闇の力を秘めし『ブロ』よ!
真の姿を我の前に示せ
契約のもとnadokazuが命じる
『封印解除(レリーズ)』!
というわけで、本日の駄文はこちら!
楽しい時間は、マッハで過ぎ去っていく。
自転車イベントはいくつもありますが、なかでも「アルプスあづみのセンチュリーライド」がズバ抜けて大好きです。
▼ 参考記事
いつもいつも心の底から楽しい思いをして、満足感とともに帰路についています。
なんですが!
ひとつだけ、不満に思うことがあるのです。
それは、「楽しい時間が、あれよあれよという間に終わってしまう」ということ。なんだかガツガツ走ってしまって、エイド以外は「ゴールに間に合う」ことだけに囚われすぎている感が否めません。せっかくの楽しい時間なのに、それを深く味わう余裕がないのです。
楽しい時間を、より長く過ごす。絶対法則はこれだ!
そこで脳の全リソース(ダイオウグソクムシ程度)をフル回転させて、脳内会議を実施。長時間に及ぶ議論の末に、以下の結論に至りました。
「楽しい時間を短く感じる原因は、ロードバイクにあり!」
そうなのです。私は先日のブルベ「BRM326大洗」に参加して、思い知らされました。ロードバイクは10km・20kmという恐るべき長距離を、サクッと走れてしまう神の機材です。なろう系主人公が持つスマートフォン級の、チートアイテムにほかなりません。
▼ 参考記事
使う自転車がロードバイクだと、速く走ろうと思わなくても一定の速度が出せてしまいます。本来のへっぽこな走行能力も、機材の力でググッと増幅。普段より速いペースで先に進めてしまうことで、つい気が競ってしまって「とにかくゴールを目指す」ということだけに囚われがちになる、というわけです。
これで原因はハッキリしました。なら、あとは簡単に答えが導き出せます。
「ロードバイクじゃない自転車を使えば、すべては解決する!」
そう、ロードバイクではなく、「小径折り畳み自転車」を使えばいい。それだけです。どう足掻いてもスピードが出せない自転車を使えば、ゴールまでの所要時間は大きく増加。「楽しい時間をより長く味わう」ことが、確実にできるようになります。その確率は「100%」です。
しかも!
AACRならブルベと違って、最悪途中で力尽きたとしても回収してもらえる…はず。というか、最悪輪行でも戻れちゃう。そう、折り畳み自転車ならね。
どうですか、この1ナノミクロンの隙もない完璧な理論!これを論破できる方は、どこにもいらっしゃらないでしょう。
じゃあ、DAHON K3で…と思ったりもしましたが、無理がたたったのかリムが割れて走行不能になってしまいました。ということで、ブロンプトンで走ってみることに決定ー!
▼ 参考記事
ブロンプトン?そんな装備で大丈夫か?
そりゃあ、自分の走力の無さ加減は、自分がいちばんよくわかっています。ブロンプトンで150km/1,500mUPのAACRを走ることが、どれだけ無謀か。「走る前からリタイア確定じゃねーか!」と、内なる声からの非難が囂々です。
だがしかし!
乗鞍をブロンプトンで登坂する(!)という異常…じゃなくて偉業をシレっと成し遂げられた「おりたたみ自転車はじめました」著者、星井さえこ先生(@rinkosaeco)は、こう仰っています。
時間たっぷりかければ上がれましたよ!
— 星井さえこ🚲自転車旅の漫画 (単行本発売中!) (@rinkosaeco) March 7, 2022
なるほど、時間をかける=ゆっくり走れば、ブロンプトンで乗鞍にだって登れてしまうのですね。
星井さえこ先生、実は剛脚なのでは? とか、実はエクストリームなサイクリストなのでは? という疑惑が心の片隅に浮かんで来なかったわけではありませんが、とりあえず「ブロンプトンでも時間をかけて走れば、AACRを走破できそう」という確証は得られました。
わたくし走行速度の遅さなら、どこの誰にだって負けませんからね!
実際にブロンプトンでAACRを走ってみた。
この晴天は奇跡的!
開催前日は曇り&小雨で、白馬の山々も雲に隠れてしまっていました。せっかくの景観も、迫力半減です。
▼開催前日の白馬。
まぁ、土砂降りじゃないだけマシか…。そんな諦めの一夜が明けると、開催当日は打って変わって晴天!山々にかかる雲も、ほとんどありません。
▼開催当日の白馬。
開催前日と、翌日はガッツリ雨予報でした。「桜のAACR」開催当日は雨に前後を挟まれた形なのに、その日だけ晴れてしまう。
これは普通に「奇跡的」と言えてしまうレベルでしょう。主催者さん、「モッとる男」だなぁ。
スタート前から後悔の嵐。
AACRにはずっとロードで参加していましたが、いつもヘロヘロになってゴールしています。そして今回は、ロードより明らかに走行性能が低いブロンプトン。以前よりツラい思いをすることが、スタート前から確定しています。圧倒的絶望…!
そのうえ自分がエントリーした1組のスタート時刻は、朝の6時です。気温は一桁台前半で、泣きそうな寒さ。春用のロングフィンガーグローブで走ったら、手が痛くなってくるほどの冷え込みで、今が4月であることを疑いたくなりました。
「これから今までのAACRより、ずっとツラい思いをする」という現実。そして、未体験レベルの寒さ。早くも折れそうになった心を必死で誤魔化しながら、スタート地点に並びます。
自分以外にブロンプトンは…いた!
今回のAACRはギリギリまでエントリーを受け付けていたので、例年より参加者は少な目のはず。なのでブロンプトンで走る酔狂な参加者は、自分だけなのでは?と思っていました。
が、いらっしゃいました!自分以外のブロンプトン乗り!
しかもエストラマーを金属製のスプリングに交換されている、ガチ走り仕様!ロードの方と一緒に走っていらしたので、自分とはレベルの違う強者な方だと思われます。
サクッとぶっちぎられた後は、ゴールまでお見かけしなかったので、相当なペースで完走されたんでしょうね。いや、ブロンプトンでAACRを走るなら、それぐらいの走力付けて来いってことですよね…(涙目)。
コース中のキツい場所はここだ!
今年のコースは、距離も獲得標高も減っています。峠越えレベルの登坂や激坂は、どこにもありません。なんですが、それでもダンシングで一気に登っちゃう、とかできないレベルの坂は繰り返し襲ってきます。ラクに走りきることは、残念ですができません!
コース中のキツい場所をリストアップしますので、緑のAACRに参加されるみなさま、お覚悟を!
キツい場所①:西牧山登坂(7.6km〜8.2km地点)
スタート地点からは離れてきたけど、まだまだ先は長い…。マイペースで行こう。無理は禁物!…と思っているところに、10%級の坂が登場。温存したいはずの脚力を消費しまくることを余儀なくされて、脚と心臓があっさり破壊されます。
キツい場所②:安曇野アートラインから大町エイド(34.4km〜42.7km地点)
県道306号線が左に曲がって乳川に沿って走るようになると、またまた登坂が始まります。ここ、坂の距離が長いだけでなく、
「一旦坂が終わったと見せかけて、まだまだ登坂がある」
「エイドのある、アルプスあづみの公園にようやく入った!と思ったら、その先が長い坂」
という、坂嫌いのメンタルを崩壊させる巧妙な罠まで用意されています。
キツい場所③松川大橋〜白馬大橋(77.3km〜80.3km地点)
真正面に雪を抱いた白馬の山々を見据える、絶景ロード。なんですが、坂です!「絶景を見ながらだと、坂だって気にならない!」というのは、剛脚さんの心理であることを思い知らされます。
キツい場所④佐野坂の登り返し(89.5km〜91.7km地点)
往路で気持ちよく下った佐野坂が、復路では登りになる。あたりまえですよね。一本脇に入ってクルマ通りが少ない道を登るのですが、割と斜度はあるし距離も長いしで、涙目になります。
キツい場所⑤安曇野エイドから北海渡交差点まで(131.7km〜136.3km地点)
最後のエイドを出発して、あとはゴールするだけ。長かったAACRも、もう終盤です。そうか、もうすぐ終わっちゃうんだな…という感傷に浸る余裕はありません。約4.5kmを、延々と登りっぱなしです。斜度は3〜4%と「激坂」ではないものの、100km以上走って疲れ切った脚だと「体感斜度」は爆上がりします。しかも、走っても走っても坂が終わらない。よくよく考えたら、約4.5kmって大垂水峠レベルじゃないですか!
キツい場所⑥林檎畑の中の道(141.5km〜145.7km地点)
はやくゴールしたい…ラクになりたい…。そんな気持ちを嘲笑うかのように、まだまだ坂が終わりません。ゴールに向かって林檎畑の中を走るのですが、そこでも登らされます。斜度は平均1%程度とはいえ、ロードバイクならともかくブロンプトンだとキッチリ登坂です。140km走ってカラカラに乾いた雑巾のようになった脚力が、そこからさらに絞り取られます。
いちばんキツい場所はここでした!
数ある坂のなかでもいちばんキツかったのは、前項で記載した坂ではありません。急遽場所が変更になった、「青木湖エイド」の手前にある坂でした。
おそらく今年のルート中で、いちばんキツい斜度。しかも!往路はともかく、100km近く走ったあとの復路でも同じ坂を登らされます。いっそ復路はこのエイドをキャンセルしちゃおうか、と思ったほどです。
唯一救いだったのが、この坂の登り始めにAACRの悪魔おじさんが久々に登場していたこと。ルート中いちばんキツい斜度の場所にご登場とは、ほんとうに「わかってらっしゃる!!」としか言いようがないです。
悪魔おじさん、緑のAACRでも来てくれるかなー?
さらに!地獄の向かい風で、刻の涙を見る。
坂もキツかったですが、後半に吹き荒れまくった向かい風で脚へのダメージが倍増。復路の多くは微妙な下り基調だったりするのですが、それが平坦どころか登坂に感じるレベルでした。ここ、なんて言う荒川峠ですか?
しかも、復路に入ってからゴールまで、向かい風地獄がずーーーっと継続。
①小径で進まない
②へっぽこ脚力で進まない
③向かい風で進まない
という、トリプルビンゴ状態です。ツラすぎィ!
今年の長距離サイクリングを振り返ってみると、ブルベのときも、霞ヶ浦一周したときも、りんりんロードを2往復半したときも、ずっと「後半の向かい風」で地獄を見ている気がします。
もしかして…自分には、向かい風の呪い的な何かがかけられているのでしょうか?
そして絶望に拍車をかけたのが、えらい勢いの向かい風が吹き荒れ、キツい坂まである状況なのに、アウターのままスルスルと登坂していく友人のEバイク。
折れかけたメンタルにキレイにとどめを刺されて、ようやくゴールする頃には案の定、心身ともにズタボロです…。バタリ。
エイドの補給は、相変わらずの美味!
AACRと言えば、ねぎ味噌おにぎりをはじめとするエイドの補給食が魅力。今年は新メニューも登場していますが、どれもこれも美味!うまうまです。
穂高エイド:やさいぱん、米粉とポロネギのポタージュスープ
やさいぱんはいくつか種類があって、ひとり2個選べます。そして冷え切った中を走ってきたので、温かいポタージュスープの美味しさが倍増!
大町エイド:豆腐汁、大福餅
この豆腐汁、野菜もさることながら、豆腐がゴイスー。みっちり密度があって、全然崩れません。味わい濃厚。やわやわスカスカな印象が全然ナシで、普段食べている豆腐とは別モノに思えてしまいます。信州の底知れない食の実力が、垣間見えてくる一品でした。
青木湖エイド(往路):ねぎみそおにぎり、漬物
このおにぎりを食べるために、あの坂を越えて走ってきた!そう言い切れる一品。AACRと言えば、「ねぎみそおにぎり」です!
今年はコロナ対策で個別にパック詰めされていて、味噌も一種類。「いくつでも食べられる&好きな味の味噌塗り放題」という、これまでとは違う形での提供になりました。ちょっと残念ですが、まぁ仕方ありません。そして、やっぱりAACRのねぎみそおにぎりは、究極至高の味わいでございました。
白馬エイド:石窯ピザ、野菜とろけるミネストローネスープ
いくら走ってカロリー消費してるとはいえ、おにぎり2個食べた後にピザって…。とか、一瞬でも思ってしまったことを、懺悔いたします!その場で焼きたてが提供される熱々のピザが、美味しくないはずがありません。上に乗ってるサラミもうまうまです!丸々一枚食べろと言われても、クリアは余裕でしょう。美味しゅうございました。
青木湖エイド(復路):信州おやき、わらび餅
おやきは熱々、わらび餅はキンキンに冷えてやがる!どちらも、ひとくちで無くなりました。あまりの斜度に復路の青木湖エイドはキャンセルを考えましたが、寄ってよかった…。本当によかった…。
安曇野エイド:安曇野りんごジュース、黒ごまおはぎ
ラストスパートのための、糖分を摂取!ゴマの香ばしい香りと甘すぎない餡、美味!林檎ジュースはパッケージ的に飲みづらいので、凍った状態に近いものを選ぶのが吉です。
ブロンプトンでAACRを走る、マルとバツ。
×:良くなかったところ。
そもそも普通に走るだけで、ロードバイクよりも多くの脚力を使います。ただでさえ少ない脚のライフはみるみるうちに減っていき、後半ではあっさり枯渇。そこに登坂や向かい風がプラスされると、果たしてどうなるでしょうか?
ご想像のとおりで、一番軽いギアを最小の踏み込みで回すことになります。
もはや「走行」ではなく、「転倒しない状態をギリギリで維持している」というだけの苦行。そして、この地獄の旅路が、ロードの時より遥かに長い時間続くのです。地獄!
前の方に牽いてもらってラクをしようと思っても、ブロンプトンの走行性能だとサクッと千切られてドラフティング時間ほぼゼロ。むしろ追走で無駄に脚を使って、疲労度が余計に高まる結果となりました。
そんなへロッた走りをするブロンプトンに前を牽かせた挙げ句、ペースが落ちたら容赦なく捨て去っていったロード乗りのみんなのことは忘れないぞ!!
〇:良かったところ。
走行中にどれだけ抜かされても、心理的なダメージは一切ないです。ロードだと「ヤッパリ自分は遅いんだ…駄目な自転車乗りなんだ…」と、改めて思い知らされます。ですがブロンプトンなら、スピードが出なくてあたりまえ。完全に開き直れて、精神衛生上非常に好ましい状態で走れました。
そして!参加者のみならず、エイドの案内スタッフの方や、沿道のギャラリーさんのウケが思い切りいいです。
あちらこちらで「かわいい自転車ー!」「ちいさーい!」などなど、ロードで走ってたときより明らかに多くの声がかかります。このあたりは、さすが英国製の人気折りたたみ自転車ブロンプトンの面目躍如、というところです。
おっさん心の中で大喜び。マスクでキモいニヤけ顔が覆い隠されていなければ、わたくし危険人物として通報されていたことでしょう。
AACRにブロンプトンで参加して、どうだった?
「楽しい時間を長くしたい!」という目的でブロンプトンを使ったのですが、結局「苦しくツラい思いをする時間が倍増しただけ」でした。よくよく考えると、もう当たり前すぎる結果です。
両脚両腕どころか、もう全身ガタガタ。帰宅してひと晩寝たあとで本格的な疲労感に襲われて、月曜日は一日中ずっとグッタリしてました。
AACRをブロンプトンで走った結果、
「二度とブロンプトンでAACRは走らない!」
と、固く心に誓ったのでした。
もし、DAHON K3でAACRを走っていたら?
ホイールが割れる前は、「AACRはDAHON K3で走っちゃおう」とか思っていました(無謀)。ですが16インチ6段変速のブロンプトンでも、この体たらくです。もし14インチ3段変速のDAHON K3で参加していたら、一体どうなっていたでしょうか。
青木湖エイド手前の坂で、キッツイ斜度に完全敗北。押し歩きどころか、自転車を放棄してエイドに向かう…ぐらいは余裕で想定しうるシナリオです。いずれにしても、苛烈極まるダメージを受けていたであろうことは、想像に難くありません。
K3がAACR前に走行不能状態になったことで、実は生命の危機を華麗に回避できていたのでした。いやー、まさに危機一髪。
…そのとき!脳裏に雷鳴が轟きます。私は、唐突にすべてを理解したのです。
「宇宙の全てが
うん
わかって…きたぞ…」
DAHON K3のホイールが割れた理由。それはアホな距離を走ったからでも、ホイールの強度が不足していたからでもありません。「それがDAHON K3の意志だったから」。これこそが、隠されていた世界の真実です。
そう、DAHON K3は自らを走行不能にすることで、AACRに無謀なエントリーを考えていた自分のことを、身体を張って守ってくれていたのです。
自分がK3を愛していたと思っていたら、自分のほうがK3に愛されていた!なんということでしょう…!
うーむ、こうなったらK3ちゃんには、なにかお礼の品を献上しなければいけませんね…。そうだ!この際ですから、例の純正カーボンホイーr(原稿はここで途切れている)
▼ 参考記事