観地区」への誘導案内が記されていたこと。旧茶屋町駅まで来てしまうと路面の案内は見当たらなくなってしまいますが、せっかくだから俺はこの倉敷美観地区まで足を伸ばすぜ!
Google検索によると、茶屋町駅から倉敷美観地区までは約6km。こんなの楽勝!…と思いきや、ルートに引かれた道路は路肩極狭!そのうえ、ずっと渋滞の連続!!
たったの6kmが、こんなに長い道だったとは…。
ようやく辿り着いた、倉敷美観地区。さすが有名観光地だけあって、金曜日だというのに人並みがハンパありません。人気の無いところで写真を撮って、あとは押し歩きで移動します。
もうちょっと遠景で撮りたいのですが、これ以上広角にすると人が入っちゃって無理。自転車を停めておく場所も無さげですし、早々に撤退です。ここには、嫁様と公共交通機関で来るべきでしたね。
脚を破壊する、Google経路探索の罠!
それでは、ホテルに戻るとしましょう。茶屋町まで戻っちゃうと余計な距離を走ることになるので、児島までの最短ルートをGoogle様に算出してもらいました。超高性能コンピュータの能力で、最も効率良く走れるルートを提示してくれるはずです。
そして40分後。Google経路探索アプリの指示通りに進んで、こんな見晴らしのいい場所を通過することになりました。ここまで来るのに、どえらい斜度の坂を延々と登らされています。コレ、いったいどういうことですか、Googleの中の皆さま!?
児島に到着するまでには、さらに約40分の時間が必要でした…。バタリ。
再び「風の道」へ!
さてさて、こんどは旧児島駅跡から、下津井方面に向かいます。ちょうど陽も暮れかけてきて、いい感じの時間帯です。
旧児島駅はしっかり整備されていて、構内跡に自転車乗り入れオッケー。
あとは「おりたたみ自転車と旅しています」に登場していたカットを、回収しまくりです。
というかGoProで録画しっぱなしなので、自動でカット回収できちゃってるだけなんですけどね。
それにしてもアクションカムで撮影した動画からの切り出しで、ここまでの画質。普通のデジタルカメラ、そりゃいらなくなりますわ。
旧鷲羽山駅に、再び到着。スマホでKindle本の画面を表示させつつ、シャッターを切りまくります。うーむ、ここはもう少し左に寄って撮るべきだったか…。
この先、旧下津井駅までは下り坂。ですが路面はグラベルになっちゃうし、ホテルまでの登坂距離が間違いなく増えます。なので、ここで風の道を外れて道路に降りました。階段をかなり使いますが、小径折り畳みなので無問題ラ!
下津井電鉄の廃線跡を走ったから、下津井電鉄のホテルに泊まろう。
本日宿泊するのは、「下電ホテル」。その名の通り、下津井電鉄の運営するホテルです。
周辺には、他にもいろいろなホテルがあります。そんな中から下電ホテルを選んだ理由は、もちろん「おりたたみ自転車と旅しています」に載っていたから。
でもまぁ、廃線跡をサイクリングさせてもらったことだし「せっかくだから、下津井電鉄のホテルに泊まろう」というのは自然な流れですよね。
ちなみにフロントの方は「おりたたみ自転車と旅しています」のことをご存知なかったので、スマホで電書の画面を差し出して思いっきり布教しました。なんてウザイ客…!
部屋からは瀬戸大橋はもちろん瀬戸内海に浮かぶ島々と行き交う船を眺められて、控えめに言って最高。
ロビーにはインスタ映え用アイテムも完備され、抜かりがありません。
疲れているはずなのに、全然ウトウトしません。部屋で景色を眺めたり、館内のあちこちで写真を撮りまくっていたら、アッという間に夕ご飯の時間です。
えぇっ!?分厚いトロにウニまで乗っけちゃうなんて…こんなの犯罪なんじゃ…!
アワビの柔らか煮。丁寧な仕事を感じる美味しさ。
ありがとう、牛…ありがとう…。
ほかにも海の幸と山の幸が盛りだくさん。体重をしっかり気にする生活のまっただ中だというのに、今日ばっかりはリミッター完全解除。満腹中枢からの信号をガン無視して、食べまくりました。これは、間違いなくギルティ…。
「凜は知ってるよ!体重落としたあとに気を緩めてドカ食いしたら、瞬く間にリバウンドするんだってこと!」
カロリーを摂取したら、その分だけ体重は増加するのが自然の摂理。かなり無茶して食べちゃったので、いったいどんなことになっているのでしょう…。
夕食後に、大浴場で2回目の入浴。おそるおそる体重計に乗って、どれだけリバウンドしているのか確認すると…あれ?
増えてなーい!むしろ、前日よりも減ってる!!
1kg…いやヘタをすれば、一気に2kg増もあるのではないか?という予想は、あっさり覆されました。まぁ、いつもの体重計じゃないので、表示誤差のセンも捨てきれないんですけどね!
思い返してみると、今日の走行距離は約90km。激坂は無かったものの、きっちり坂も登っています。しかも使っているのは、折り畳み小径車です。食事前に、かなりの体重減少があったということなのでしょう。たぶん。
どれだけギルティな食事をしても、リバウンドの心配がない。
そう、Tyrell IVEならね。
「折り畳み自転車でのサイクリングはダイエットに効く!」ということを、身をもって実証してしまいました。折り畳み自転車にはこんな副次効果もあるので、ご検討中の方は今すぐ自転車屋さんに行ってください!
まとめ
「風の道」は在りし日の隆盛を感じつつ、瀬戸大橋の眺望や満開の桜が楽しめるとてもいい道でした。夕暮れ時に走ると、抒情的な雰囲気も倍増。見晴らしの良い場所があるので、坂だって許せます。
駅の跡地には古い駅名標なんかもバッチリ残されていて、ロマンティック大爆発!
ただし!
未舗装区間が結構な距離だし、大通りに分断されてる箇所もあったりします。いずれにしても、ロードですっ飛ばすような道ではなく完全に「ゆるポタ向け」ですね。
また、児島〜下津井間は数キロ。アッという間に走り終える距離で、朝から行くと時間が余りまくります。「風の道」はいい道だけど、そこだけを走りに行くのは勿体ないです。茶屋児島自転車道のほか、高松や倉敷、岡山エリアのサイクリングとセットでプランニングすることをオススメします。
そうそう、あと走っていて気になったのが、設置されているルートの案内。児島から茶屋町へ向かったときは、自分がアホなせいもありますが何度か道をロストしています。
なんですが、逆に茶屋町から児島方向に向かったときは、迷うことがありませんでした。茶屋町方面に向かって走ったときにルートをロストした場所でも、案内をキチンと発見できています。
あとでGoProの動画を見返しても発見できなかったので、もしかして茶屋児島自転車道って上り方向の案内が足りてないかも?
それと下電ホテルのほかにも、競輪場の施設を使った「KEIRIN HOTEL 10 by 温故知新」が宇野にあったりするので、プランによってはそちらを検討するのもアリです。
次回予告
「岡山」「桜」そして「聖地」!
3つのキーワードを持つサイクリングロードへと、さらに続いていく巡礼の旅路。その続きはこちら!