チューブレスタイヤのサイドウォールからカニの泡っぽいものがプクプクと染み出してくる、という事象について去年、記事を書きました(この泡の正体は、もちろんシーラントです)。
関連 Schwalbe G-One All Round お漏らし問題
下の写真のような感じで、いつもどこかしらから泡を吹いているような感じでした。
なんとなくこれはシュワルベタイヤの品質の問題ではないかと思っていたのですが、今回あらためて調べてみたところ、どうもこれは複合的な原因から起こっているのではないか、という気がしてきました。
WTBのタイヤでも発生
下はWTB ByWay 700c x 40mmの写真です。「650Bと700C、グラベルはどっちが楽しい?」という記事で紹介した製品です。今年の2月下旬に購入してセットアップしました。そしてつい先日、このタイヤからもシーラントがプクプク… とあのカニ泡が染み出していたのでした。
ちょっと拡大してみましょう(写真下)。泡の現れ方に一定のパターンがあることにお気づきでしょうか(白い線でなぞってみました。なんというか、放射状の模様のように見えませんか)。このパターンは上のSchwalbe G-Oneにも現れたことがあります。なぜこうなるのか不明ですが、興味深い現象ですね。
このタイヤは3月中旬頃からつい最近まで自粛期間だったこともあり、走行距離は多くありません。そのため紫外線による劣化であるとか、タイヤサイドを何かにこすりつけて傷が付いたとか、そういうことが原因ではないと思っています。
また、フロントとリアの両方で発生しています(リアはフロントほどではないですが)。
ちなみにほぼ同時期に、やはりWTBのHorizon 650b x 47mmというタイヤも使いはじめたのですが、こちらからはこういうシーラントの染み出しは、ありません。また以前使っていたByWayの650bでも染み出しはありませんでした。
700Cのチューブレスタイヤ2本でこの現象が起こったことになります。
ただ、普通のロードバイクで使っているMavic Yksion Pro UST 700x25Cではこういう問題は起こっていません。
あまり納得できない説明の数々
ところで私が今回WTB ByWay 700c x 40mmで経験した不思議なパターン(模様)の泡の染み出しを、海外の質問掲示板、Stack Exchangeでも見かけました。
参考 White foam around tubeless tires
面白いですね! ケーシング内部にこういうパターンがあって、そこからシーラントが漏れやすいのでしょうか。
しかしこの方の質問に対して寄せられた回答が、どうもいまいち腑に落ちません。例えば…
- 空気圧が低すぎる状態で乗るとコード(ケーシングの紐)が損傷することがある、そこから空気やシーラントが抜けてしまうんだ
- 古いシーラントは効果がなくなるよ、だから傷んだケーシングから漏れ出しても、きっちりふさいでくれないということさ…
- その白いドットはサイドウォールの穴から漏れてきているシーラントだけど、完全にふさいではくれないみたいだね… 低圧で乗った結果、サイドウォールが急な角度でたたまれてしまってサイドウォールを傷めた可能性があるよ
- 空気をうまく保持してくれないタイヤに軽いタイプのシーラントを入れるとこういうことがよくある
- この写真ほどひどくはないけれど、シュワルベのタイヤは新品状態でもサイドウォールからシーラントが漏れてくることはある、特にライトスキンモデルではそうだ
しかし私の場合ですが、そこまで極端に低い空気圧で乗り込んだわけでもなく(というかチューブレスを極低圧で乗るとケーシングが痛む、というのも本当なのか、という気がしますが)、シーラントは入れてから三ヶ月ちょっと(そろそろ追加時期かな?)。そして使っているのは安定のStan’s NoTubesシーラントです。
どうも上の回答群には納得の行くものがありません。
個人的に説得力があると思った説を発見
しかしリサーチを続けた結果、Mtbr.comのフォーラムで面白いスレッドを見つけました。サイドウォールから染み出すシーラント、これ何? という質問です。
参考 Sealant seeping through sidewall
そこに、こんな回答が寄せられていました。
それは新品のタイヤでも普通にあるよ。本当に軽量なタイヤの場合、普通だよ。タイヤがTLR/USTでないならいつも起こる。サイドウォールのダメージとは関係ない。
高圧になるほどその症状は悪くなる。
雨が降って湿度が本当に高い日に、空調が効いていない場所にバイクを保管しているとよくわかる。
写真を見てもサイドウォールのダメージはないと思う、おかしいところはない。雨の後は僕のバイクは全部そうなるよ。
これを読んで「もしかして」と思いました。「TLR/USTでないなら〜」のくだりはよくわからないのですが、湿度と関係がある、という話です。
ちょうど私のWTB ByWay 700c x 40mmに上の写真のような螺旋状の染み出しを確認したのが、ものすごく湿度の高い日だったのです。ついでに言うと、気圧も低い日でした。「頭痛ーる」で爆弾マークが4個くらい並ぶような低気圧の日です。
ただ、去年の秋にSchwalbe G-One All Roundから染み出しを確認した時の湿度がどうだったのかはちょっと覚えていません。秋なので乾燥していたような気もするのですが…
で、さらに同じ回答者が次のような追加投稿もされています。
(泡を吹く)軽量なタイヤか、サイドウォールがもっと厚くて重いタイヤのどちらかを選ぶしかない。
参考までに書くと、僕のファットバイクではこういう染み出しは全くない。
あと染み出しがあっても問題ない、空気の減りは最小限だ。
またこれはタイヤの「不良」ではない。あらゆる要求を満たしながら同時に軽量でもあるタイヤなんか得られないんだ。だからこの些細な染み出しが本当に問題なのかどうか、考えてみないとね。
さて、ここまでの情報をまとめると、
- まず原因は1つではない
- タイヤの不良というわけでもなさそうだ
- サイドウォールの薄い軽量なタイヤ銘柄(または個体)で発生しやすい現象ではあるようだ
- 湿度や外界の気圧も関係があるのではないか
という感じではないでしょうか。
また、こういう染み出しがあるからといって空気圧が極端に減るわけではない、というのは私も感じています。気にはなるものの(あと触ってベタベタするので気持ち良くはないですが)、不具合というわけでもないな、という気はします。
ただしシーラントが染み出している以上は、タイヤ内部のシーラントが減っているはずなので、やや早めに継ぎ足しをしたほうが良さそうです。パンクした時に活躍するために十分な量のシーラントが残らない可能性はあるでしょう。
また私の場合、650bx47のロードプラスタイヤではこういう染み出しは起きていないので、ケーシングの厚み以外にもタイヤの表面積も関係があるのだろうか、と思ったりもしました。
しかし如何せんサンプルが少なすぎることと、変数が多すぎる気がするので最終的にはっきりした原因を特定するのは無理そうですが、現実的にはあまり実害はないようなので気にしないことにしました。
ちょっとモヤモヤした感じの記事になってしまって、すみません。でも広い広い英語圏の情報を調べまくっても、確定的な「これだ!」という見解は発見できなかったのでした。たぶん、これを理解するにあたっては物理と化学の知識、両方が必要になるような気がします。
うちのタイヤからもそういう泡、出ているよ! という方は、結構いるのでしょうか。是非Twitterなどで教えて下さい。また専門家の方で「こういうことではないか」というご意見がありましたら、そちらも是非宜しくお願いいたします!