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Tyrell IVE(タイレル イヴ)うどん県からやって来た、「恋するフォールディング・バイク」に刮目してみた!

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短い夢を重ねて
閉じ込めた物欲(いのち)の
孤独を君に捧げるnadokazuです。

というわけで、本日の駄文はこちら!

Tyrell IVE(タイレル イヴ):うどん県からやって来た、「恋するフォールディング・バイク」に刮目してみた!

折り畳み自転車のダークホース「Tyrell IVE」。

「Tyrell IVE(タイレル・イヴ)」は、うどん県(別名:香川県)のスポーツ自転車メーカー「アイヴエモーション」から販売されている、折り畳み自転車です。2015年に発表され、翌2016年から出荷が開始されました。

▼ Tyrell IVE Sports

Tyrell IVE Sports

販売開始時のキャッチコピーは、「恋するフォールディング・バイク」。

メンバーが48人いる某アイドルグループのヒット曲が真っ先に思い浮かびましたが、当時の自転車販売店のブログを複数斜め読みしてみたところ「使い勝手の良さと、フレンドリーな走行フィーリングで、優しくオーナーに寄り添う」という設計思想を反映させたコピーのようです。

Tyrellといえば「FCX」「FSX」をはじめとする、スポーツ性の高い折り畳み自転車をラインナップしているブランド。「FX」のオーナーである自分も、そちらの方にばかり目が行って「IVE」については完全にノーマークでした。

▼ Tyrell FCX

Tyrell FCX

そもそも、わたくし「折り畳み自転車のある日常」を楽しむIVEのような方向性の自転車なら、すでにブロンプトンとDAHON K3を所有しています。

それにですよ!

いま持っている自転車に不満が無いのに、わざわざ他の折り畳み自転車について知ろうとするなんて、危険行為も甚だしいったらありません。ここはむしろ、積極的に目を逸らしていくのが正解ですよね。

我が折り畳み自転車に、一片の悔いなし!

危険な蕾は、膨らむ前に毟り取っておくのが吉。ということで「いまの自分が完全に満足できる折り畳み自転車生活を送っていること」を、改めて確認しておきましょう。

ブロンプトン、そしてDAHON K3。この2台のおかげで、私の自転車QOLは上がっていくばかり。どちらも、最高の相棒です。不満なんて、全然ありません。ちっともありません。これっぽっちもありません。

DAHON K3に大満足!実質60万円のプラス!

DAHON K3は14インチ3段変速で、サイズ以上にしっかり走ってくれる性能の持ち主。それでいて車重は7kg台とべらぼうに軽量で、輪行移動においては唯一無二の存在として活躍してくれます。

DAHON K3

この「走行性能」と「コンパクトさ」と「軽さ」のすべてを他のモデルで手に入れようと思ったら、荒ぶった物欲は「ブロンプトン T-Line(日本未発売&噂では70万円するとか)」に行き着いてしまうでしょう。

つまり!

極めて論理的な思考による確定的な事象を申し上げると「DAHON K3(約10万円)に満足できているということは、推定70万円のブロンプトンT-Lineを買わなくてもいい。つまり、実質約60万円を手に入れたのと同じこと」なのです。

そりゃあ「もうちょっとだけ走ってくれれば…」と思わないこともないですし、DAHON K3で走ってヘトヘトになって、予定してた電車に乗れなかったりしています。ですが、だからといってこれ以上を望むのは、さすがに無茶というものです。

▼ 参考記事

JR東日本「休日おでかけパス」を、自転車の活用で使い倒す!【鉄道旅+自転車旅】
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ブロンプトンに大満足!究極の折り畳み自転車!

ブロンプトンは、変形機構もデザインも実に素晴らしいです。折り畳み時のストレスは皆無で、驚くほどコンパクトになってくれます。折り畳んだり展開したりするたびに、よくできてるよなぁ~と、今でもいちいち感心してしまうほど。

Brompton

椿ラインで箱根大観山に登坂しようが、AACRで150km走ろうが、不安を感じる部分はまったくありません。

▼ 参考記事

ブロンプトンで桜のAACR!へっぽこ脚で走るとどうなる?【150km/1,500mUP】
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「究極の折り畳み自転車」とか大袈裟なことを声高に主張しても、ブロンプトンなら許されてしまうはず。

これで外装の多段変速になってくれれば、内装変速機の内部抵抗にストレスを感じまくることもないんですけどねぇ。

…あれあれ?

無駄に自分と向き合ってみたら、わざわざ気付かなくていい心の声に、思いっきり気付いてしまいました。

わかっていたけど、見て見ぬフリをしていた真実。いまの折り畳み自転車生活で、唯一「走行性能」についてだけは、心の奥底で「我慢している部分があること」を否定できません。

ラクに走るための「外装多段変速」。
そして、キャリーカートとカメラを格納するバッグが取り付け可能な「ヘッドチューブのキャリアブロック台座」。

この2つを兼ね備えた折り畳み自転車なら、いま「我慢している部分」をスッキリ除去してくれるに違いありません!!(SE:暴走機関車が走り出す音)

Tyrell IVEこそ「顧客が本当に必要だったもの」なのかも?

「外装多段変速」と「ヘッドチューブにキャリアブロック台座」。この2つを兼ね備えた折り畳み自転車って、どんなモデルがあったっけ?いろいろ探索してみましたが、なかなかピンとくる自転車には出会えません。

そこで思い浮かんだ、Tyrell IVEの存在。あえて逸らしていた視線を、ずっとノーマークだったIVEに向けてみました。

ホイールサイズは18インチで、外装変速。フレームはリアのスイングアームとフロントフォークの2カ所が可動する、縦折り方式になっています。

スイングアームとメインフレームの結合部にはサスペンション機構が組み込まれており、クロモリ製のメインフレームと相まって乗り心地を担保。すでに販売開始から6年が経過していますが、現在販売中のモデルもスペックシート上では大きな仕様変更は無さそうです。

気になる重量は、スタンダードモデルで11.5kg。軽いとは言えませんが、許容範囲ではあります。

…もしかして…割と…いや、結構、かなり、相当にイイ感じかも?

実際に乗ってみた!

Tyrell FXのメンテナンスやカスタマイズでお世話になっている、「ローロサイクルワークス横浜」さんで、「Tyrell IVE Sports」の試乗車をお借りしました。ローロさんまではTyrell FXで行って乗り換えたのですが、IVEで走り出した瞬間、あまりの違いに言葉を失いました。

IVE Sports…なんて快適で、なんて素敵な乗り物なんでしょう!

Tyrell IVE

アップライトで、ゆったりしたポジション。初めて乗った自転車なのに、身体も気持ちも瞬く間に緊張から解き放たれてゆきます。

「緊張ではない。解放するスポーツだ。」

1991年に、ホンダNSXがデビューした時のキャッチコピーを思い出しました。

ペダルを踏み込んでいくと、しなやかなクロモリのフレームとサスペンションが不快な振動をいなしてくれます。サスペンションがペダルの踏み込みと共に収縮するのを感じますが、そのせいでパワーが逃げていく印象は皆無。踏めば踏んだだけ、グングン前に進みます。

ブレーキのストッピングパワーも、過不足なし。みなとみらい周辺をうろついてみましたが、実に気持ち良く走れる自転車でした。

Tyrell IVE

すべての入力を推進力に変えていくような、Tyrell FXの素晴らしい剛性感は長年のお気に入りです。しかしながら、ゆるポタのスピードレンジで比べてしまうと、IVEの走り心地のよさが際立ちます。

Tyrell IVEの注目ポイント!

Tyrell IVEの仕様や装備で、個人的に注目したのは下記です。特に買ったあとで好き放題いじくれそうな所は、とても魅力的。そしてなにより開発の皆様の、製品への入れ込み方がハンパないですね。

参考 Tyrell Factory Blog 【開発ストーリー IVE編 vol.1 寄り添うための高性能】

折り畳み機構が縦折り式!

メインフレームに分割箇所がなく、剛性を確保しやすい構造。また、折り畳み操作は5ステップ程度(①ロック解除レバーを操作して、スイングアームを前転させる→②フロントフォークのクランプを緩めて、ロックピンを外す。→③フロントフォークを後方に折り曲げてフックに引っかけ、ロックピンを刺し直す→④ロックを引き上げながら固定レバーを広げ、ハンドルポストを倒す→⑤シートクランプを緩めてシートを下げ、シートクランプを締め直す)。同社のFX/FSXよりも、大幅に手間が減っています。

カスタマイズの自由度が高い!

リアディレイラーはクラリス(IVE SportsはSORA)で、ポン付けで11速にできちゃいます(自分でやるとは言ってない)。その気になれば、105どころかDURA-ACEにだって換装が可能。

Tyrell IVE

さらにブレーキについても、普通のVブレーキなのでアップグレードは容易でしょう。

折り畳み式のハンドルステムには、ロードバイク用のステムを取り付けてアヘッドステム化が可能。ステムの取付位置と長短で、思いのままにポジションが調整できます(折り畳み時の出っ張りは、かなり気になりそうですが)。

Tyrell IVE

もはや、やりたい放題の拡張性が担保されています。自転車を買ったら、手を加えずにはいられない自転車乗りの皆様もこれなら大満足!

カスタマイズが難しそうなのは、スプロケットのサイズアップ。RDのキャパが大丈夫でも、チェーンがスイングアームに接触してしまう可能性があります(未検証ですが、クリアランスが厳しめに見えました)。ギア比を低くするのであれば、チェーンリングを小さくする方向でも検討が必要かもしれません。

Tyrell IVE

またフロントディレイラーを取り付けてフロントダブル化するのは、難しいというより「無理」です。

キャリアブロック台座装備!

ヘッドチューブには、キャリアブロック台座を標準で装備。タイレル独自のバッグ装着システム「TMS」のほか、ブロンプトン用のキャリアブロックが無改造で装着可能です。

Tyrell IVE

オルトリーブやリクセン&カウルのバッグも、アタッチメント側の取り付け穴を台座に合わせてドリルで広げれば装着できそう。いずれにしても、夢は広がるばかりです。

ただしハンドルステムが前方に40mmオフセットする「IVE Sports」は、使用できるバッグに制限があるかもしれません。

リアのロック解除は、手元のレバー!

ハンドルに装着されたレバーの操作だけで、リアのスイングアームのロックが解除されます。折り畳み時のロック解除で、屈んで操作をする必要がありません。

Tyrell IVE

スイングアームを前転させると、ブロンプトン同様に「おすわり形態」で自立します。駐輪時の操作性は、それこそキックスタンドより上かも。これは地味に便利。

Tyrell IVE

チェーンの接触からフレームを保護する、プロテクターを装備!

スイングアーム右側には、チェーンとの接触からフレームを保護する、樹脂製のかなりしっかりしたプロテクターが装着されています。

Tyrell IVE

こんなの保護シールでいいんじゃ…?と思っていたら、実は変速ワイヤーを固定するガイドを兼ねた設計になっていました。スマートな見た目で、なおかつ機能性も高い!こういうの、シビれますよねー。

ハンドルステムの固定はレバー式!

ブロンプトンだと、ハンドルステムを畳むときはクランプを緩めます。組み立て時はその逆。いずれにしても、レバーをぐりぐり回す作業が必須。しかも、万一固定が緩んだときのロック機構はありません。

Tyrell IVE

一方、Tyrell IVEのハンドルステムは、レバー式の固定機構を持っています。しかも、そのレバーにはスライドして解除するロック機構が内蔵されているという凝りようです。

折れ曲がるフロントフォークは、二重のロック機構を装備!

フロントフォークはTyrellお家芸の可倒式で、折り畳み時は後方に折り曲げます。走行時はコの字型のクランプで強固に固定されて、自分が全力で走ってもビクともしません(推定出力12W)。

Tyrell IVE

さらに万一クランプの締め付けが緩んだ場合もフォークが折れ曲がらないよう、ロックピンによって固定機構が二重化されています。安心感絶大。

うどん県メイド!国産ブランド!

フレームは台湾での生産みたいですが、れっきとした国産ブランドモデル。日本に住んでいれば、Tyrellの自転車は現地価格で購入できます。行こうと思えば生まれ故郷である本社工場に行けるし、各種媒体や試乗会ではメーカーの皆様方の思いを母国語でそのまま聞けちゃう。そんなところも、なんだか夢が広がりますわー。

Tyrell IVEのモデルバリエーション。

Tyrell IVEには基本モデルの「IVE(IVE Standard)」と、各部のパーツ変更でスポーツ性を高めた「IVE Sports」の2モデルがラインナップされています。

「IVE Sports」の大きな違いは、ステムとホイール。ステムはハンドル位置が前方に40mmオフセットした、より前傾姿勢が取りやすいもの。ホイールサイズは同じ18インチですがリムが軽量・高剛性タイプで、より細いタイヤを履いています。

Tyrell IVE

そのうえ軽量タイプのシートポスト、金属スプリングのサスペンション、RDはSORA(9段変速)と、まさに純正カスタマイズモデル。

比較するとこんな感じ。

IVE(IVE Standard) IVE Sports
Shimano Claris・8速 Shimano SORA・9速
通常ステム 40ミリオフセットステム
マッドガードあり マッドガードなし
樹脂製エストラマー 金属スプリング
標準シートポスト 軽量タイプシートポスト
標準リム 軽量、高剛性リム
Maxxis C-1763(18×1.5) SCHWALBE KOJAK(18×1.25)

これはあくまでも仮定のお話ですが「どちらを選ぶか」を考えると、自分は「IVE Sports」のほうですね。変速段数はともかく、ステムとホイールは汎用品ではないので交換する難易度が高いですからねー。

Tyrell IVEの限定モデル。

Tyrell IVEについてさらに色々調べていくと、限定モデルが販売されていたこともわかりました。台数がかなり少ないうえに販売からの時間経過もあって、もう手に入らないと思っていた方がよさそうです。

スポーツモデル「IVE Sports complete」

2018年に30台限定(以降受注生産)で販売されたモデル。仕様を見ると現在販売されている「IVE Sports」と、ほぼ…というか、まったく同じです。「IVE Sports」が初期は限定車で販売されていた、ということ…ですよね?

限定10台!「IVE Limited edition」

2020年に10台(!)限定で販売された特別カラーのモデルで、ベースは通常モデルの「IVE(IVE Standard)」。メインフレームがパールホワイト、フロントフォークとリアスイングアームがシルバーのツートンカラーで塗り分けられているほか、限定デザインのステッカーが貼付されています。

参考 サイクルハウスしぶや「TyrellからFXとIVEのリミテッドエディション登場」
参考 グリーンサイクルステーション「【Tyrell】折りたたみモデル、FX&IVEの限定モデルが発表!!」

ダートもOK!?「IVE トイファクトリースペシャル」

神奈川県…東京都町田市のショップ「トイファクトリー」専用モデル。折り畳み式のフロントキャリア、ブロックタイヤ(SCHWALBE BLACK JACK)、THOMSONステム、松村鋼機製リアウェイブサスなど、フラットダートにも対応可能な装備。

参考 Tyrell Factory Blog「【販売店情報】「トイファクトリー東京」がオープン」

ひと回り小さいホイールと、ひとクラス上の装備「IVE16」

標準モデルよりひと周り小さめの、16インチホイールを装着した限定30台のモデルです。

キャリパーブレーキ、軽量シートポスト、10速RD(ティアグラ)、松村鋼機製リアウェイブサス、カドワキのパウダーコーティング塗装など、標準モデルより1クラス上の装備が特徴。

参考 Tyrell Factory Blog「クルクル感としっとり感がちょうどイイ!『IVE 16』 登場!!」

まとめ:Tyrell IVEはいいぞ…。

うどん県メイドの折り畳み自転車、Tyrell IVE。スッキリ系の見た目に反して、開発者の真摯で熱い想いが、これでもかと込められています。

Tyrell IVE

ブロンプトン、Birdy、DAHON K3、キャリーミーなどなど、折り畳み自転車の購入を考えているすべての方に、比較検討の遡上に乗せることをぜひオススメしたい1台です。少なくとも、試乗だけはしてみた方が絶対にいい!と断言できます。

Tyrellの自転車が現地価格で買える、日本に生まれて本当によかった…!

あとがき:16インチの限定モデルに刮目!

そんなTyrell IVEで、個人的に激しく注目したのは限定モデルのひとつ「IVE16」。

なにしろこの「IVE16」だけが、自社製(=廣瀬社長手作り!)の、カーボンフロントフォーク。そして、カーボンハンドルステムを装備しています。これって普通はFCXのような、高額スペシャルモデル専用に生産するレベルの特注パーツですよね?

こんなトンデモな専用品をわざわざ作って装着するなんて、わずか30台しか生産されないのも頷けます。

「IVE16」で原型を留めているのは、メインフレームとスイングアーム程度。あとはほぼカスタマイズパーツという、すさまじさ。これ、もはや半分新型ですよ…。

知れば知るほど「IVE16」に込められた、途方もない熱量の連続攻撃を受けてしまいます。店頭で実車を見てしまった日には、ヤバイ感情と衝動がブチ上がってしまうでしょう。大変な危険性です。

でもまぁ、全国でわずか30台しか販売されない、激レアすぎる限定モデル。いまやどこを探しても、売っているはずがありま……

Tyrell IVE 16

おやおや? ローロサイクルワークス横浜の店頭に置いてある、このカドワキコーティング塗装が眩しい折り畳み自転車はいったい…?

うっ…頭が…!(原稿はここで途切れている)

数週間後

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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