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サイクリング

世の中には3種類の人間がいる。ハワイを走ったことがある人間と、走ったことがない人間と、どちらでもない人間だ

馬鹿野郎!
老いも若きも男も女も、「仕事が忙しくて休めない」だの「自分だけ休むのは気が引ける」だの、社畜として身も心も飼い慣らされた心の貧しい人ばかり!
休めないなんて思い込みだ!
会社にはお前の代わりはいるが、お前の人生にはお前は一人しかいないんだよ!
本当は1年間くらい仕事を休んでちょっと長い旅行を。
そんなのが当たり前にできるといい。それができるだけで人生の幸福度はハネ上がるだろう。
はたちそこそこで就職したら、次にその夢が叶うのは定年退職後。
遅い、あまりに遅すぎる。
そんなことをしたらおそらく休み明けに職場に机がなくなってしまうような現状、いち個人だけを罵倒してもこの国のブラックさは払拭されないだろう。
どうやらここは俺の体験談を通して、今しかないこの時の幸せに気付いてもらうしかない流れのようだな・・・

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

あれは俺が弟の結婚式のためにハワイを訪れた時のことだ。

日本はハワイよりも19時間進んでいるので、「昼に日本を出発し、普段より短い夜を飛行機の中で過ごしたら、朝のハワイにつく」

何を言っているのか、わからねーと思うが(以下略)

俺「どうかな?眠いかな? 1日目に自転車を借りて走り回る体力的余裕があるかな? 1日目は部屋で大人しくしておこうかな・・・」

ドゴォォォン!!

その瞬間、部屋に荷物を運びこもうとしていた謎の初老のホテルマンの上腕二頭筋が荒々しく隆起し、剛腕パンチで俺を吹っ飛ばした。

馬鹿野郎!ここで1日目を寝ることに費やしてしまうと、もったいないのはもちろん、夜に眠れなくなり、2日目に時差ボケを引きずることになるぞ! それに、何も1日目にいきなり遠くに出かけたり本格的なヒルクライムをしたりする必要はなくて、右側通行に慣れたり、土地勘を得たりすることを目的に、イージーライドすることにすればいいんだよ!

朦朧とする意識の中、俺はハワイのスコールが空にかけた虹を見上げていた。

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

レンタルしたロードバイクでハワイを走る
 
謎の初老のホテルマンの言葉で覚醒した俺は部屋に荷物を置くと、意気揚々と「Bikeadelic」の門を叩いたのであった。

cbnレビュー Bikeadelic Hawaii

俺「予約の小林つよしです!」

その瞬間、店の奥で腕立て伏せをしていた筋骨隆々の謎の初老のマッチョの目が鋭く光り、目にもとまらぬスピードで俺の方に歩み寄ってきた。

謎の初老のマッチョ「ツヨーシ!Youのバイクはバッチリ整備して君を待っていたよ!ほら、約束のTrek Domane SL 6 (54cm)だ!」

そこには、あのファビアン・カンチェラーラも駆ったという「Trek Domane SL 6」の姿があった。真っ赤なフレームは好みである。俺は自転車の回りをぐるりと回り、細部までを見渡した。

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

俺「ホイールは何ですか?」
謎の初老のマッチョ「H PLUS SONです」

レンタルしたロードバイクでハワイを走る
 
俺「鉄下駄ですね」

ドッギャァァァン!

その瞬間、謎の初老のマッチョの上腕二頭筋が荒々しく隆起し、たまたまその場にあった象のようなモンキーレンチで俺を吹っ飛ばしてこう言ったんだ(英語で)。

馬鹿野郎!軽量性とか剛性とかまっすぐ走れないとか己の失敗を機材のせいにばかりしている弱腰野郎め!たとえR500だろうがH PLUS SONだろうが、魂をこめて踏めばそれがライトウェイトにでもBORAにでもなるんだよ!

その瞬間、俺と謎の初老のマッチョは国籍と言葉の壁を超えて完全に意気投合し、熱い抱擁を交わし感動の涙にむせぶのであった。

その後、事務手続きとか、保険の話とか、シートポストとサドルの交換とか、GARMINの取り付けとか、諸々の自転車の初期設定とか、オススメコースに関する質問(ヒルクライムがしたい旨を伝えると「タンタラスの丘」や「ヌウアヌ・パリ展望台」などを教えてくれた)をした。

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

定番の夜景スポットとして有名な「タンタラスの丘」。ワイキキビーチを一望できる。まずはここを目指す。

高まる期待を胸に、いざ出発!・・・の前に空腹感を感じた俺は、向かいの「バーガーキング」で腹ごしらえをしてから走り始めることにした。

自転車はまだ自転車屋に置いておく。日本に比べると(最近は日本でも油断ならないが)ハワイは自転車盗難が多く、「乗ったら次に降りるのはライドを終えるとき」「百歩譲って停めるときも目を離すな、手を離すな」が鉄則であるという。あと、これは盗難ではないが、「バイク停め以外のところにどこにでも停めるな、罰金取られるぞ」には注意が必要だ。

ウィィィーーーン!

自動ドアを開けて入店した俺の視界に、バケツのような巨大なコップにコーラを入れた見るからに屈強そうなサーファーがバーガーを頬張っている姿が飛び込んでくる。右手にバケツ、左手にバーガーを握りしめたその腕は丸太のように太く、例えるなら歴戦の野生動物を彷彿とさせる。

俺「おかしい・・・!!妙だぞ!?明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!どうやらアメリカはバーガーはおろかコーラまでもアメリカンサイズのようだな・・・ここでなめられたら男じゃねー!」

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

デヤァァァーーーッ!

気合とともにバーガーを平らげた俺は、ついにハワイの大地へと乗り出したのだった。

レンタルしたロードバイクでハワイを走る

慣れない右側通行や日本と違う右左折の作法などのこともあり、そろそろとした走り出し。しばらくすると、前評判の通り、「share the road」がよく浸透していて、自転車は車道を自動車と共存して走るものだと思われていることがわかる。自動車が自転車を追い抜くときはスローダウンして大きく避けてくれる人がほとんど。

レンタルしたロードバイクでハワイを走る
 
追い抜きざまに窓から手を出してアロハサインを送ってくれる人もよくいる。俺もアロハサインで返す。気分がアガる。幸せが作られて、拡大再生産されてゆく。3日間で10時間以上走ったが、クラクションは1度も鳴らされなかった。その上、自転車専用レーンがペイントされていたり、車線右端に0.5車線が確保されていたりと、とても走りやすい環境。だんだん、リラックスして走れるように。

タンタラスの丘

ワイキキのホテル街から5km足らずの、非常に有名な観光地。ツアーで行くと、必ずと言っていいほど夜に連れてこられて、夜景をバックに写真を撮る。ワイキキ方面から来るのであれば、「ワイルダー・アベニュー」または「ケエアウモク・ストリート」を経由し、「マキキ・ディストリクト・パーク」を目指そう。

「マキキ・ディストリクト・パーク」の北東に伸びている道が「マキキ・ストリート」、タンタラスの丘に至る登り口へ続く道だ。

上り始めてすぐ、2つの分岐がある。西側は深い木々の間を抜ける、特にどうということはない山道。(7.3km、446m、6.1%)

タンタラスの丘

東側はホノルルの街並みを一望できる、抜群の眺望。(7.7km、430m、5.6%)

タンタラスの丘

ちなみに、西側は「タンタルス・ドライブ」、東側は「ラウンド・トップ・ドライブ」という名前がついている。
         
俺「どっちにしようかな・・・」

その瞬間、近所の公園で日向ぼっこをしていた通行人のメガネが鋭い光を発し、剛腕パンチで俺を吹っ飛ばした。

馬鹿野郎! 向こうの斜面と、こっちの斜面。1つの山は2つの坂でできているんだ! レース中ならともかく走り込みの練習中で、片方だけでよしとするとは何事だ!

そんなことがあって、西から上り東から下るコースをチョイス。賞味期限が2016年4月までのマグオンを口に含み、クリートをはめたところで、背後からギアチェンジの音がこだまする。
 
ガッチャーーーン!!
 
ふと後ろを見ると、ノースリーブのトライアスロン用ウェアに身を包んだフースホフト似の屈強そうな白人男性が、勢いよくヒルクライムをしてくるところであった。俺とフースホフトの視線が音もなくぶつかり合う。

自転車乗りは、たとえ国籍や言語が違おうとも、一緒に走れば人を理解できるものだ。使う機材で性癖。シッティングとダンシングの切り替えのタイミングで性格の穏やかさ。チギれるまでの粘りで根性。ペダリングのバリエーションで思考の柔軟性。補給食摂取のタイミングで計画性。自転車の扱い方で異性や配偶者の扱い方。手信号の出し方や休憩中の会話でコミュニケーション力が如実に分かる。

最高だ。30分に満たない火花を散らした後、俺とフースホフトは熱い抱擁を交わし、感動の涙にむせぶのであった。

タンタラスの丘

写真はそのときフースホフトに撮ってもらったものです。左手にワイキキビーチを見下ろす絶景ダウンヒルを経て、次の目的地「ヌウアヌ・パリ展望台」へ。

タンタラスの丘

ヌウアヌ・パリ展望台

タンタラス展望台を堪能すると、次の目的地「ヌウアヌ・パリ展望台」を目指す。

ヌウアヌ・パリ展望台

ハワイとはいえ、観光地ではない内陸部に入ってしまえば、普通の生活圏である。これもまたハワイ。しかしその道中、ハイウェイの走行が私にはちょっと怖かった。先述したように、ハワイのドライバーたちは皆とてもフレンドリーである。

ヌウアヌ・パリ展望台
 
しかしハイウェイは、相変わらず自動車はしっかり避けてくれるのだが、いかんせん速度が出ているため、後ろから迫ってくる走行音が怖い・・・路面が荒れている事が多いのとも相まって、「ここでハンドル操作を誤ったら死ぬな・・・」と思いながら緊張感ある走り。

ヌウアヌ・パリ展望台

後方から迫りくる80km/h(推測)の走行音は恐怖心をあおる。ハイウェイ区間はあまり楽しめず。

途中、ハイウェイを離れ、川に並走するうっそうとした森の中を走る。森の中に川!?と一瞬思うが、そうか、滝が近いのだ。どこから川に降りるのかわからないが、そこかしこに自動車が路駐していて、水着姿の人がたくさんいる。うっそうとした森とのギャップがすごい。こんなところで泳ぐのか!?

しばらくするとまたハイウェイに合流。そしてほどなく「ヌウアヌ・パリ展望台」に到着。

ヌウアヌ・パリ展望台

さっきまでいたワイキキの街並みが、はるかかなたに見える。

ヌウアヌ・パリ展望台

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

強い風が吹き抜けるヌウアヌ・パリ展望台でしばし写真撮影などして、みたびハイウェイに合流。ここに限らないが、ハワイはずっと観光地や景色の良いところが続いているのではない。むしろそれらは点在していて、その間の移動距離は意外と長い。

カラニアナオレ・ハイウェイをゆく。周囲の交通に気を遣いながら、あまりリラックスできないライドが続く。ハイウェイが終わり「自転車通行帯」の標識が見えると、ホッとする。

あまり景色の良くない、長い内陸部の道を抜け、一面の青い海が広がる。ワイナマロ・ビーチである。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ
 
このあたりは、福岡市西区の西浦ざうお前あたりの風景とそっくりであり、とても親近感がある。ちなみに、あまり治安がよろしくないらしい。

ハナウマ・ベイに向かう途中、「マカプウ展望台」で写真撮影。明らかに日本で見るそれとは違う色をたたえる海を写真に収めようとしていると、周囲の観光客たちが色めき立った。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

何だ?と思って皆の視線を追う。その先には、パラグライダーに乗ったおじさんの姿が。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

明らかに我々ギャラリーの目を意識して周辺を周回するおじさんを、写真に収めたり動画を撮ったりした。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

さて今度こそハナウマ・ベイへ。このあたりはずっと海沿いなので平坦なのだろうと思ったが、意外とスケールのでかいアップダウンが連続する。右手に岩山、左手に海という、見飽きることのない景色を存分に楽しむことができる。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ
 
アザラシ?の時間もハワイではのんびりと流れているかのようだ。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

最後にダイアモンド・ヘッドにも寄ったが、ここは中に入ってしまえば、あまり美しい景色というわけではなかった。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ

この日はよく虹を見た。90kmを走り終えるころ、ハワイの夕日は沈んでいった。

ワイナマロ・ビーチ経由でハナウマ・ベイ
 

終わりに

美しい景色、澄んだ空気、自転車フレンドリーな交通環境(道の舗装は悪いけど)。一方、「俺はハワイを自転車で走っている!最高だ!!」と感動を爆発させられるロケーションは意外と限られている。それぞれが意外と離れたところにあるので、計画的に回ることが大切だと感じた。

今回私が紹介した、オアフ島東海岸を中心としたライドは、結果的にまずまずの密度でおいしいところを取り入れられたと思う。または、私の「タンタラスの丘」のように、お気に入りのコースを見つけてリピートするのも一案。

もし次にハワイを訪れる機会があれば、今回は回らなかったオアフ島の北・西部や、ハレアカラ(「サイクルトゥザサン」のコースにもなってるとこ。距離55km獲得標高3000mとは!!)に行ってみたい。

オアフ島 90kmのサイクリングコース

今回のコースはオアフ島のごく東側の一部に過ぎない。これで90km弱。

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著者
自転車がこの先生きのこるには

つよしは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の気象庁を除かなければならぬと決意した。つよしには天気がわからぬ。つよしは高地民族である。軽量化に勤しみ、山の上の空模様を気にして暮して来た。けれども降る降る詐欺に対しては人一倍に敏感であった。つよしには女房は無い。内気なRNC7と二人暮しだ。

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