俺の通帳が真っ赤に燃える!
自転車用品を掴めと轟き叫ぶ!
ばあああああああああくぬぇつぅ…
ゴォォォッド…人差し指ィイイイ!
ポチッと・エンドッ!
キング・オブ・駄目自転車乗り、nadokazuです。
というわけで、本日の駄文はこちら!
衝撃のお得切符!「休日おでかけパス」!
JR東日本が販売している割引切符のひとつに、「休日おでかけパス」があります。土休日と指定期間であれば、2,720円で首都圏近郊のフリーエリア内を乗り降りし放題。
しかも!
追加料金を払えば、新幹線や特急にも乗れてしまう。安さはもちろん、利便性まで兼ね備えた非常にお得な切符です。
フリーエリアの北端は、東北本線の自治医大駅と常磐線の土浦駅。地元の鶴見駅から自治医大駅までは片道1,980円なので、単純に往復するだけで1,000円以上お得。土浦駅までだって、往復で660円お得になる計算です。
こんなお得過ぎる切符、使わない方が損でしょう!
輪行ファイト開始!大回りして長距離乗車!
そんなわけで、さっそく次の休日はりんりんロードに行ってゆるポタを…とか思ったのですが、心の中の魔獣が暴れはじめました。
「お前は目的地まで往復して、わずかに割引が適用されればいいな…ぐらいにしか考えてこなかった。だからいまクズとしてここにいる…!ゴミめら…!」
そうなのです!
こんな切符を買うのなら、ひと駅分でも長く乗車しなければ損!勝利条件は「徹底的に長く乗車すること」に、ほかなりません。フリーエリアの外周部を大回りして、距離を稼ぎまくってやりましょう!
「乗らなきゃ、JR東日本の養分…!」
大ピンチ!大回りを阻むフリーエリア終端駅!
しかしながら、その辺りはJR東日本も百戦錬磨。「あともう少し進めれば、大回りできるのに!」という駅が、フリーエリアの終端駅になっています。
「目的地の方向を向いて進むのが、気持ちのいい人生ってもんだろっ…!!」
とか考えてノープランで大回りしようとすると、追加料金の支払いを余儀なくされます。お得な切符に釣られた挙げ句、余計な運賃を支払う羽目になってJR東日本の思う壺。まったくもって、本末転倒です。
「フリーエリア終端駅まで乗って引き返す」という選択も、可能ではあります。ですが「切符の制限を理由に乗ってきた列車を降りる」「そのまま反対方向の列車に乗る」って、勝ち負けで言うと明確な「敗北」ですよね。圧倒的な「負け感」で、心が闇に飲まれてしまいそうです。
自転車利用で大勝利!希望の未来へレディ・ゴー!
もはやバトル開始前から、負け戦が確定している状態。試合終了のゴングが高らかに鳴り響いた、と思ったその時……!
圧倒的閃きっ……!!
降りて来た…天啓…!
そう。こちとら自転車乗りの端くれ(「端くれ」じゃなくて「底辺」だろ!というツッコミ不可)。終端駅と終端駅の間を、自転車を使って移動してしまえばいいのです。これでフリーエリアの外周部の路線を使いまくって、乗車距離を稼ぎまくれます!
そして…! 現実になる…!
JR東日本の皆様を涙目にできるほどの…大回り乗車が!
赤の破線は鉄道、オレンジを自転車、さらに青線はフェリーで移動する、フリーエリア大回りプランが堂々完成しました!
というわけで、さっそく輪行袋に自転車を詰めて出発でーす!
※ちなみにSuicaバージョンの「のんびりホリデーSuicaパス」もあって、そちらは50円安いのですが新幹線に乗車できません。
決着の時!実際に行ってみた!
券売機から、なかなか切符が出ない!事前購入が確実!
「休日お出かけパス」は、指定席券売機での購入になります。駅によっては指定券売機が無かったり、稼働の開始時刻が遅かったりするみたいなので、前日までに予め購入しておくのが確実です。
指定席券売機での購入・発券はちっとも難しくないのですが、クレジットの決済処理に伴う通信時間が割と長いです。そのうえフリーパスのほかに利用案内や領収証など、結構な枚数が印字されるので発券は結構待たされます。
家を出るのが遅くなって、駅に着いたのが発車時間ギリギリ。それなのに、券がなかなか出てこなーい!電車来ちゃうよー!
なんて感じで冷や汗をかきまくることになるので、事前準備をサボりがちなタイプの方は要注意ですね!(SE:ブーメランが頭に突き刺さる音)
快適!普通車グリーン席!
京浜東北線に飛び乗って、横浜で東海道線に乗り換え。モバイルSuicaアプリでグリーン券を買って、グリーン車でまったり過ごします。
あまりにも快適な、普通車グリーン席。このまま東海道線に乗車し続けて沼津辺りで海鮮を食べて帰ってくれば、間違いなく「いい休日」が過ごせます。それって、ふつうに圧倒的勝利なのでは?
「フリーエリア大回り」とかアホなことしないで、確実な幸せを手に入れよう…。
そんな想いがチラッと頭の片隅をよぎりますが、ここはやっぱり初志貫徹。茅ヶ崎駅で東海道線から相模線に、橋本駅で横浜線に乗り換えて八王子駅に到着しました。
次は八高線への乗り換えですが、気動車じゃなくて電車。行き先も高崎じゃなくて川越って、なんか自分の知ってる八高線と違います!
高麗川駅で高崎行きに乗り換えると、ようやく気動車が登場。沿線施設もローカル濃度が急上昇して「これが本当の八高線だよねー!」と、心の中で快哉を叫びます。
9時12分、最初のフリーエリア終端駅である寄居駅に到着。ボタンで開けるタイプのドアの前で開くのをボーっと待ってしまって、あやうく降りそこねるところでした。
本庄早稲田駅に向かえ!本日最初の自転車タイム!
いよいよ自転車の時間です。最初の目的地は、上越・北陸新幹線の本庄早稲田駅。寄居駅からの距離は、Ride with GPSによると約14kmになります。タイムリミットは、新幹線が発車する10時12分。寄居駅到着の約1時間後なので、20km/hで走行すれば余裕で間に合うでしょう。
とはいえ、まず輪行を解除しなければ走り出すことはできません。そして目的地到着後も自転車のパッキング、切符の購入、新幹線ホームまでの移動に時間を吸い取られます。
つまり、1時間あっても一切余裕なし!普通に絶賛大ピンチ!
ということ。
そのうえ今日の相棒は輪行のラクさだけを考えて選定した、「DAHON K3」。14インチで、3段変速。かわいい見た目に反したパフォーマンスを発揮してくれる1台ではありますが、ロードバイクとの性能差は極大です。
そうなると、もはや「後先考えず踏みまくる」しか、選択肢がありません。せっかくのサイクリングなのに、楽しむ余裕ゼロで本庄早稲田駅に駆け込みました。
発車までの残り時間は、すでに10分を切っています。脇目も振らずに自転車を畳み、新幹線特急券を買って改札を抜けます。エスカレーターでホームに上がると東京行きの新幹線「たにがわ406号」が、ちょうど入線してくるところでした。
ま…間に合ったー!
まずは寄居駅から本庄早稲田駅まで、自転車移動での乗り換えに成功!
「はっはっはー!バクシン的勝利!」
発車が迫る!乗り換えリミット2分前!
さてさて次に向かうのは、水戸線の下館駅。あとの乗車予定が詰まっているので、本庄早稲田から小山までの区間はスピード優先で新幹線を使います。
そして、ここで再びピンチ!
大宮駅で「やまびこ207号」に乗り換えるのですが、発車は10時37分。たにがわ406号の大宮到着は10時35分なので、残り時間は2分!そのうえ、自転車という巨大な重量物を抱えながらの階段昇降が必須です。
乗り換え損ねたら、小山駅に停車する次の新幹線は1時間後になります。
「乗り遅れたら、そこで試合終了ですよ…?」
そんなプレッシャーを受けながらドアの前に待機して、大宮駅到着と同時に移動開始!とはいえ、混雑気味のホーム上でダッシュはできません。連絡通路からホームに上がるエスカレーターの途中で発車のアナウンスが聞こえて「もはやこれまでか?」と思わされましたが、なんとか無事に「やまびこ207号」の車内へ。
寄居から本庄早稲田までの自転車移動よりも、この乗り換えのほうがよっぽど疲れたよパトラッシュ…。
なんですが、2分しかないギリギリの乗り換えも成功!
「これが諦めないってことだーーーー!!」
快走!その名はりんりんロード!
日本が世界に誇る高速鉄道、新幹線。そのスピードと快適さ、そして定刻走行の厳守っぷりは凄まじいレベルです。おかげで、まだ午前中だというのに下館駅に到着できました。
ここから土浦駅までは約36km。ルート後半は、勝手知ったるりんりんロードです。自転車移動は2時間を予定して、スケジュールに余裕を持たせました。それでは、ゆるポタを楽しむとしましょう!
下館駅から筑波山を見据えながら走って、りんりんロードに入ります。相変わらずのキレイな路面で、走りやすいったらありません。日差しの強い日でしたが、ところどころに木陰もあって、まさに快走路!
松屋製麺所をスルーせざるを得ないことだけが心残りでしたが、まぁそこは仕方ありませんよねー。
完全敗北!非情の向かい風!
気持ち良く走って、バッチリ予定時刻までに土浦駅に到着…と思っていたのですが、あれ?まだ20kmあるのに、いつの間にか残り1時間を切っています。
その原因は、吹き付ける向かい風。普段通りペダルを踏み込んでいるのに、ちっともスピードが乗りません。そして寄居駅〜本庄早稲田駅の移動で、脚のライフはとっくにゼロ。走行速度は、低下していく一方です。
土浦駅に到着したのは、予定時刻を30分以上過ぎてから。完膚なきまでの、圧倒的な敗北…!
「キラキラは、夢のまた夢か…」
プラン変更!敗北が、さらなる敗北を呼ぶ!
この遅れによって、土浦から先の乗車予定は完全に崩壊しました。時刻表や乗り換え案内サイトと睨めっこしてみると、当初予定のルートではフェリーの最終便に100%間に合わなくなることも判明。
成田駅→佐倉駅→成東駅→大網駅→蘇我駅→君津駅
と移動する予定でしたが、
成田駅→千葉駅→君津駅
と、大幅にショートカットするほかありません。
りんりんロードでの敗北によって、「フリーエリア外周大回り計画のショートカット化」という、さらなる敗北が確定…!
「こんなの、世界最強には程遠いデス…!」
我孫子駅名物「から揚げそば」!敗北の中に勝利あり!
もう、このまま家に帰っちゃおうかな…。どん底の気分で、土浦駅から我孫子駅に向かいます。我孫子駅では、乗り換えの待ち時間が20分以上。そういえば昼食がまだでしたから、なにか食べておくことにしましょう。
ちょうどホームに駅そばがあったので、吸い込まれるように中へ。
食券機のボタンで「我孫子駅名物!」と大々的にアピールされていた、「から揚げそば」をセレクトします。1個入りと2個入りがあったので、当然2個入りを…と思いましたが、敗北者である自分に2個入りを食べる資格はありません。1個入りのボタンをポチッとな。
食券をカウンターに置いて、出てきたどんぶり。その中に鎮座していたのは、衣を纏った鶏肉の巨塊でした。どんぶりの半分を覆いつくすサイズ感で、あまりにも巨大です。
な、な、なんじゃこりゃー!!
から揚げっていうレベルじゃねーぞ!!
笑っちゃうほど分厚く巨大なから揚げによる、暴力的なまでのボリューム。食べても食べても減らないから揚げと格闘の末、なんとか平らげました。
そりゃあ駅の立ち食いそばですから、必要以上に「うまーい!」と褒めちぎるのは違うのかもしれません。ですが自転車で腹ペコになったところで思いがけなく出会えたこの一杯は、間違いなく「ムチャクチャおいしい」し、見た目のインパクト以上の「素晴らしい食事体験」でした。
ベッコベコに凹んでいた気分も、おかげで急速にV字回復。「たとえルートが短くなっても、このしょーむない旅を思いっきり楽しもう!」という気持ちになれました。
「ボク、もう一度頑張ってみるから!」
もう立ち上がれない!誘惑の普通車グリーン席!
成田駅に向かう途中では、謎な読み方をする駅名の登場に困惑しまくり。こんな発見も、旅のいいエッセンスですね。
え?「きのした」じゃないの!?
え?「しもうさまつざき」じゃないの!?
成田駅で乗り換えた電車は、横須賀線まで直通する久里浜行き。グリーン車のシートに腰を下ろした瞬間、あまりの快適さに意識が飛びました。いやー、普通車グリーン席は最高です。
結局、そこから一切身動きすることなく、終点の久里浜駅まで乗り続けてしまいました。
終わらない旅路!再び千葉県へ!
久里浜駅に近づく電車の中で、私は気づきました。いまは18時50分。久里浜駅から久里浜港までは、約2.4km。自転車なら約9分の距離です(Googleマップアプリの経路検索結果による)。
ということは久里浜港19時15分発、浜金谷行きフェリーの最終便に間に合うじゃないですか!!
「だから行くよ…諦めず”心”が輝く方へ!」
そうと決まれば、行動あるのみ!改札をダッシュで抜けて輪行解除して…と思ったのですが、ここでも時間ギリギリです。タクシー使っちゃいましょう!手荷物扱いで自転車を持ち込めば600円節約できますから、手間と体力と時間を使わない分を含めれば、もはやマイナスどころかプラス!
自分を強制納得させて、タクシーで久里浜港フェリーターミナルへ。
乗船券を購入して、2階の乗り場から乗船します。土曜日、しかも房総半島に向かう最終便はガラッガラです。大きなソファを独り占めしながらの船旅は、快適そのもの。瞬く間に金谷港に到着。
金谷港から浜金谷駅までは数百メートルなので、輪行解除する方がよっぽど時間がかかります。ということで、数分間のコロコロウォーク。自転車を変形マイクロキャリーに乗せてきて、本当によかった…と本日いちばん強く思い知った瞬間でした。
▼ 参考記事
浜金谷駅に到着して間もなくやってきた、普通電車に乗車。何度か乗り換えて再び久里浜行きに乗車してから、自宅のある鶴見駅に戻りました。
とりあえず、無駄に長距離を乗車してフリーパスを使いまくること「だけ」は成功したように思えます。
乗ってみた結果!どれぐらいお得だった?
2,720円の「休日おでかけパス」を購入して、フリーエリア内で乗車した距離は合計592.3kmでした。運賃表によると営業キロ521km~540kmの乗車で、IC運賃は8,580円。算出には諸条件があると思うので正確なところは不明ですが、少なく見積もっても3倍の運賃が必要な距離を乗り尽くした計算。「完全に元を取った」と、断言してよさそうです。
参考 2019年10月1日消費税率引上げに伴う運賃・料金改定のご案内(PDF)
やったのか?…あのJR東日本を倒したのか…!?
歓喜に沸く脳内。しかし、そこで冷静な脳内人格の1人が、クレジットカードの支払い予定額がべらぼうに増加している事実に気づきました。
そうなのです。お得な切符で運賃は徹底的に元をとっていますが、休日グリーン料金4回分、新幹線特急料金2区間分、挙げ句の果てにタクシー代とフェリー乗船料金、フリーエリア外の乗車賃までが上乗せされまくり。
休日お出かけパスの代金よりも、追加出費のほうがはるかに多いじゃん!!!
そして、自転車旅としてはどうだったか、というと走行距離は49.49km(サイコン計測値)で、50kmにすら達していません。
そういえば土浦で輪行パッキングしたあとは、一切自転車に乗ってない…。「輪行旅行」じゃなくて、「自転車運搬旅行」になっていませんか?
というわけで、結論です!
- 実は「お得な鉄道旅行」のはずが、全然お得じゃなかった!
- 「楽しい自転車輪行旅行」のはずが、ほぼ自転車の運搬に終始してました!
これは…もしかして…敗北…!?
「そうか…オレは負けたのか…」
お得な切符を便利に使って、輪行旅を楽しもう!
そんなわけで、あまりにもしょーむない結果だけを残して旅が終わりました。これって、よくよく考えると(最初から気づけよ!というツッコミ不可)せっかくのお得な切符を、「なるべく元を取る」という明らかに間違った主旨で使った結果にほかなりません。
そもそもこの「休日お出かけパス」は、フリーエリア区間内で往復2,720円以上の運賃が必要な場所に行くだけで、簡単にお得を享受できる切符です。たとえば「埼玉/千葉エリアにお住まいの方が、小田原まで輪行して箱根ライドを楽しむ」というだけでも十分に活用できるでしょう。
ほかにも乗り降り自由の特長を活かして「首都圏近郊のダムを輪行で巡りまくる」とか「首都圏近郊の城趾を輪行で巡りまくる」とか「首都圏近郊の競馬場を巡りまくる」などなど、鉄道と自転車を組み合わせた、べらぼうに高い機動力でこそ実現するお得な楽しみ方も、いろいろ見つけられそうです。
皆様におかれましては、私を反面教師としていただき、この素晴らしくお得な「休日お出かけパス」を活用しまくっていただければと思います!以上!サヨナラ!(爆散)