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ドロップハンドルのバーテープの巻き方に正解はあるのか

ドロップハンドルのバーテープの巻き方に「正解」はあるのか。それともないのか。誰もが一度は悩んだことがありますよね。内側から外側に巻けば良いのか、それとも外側から内側に巻けば良いのか。はたまた「上ハン側から巻きはじめる」人もいるらしいけれど、それもアリなのだろうか…

バーテープ

プロショップやプロメカニックによっても意見が違うことが珍しくありません。果たして何が「正解」なのか。一緒に考えていきましょう。

アンケート結果

まずは実態調査から。CBNのTwitterにて「バーテープはどの方向に巻いていますか?」というアンケートを実施、とりあえず「内側から外側に巻く人と、外側から内側に巻く人、どちらが多いのか」だけお聞きしました。

結果「外側から内側に巻く人」のほうが若干多いようには見えますが、53.7% vs. 46.3%(N=354)という割合を見ると、かなり拮抗しているように見えます。

しかし、これは質問の内容をもう少し詳しくすべきでした。というのも、ハンドルのレバーから下(ドロップ部)と上(上ハン)で巻きの方向が変わる(ことが多い)ため、回答に迷った方が多かったかもしれないからです。質問は「ハンドル末端から巻きはじめる」ことを前提としていました。この点も含めて、考察していきましょう。

海外サイクリストによる様々な意見

ここで海外掲示板に目を向けてみましょう。英語圏のサイクリストはどう考えているのか。複数のスレッドから、目立った見解をピックアップしてみました。

出典 Good tutorial for wrapping bar tape?
出典 Any tips on wrapping bar tape?
出典 My first time wrapping handlebars….much easier than expected!
出典 I wrap bar tape from the top to the bottom. Change my mind.

  • ハンドルを握っている時にテープが締まる方向にタイトに巻くといい、緩む方向ではなく
  • プロのメカニックさえ「外側から内側」に巻いているのだから(※下の動画が紹介されています)この方向がひどく間違っているとは言えないだろう(※これはペーター・サガンのバイクのバーテープ交換の様子で、チームメカニックは右のバーエンドの外側から内側に向かって、つまり「反時計回り」にテープを巻いていっています):

    「内側から外側」に向けて巻くのが普通だ、という意見のほうが、私が観測した英語圏の情報の中では多い印象を受けます。上の「これがひどく間違っているとは言えないだろう」という言い方も、それが主流と見なされてはいないという前提に立っています
  • 自然に握った時に、テープが締まるように巻くといいんだ。それが「ベスト」な方法だ。でも私の経験上、最初からかなりきつく巻かれてあるのなら(逆でも)問題にならないことが多いよ
  • 巻く方向は個人の好みのひとつにすぎないと思います。私自身は(バイクに座った状態でハンドルバーを見た時に)右を反時計回りに、左を時計回りに巻きます。その理由は、バーテープが最もきつく曲がるのは、私の場合はスプリントする時だと考えるので、スプリント時はバーテープをその方向にツイストするのが(私にとって)自然な傾向だからです。このように巻くことで、スプリントの時に緩みません。反対方向から巻く人も何人か知っています、その人達はバートップの巻きを緩ませてしまう傾向があるので、そうしています。これが決定的に正しい、という作法があるとは思いません
  • 私は上ハンから巻きはじめます。ドロップエンド側は軽くして、バートップを厚く・きつく巻きます。メリットは、あのベタベタした醜いテープ(=絶縁テープや飾りテープ)が要らないこと。また、上ハンを余分に巻く分、振動を消せることです
  • 私はトップ側からコットンテープで巻きはじめます。しかし、普通のコルクのバーテープではやりません。何故なら最初の巻きが厚くなりすぎるからです。しかしトップから巻きはじめるのは、普通ではありません。実際は99.9%くらいの人が、下から(=バーエンド側から)巻きはじめます。恐らく工場から出てくる完成車の100%が、ボトムから巻きはじめられていると思います
  • (上の人に)そうですね、80年代は、布のバーテープを上から下へと巻いていました。恐らくバーテープの素材が変わって、巻く方向も変わったのでしょうか?
  • (上の人に)エアロブレーキの登場がきっかけになって変わったのです。上から巻いていってブレーキハウジング(=ケーブル)を包む必要があると、隙間ができて時間が経つと拡がってくる。今日では、シフターのアウターケーブルもバーに這わせているから、余計にひどいことになっている
  • トップ側から巻くのはコットンテープでは主流だったと思うし、今でもよくやられていると思いますよ。でも、どんなバーテープでも上から巻くプロメカニックを見てきました。彼らの大部分は昔からずっとそういうふうに巻いてきた、オールドスクールな人々なのです

支持率が高いParkToolによる説明

ここで、英語圏でかなり多くの人が「バーテープの巻き方について最も参考になる情報」として挙げている米ParkTool社(自転車整備界における権威と呼んでも良い)によるウェブサイトと動画を見てみましょう。動画は2:54から、基本的な考え方の説明と実演があります。

出典 HANDLEBAR TAPE INSTALLATION (DROP BARS)

上の記事から一部を引用します(記事は動画と同じ内容になっています)。

力のかかる(=ストレスフルな)ライド中、ライダーの手はハンドルにトルクをかける傾向があります。巻きの方向とそのトルクの方向を合わせることで、テープの緩みを最小化できます。ハンドルを後ろ側から(ライダーの視点から)見て、力はドロップ部のそれぞれの側の外側に向かってかかります。結果的に、右側は時計回りの方向に巻かれるべきであり、左側は反時計回りに巻かれるべきです。

しかし上ハンを握ってライドしている時、多くのサイクリストは力を入れる時に手を後ろ側に引く(回す)習慣があります。このトルクに合わせるため、巻きの方向はレバーの上で逆方向になる必要があります

(原文)

During stressful riding, the rider’s hands tend to apply a torque to the bars. Matching the direction of wrap helps minimize loosening of the tape. As seen from the back (the rider’s point of view), the stress is outward on each side of the drops. Consequently, the right side should be wrapped in a clockwise direction while the left side should be counter-clockwise.

However, when riding on the tops of the bars, it is the habit of many cyclists to pull back on their hands while under stress. To match this torque, the direction of wrap will need to be reversed above the levers.

ParkToolでは、ドロップバー末端から開始し、内側から外側に巻いていく。するとドロップエンドの右側は時計回り、左側は反時計回りになる。上ハンでは回転方向を逆にする。そういう巻き方を推奨しているようです。

無論「ParkToolがそう言っているのだからそれが絶対に正しいのだ」とは私は思いませんが、少なくともこの方法が特に間違ったものでもないだろう、とは言えると思います。ちなみに、私自身もこの巻き方です(しかし気が付くと違う巻き方をしていたりすることもしばしば)。

結局正解は何か?

結局のところ、ドロップハンドルのバーテープの巻き方に正解はあるのでしょうか。

この記事でここまで眺めてきた情報を総合すると「その人にとってバーテープがゆるみにくい巻き方であれば、それが正解である」と言って良いのではないかと思いますが、どうでしょうか。自分はハンドルのどの部分で、どの方向に強い回転をかけることが多いのか。それは人によって違ってくるはずなので、それによって決める。

前半の「海外サイクリストによる様々な意見」では、スプリント時に手首が内側に入るから、自分は右を反時計回りに、左を時計回りに巻いている、という方がいました。これはParkToolの解説とは逆の巻き方ですが、その方にとってこの巻き方で緩まないなら、これが正解なのでしょう。

そしてどの方向から巻いたとしても、きっちりタイトに巻いていけばそれほど大きい違いは生まれない(短期間で崩壊することはない)、というのも実情なのかもしれません。冒頭で紹介したアンケート結果がほぼ5.5対4.5程度の比率に分かれているのも、実践ではどちらかが極端に劣っている方法とは言えないことを意味しているように思います。

また、上ハン側(トップ側)から巻きはじめる作法には、フィニッシュテープや絶縁テープを使わなくても良いという美観上のメリット、及び振動吸収性向上という機能的なメリットもあるようですが、ブレーキケーブルがまだフードから外に飛び出していて(いわゆる触覚)、シフターもダウンチューブにあった時代からの名残であるとも言えそうです。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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