口笛はなぜ 遠くまで聞こえるの? 教えておじいさん!
子供の頃は「聞く側」の立場だった自分が、すっかり「聞かれる側=おじいさん」になっていたことに、今さら気づいて絶望しているnadokazuです。
それはさておき、AACR(アルプスあづみのセンチュリーライド)です。一昨年と昨年は残念なことに中止となってしまいましたが、2022年は満を持して開催が決定!
というわけで、本日の駄文はこちら!
AACRって、どんなイベント?
長野県の松本市から白馬村までを往復する、最長160kmのロングライドイベントです。雪をまとった北アルプスの雄大な山並みを横目に、シドニーオリンピック日本代表、鈴木雷太氏が監修したルートを走ります。
自転車マンガの2大巨頭「ろんぐらいだぁす!」そして「南鎌倉高校女子自転車部」の自転車イベント回でモデルにもなっているので、「参加はしたことがなくてもイベント自体は知っている」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
素晴らしい景色、走りやすいコース、そしてエイドの美味しすぎる補給食!なにもかもが、控えめに言って最高。もう万難を排して参加するほかない!と思いまくっていますが、いろいろ悩ましいことも多いのです…。
悩み①「桜」を走るか、「緑」を走るか。
アルプスあづみのセンチュリーライドは、「桜のAACR(2022年は4月16日・17日)」と「緑のAACR(5月21日・22日)」の2回が開催されます。
そしてAACRに参加する最大の悩みは、この「2回開催」にあります。なぜなら、2回のうち「どちらか片方にしか参加できない」という制限があるから。そりゃあ参加者が増えて2回開催になった経緯があるんだから、両方走れるわけがないよ!というのは、十分以上に承知しています。
だがしかし!
「桜」と「緑」のどちらにも魅力がありすぎて、参加の選択は本当に迷います。ビアンカとフローラなら、ビアンカ一択で選択の余地は皆無。ですが「桜」と「緑」には、それぞれに選ぶべき理由があります。もはや1年のうちで、最も重大な決断を迫られる選択のひとつです。
「桜のAACR」は、ここが魅力!
桜のAACRが開催される日程は、松本周辺で桜が満開になる頃合い。特にスタート直後の梓川沿いの道が満開の桜並木だったりするので、イベント開始の盛り上がりと合わせて気分は最初からクライマックス。ぶちあがれ感情!推しは尊い the 正義!Yo Say Yo Say ムリムリ!
その後も、あちこちで満開の桜を目にしながら走れます。まさに「桜のAACR」の名にふさわしい体験ができる、と言えるでしょう。
さらに!
春まだ浅い信州は、山々に雪が残りまくりです。特に白馬エリアに入ってから、その威力を思い知ることになります。目の前にそびえる白馬連峰の山肌は、もう一面の雪化粧。そこに太陽が反射して、眩しいほどに輝きます。もはや天然のレフ板。山肌からの反射光が加わってスタジオ撮影っぽい光線状態になった風景は、どこか非現実的な部分を感じられて非常に興味深いです。
「桜のAACR」は、ここが微妙!
そんな「桜のAACR」ですが、スタート前に地獄を味わう可能性があります。なぜなら「ものすごく寒いことがある」からです。情け容赦のない本気の極寒で、語彙力なんて軽く消え去ります。
2017年の「桜のAACR」に参加しましたが、開催日である4月23日(日)の松本市は最低気温「1度」。スタートは早朝なので、1日の中で最も冷えた空気と強制エンゲージさせられます。
しかも着用しているのは、通気性抜群の自転車ウェアです。冬用インナー上下+ウインドブレーカー+フルフィンガーグローブでも、泣きそうなほどの冷え込み。さすがに陽が昇ってから気温は上がりましたが、それでもハーフフィンガーのグローブはゴールまで出番ナシでした。
そのうえ「開催日の気温が年によって変わりまくる」ところが、混迷に拍車をかけます。翌2018年の同時期、松本では最高気温が30度近くになりました。標高の高い白馬でも、桜が咲きまくり。桜×白馬連峰という、炭水化物と炭水化物どころじゃない夢のコラボレーションが実現しています。(※写真の場所はAACRのコース外)
そして!
個人的に最も大きな「桜」の微妙ポイントは、参加後の喪失感。
なにしろ翌月には「緑のAACR」が開催されるので、Twitterには参加のワクワクに満ちたツイートが溢れかえります。それなのに、自分のAACRはとっくに終了済み。いくら望んでも、来年になるまでAACRには参加できません。最高の自転車体験をしたら、その直後に「来年を待つ立場」になってしまう。圧倒的格差に直面させられて、とてもツラい思いをすることになります。
やっぱり、参加するなら「緑のAACR」じゃないでしょうか?
「緑のAACR」は、ここが魅力!
緑のAACRは、5月下旬の開催。「寒さに震えるかも…」という恐怖の度合いが、桜のAACRとは比較にならない低さです。時期が時期だけに、桜の開花は完全終了。山肌に見える雪の量も春先に比べればグッと減っています。ですが新緑と残雪が組み合わさった景色も、普通に最高。景観という点においては、桜も緑も同じように魅力的です。
そして「緑のAACR」のほうは、前日に「木崎湖自転車まつり」が開催されるケースも多いです。前日受付を早めに済ませたら、木崎湖でプラスαのお楽しみを満喫。そして夜は一緒に走る友人と夕食、というのが個人的黄金プランになっています。
「緑のAACR」は、ここが微妙!
5月下旬とはいえ、走る場所は長野県。「夏装備で出かけたら、予想外の寒さに泣きを見る」というケースも十分にありえます。実際「スタートしてからゴールするまで、ウインドブレーカー着用しっぱなし」という経験もしています。
あと、個人的に最も大きな「緑」の微妙ポイントは、春先に味わうあまりにも深い渇望。
松本エリアに桜が咲き乱れ、「桜のAACR」を参加者の皆さんが全力で楽しんでいる。その瞬間、自分はそこにいません。そして「緑のAACR」は、まだ1ヶ月近く先の果てしない未来です。桜に参加している方々が羨ましすぎて、胸をかきむしりたくなります。
やっぱり、参加するなら「桜のAACR」じゃないですか?
(以下、無限ループ)
悩み②電車で行くか、クルマで行くか。
第2の悩みは、スタート地点である松本までの交通機関。「電車で向かう」「クルマで向かう」に大別されますが、それぞれ良し悪しがあります。
高速道路は、渋滞します。
「駅の構内で、自転車を抱えて移動しなくていい」自家用車輪行は、その1点において鉄道での輪行を圧倒的に上回る快適性が約束されます。
そればかりか、前日受付の終了時間までに到着できれば、いつ出発するのかだって自由自在。切符の事前購入も不要で、乗り遅れなし。最後尾席後部の荷物スペースをちゃんと確保できるだろうか…という、不安で睡眠不足になったりもしません。AACRに参加するなら、自家用車が最高なのでは?
だがしかし!
クルマには「運転しないと、目的地には到着しない」という、巨大なネガがあります。そして首都圏と松本を結ぶ中央高速道は、春先の休日ともなれば普通に渋滞します。
往路はともかく160km走ったあと、疲労をため込みまくった状態の復路で渋滞に巻き込まれたらもう最悪。翌日には「仕事」という現実に、向き合わされるというのに!
そうなると「やっぱり電車かなー」、という気分にさせられます。
在来線は、狭いです。
首都圏から電車で行くなら、中央本線の特急「あずさ」の利用がデフォルトでしょう。新宿から松本までは、2時間30分程度。乗車して座席に座ってしまえば、あとは座っているだけで松本に到着できます。自家用車と比較すると、圧倒的に速くてラクチン。もちろん、渋滞の心配だってありません。
ただ「あずさ」は新幹線に比べると、どうしても狭さを感じることが否めません。横型の輪行袋で乗車した経験は複数回ありますが、推奨は縦型です。
あと横浜からだと立川や八王子からも乗車できますが、最後尾座席後ろスペースの確実な確保を考えるとやはり始発駅から乗車したいところ。そうなると品川と新宿で2回乗り換えが発生するので、輪行負荷が高めになります。
そもそも横浜から松本に直通する臨時特急「はまかいじ」の運転が続いていれば、こんな悩みもなかったのに…。AACRの日だけでいいから、復活してくれないかなー(超身勝手妄想)。
速くて広い新幹線は、松本を通ってない。
日本には、世界に誇る高速鉄道「新幹線」があります。超絶なスピード、広い車内、気持ちいい移動が約束された神の交通機関です。数ある鉄道輪行の中でもトップクラスで快適なのは新幹線輪行!と主張しまくっても、異論は少ないでしょう。
しかしながら、松本に新幹線は通っていません。長野で在来線に乗り換えることになりますが、長野から松本までは約1時間10分。特急を使っても、50分かかります。
長野までは快適に移動できても、そのあとの1時間は在来線。乗り換えたあとに、自転車をキチンと置ける場所が確保できるか不明瞭なのも不安要素です。
「当日の朝に出発して、一刻も早く松本に着きたい!」という場合は、「新幹線+特急しなの」という選択になりますが、あとはもう「あずさ」も「新幹線+在来線各駅停車」も、大差ないように思えます。
そうなると「トータルの運賃が安い方」という選び方でしょうか。新幹線のほうが高く付きそうですが、ネットで早めに買うと割引があったりするので、この辺は詳しい方の助言が欲しいですね…(チラッチラッ)。
札束の力で、玉座へ!
自家用車では「運転の負荷が高すぎ!渋滞リスク高すぎ!」とはいえ、鉄道利用だと「在来線でも新幹線でも結局は輪行移動の負荷が高い!」。
とどのつまり、どっちを選んでも悲劇は回避不能。トロッコ問題かよ!と叫びたくなる、泣きの選択肢しかありません。
そんな現状を打破したいなら、やはり「大人の解決策」を使うべきでしょう。
移動がラクなのは、やはり鉄道利用。そこから負荷要因である「輪行」を取り除くことさえできれば、懸念は雲散霧消します。よろしくね、私の味方!日本銀行券!
というわけで、「宅配サービスを使って宿泊先のホテルに自転車を送っちゃう」のが、割と最高です。ロードバイクを宅配できる代表的なサービスは、以下の2つでしょうか。
ヤマトホームコンビニエンス「らくらく家財宅急便」
一見、家具運搬サービスに見えますが、FAQにはロードバイクも運搬可能であることが明記されています。
西濃運輸「カンガルー自転車イベント便/輸送便」
自分は、西濃運輸のサービスを何度か使っています。
ホテル側で自転車の受取/保管について、事前に確認が必須。ですが、OKであれば、もう輪行は不要!残されるのは、「快適な電車の旅」だけになります。
想像してみましょう。朝の新宿駅で、他の参加者さんが自転車を抱えてホームや階段をヒーコラ移動しているのを横目に見ながら、悠々と乗車する自分の姿を。
そして着席したら、さっそく駅弁とコーラをいただきましょう。なるほど、悪魔的っ…!肴にしてるんだっ…!自転車を先に送って、身軽に移動する優越感をっ…!
その瞬間、もはや自分の座っている席は…ただの座席ではない…!
君臨した!この列車の中で…唯一、自転車を運ばなくてもいい地位…玉座に…!
それはさておき、自転車の持ち運びから解放されると、身体への負荷が圧倒的に軽くなります。なのでこの作戦は、往路はもちろん復路で特に有効です。160km走ったあとのボロボロになった肉体で、翌日は仕事が控えている。そうなると、もはやこの選択以外無いのでは?と思えてしまいます。
ただし!
宅配便で自転車を送るとなると、複数枚の福沢諭吉が印刷された日本銀行券が容赦なく吸い取られていきます。働くためにラクをしようとしてるのに、そのために働いて稼いだお金が消えていく。いったい何なんだよ、この悲しいマッチポンプは!!(号泣)
エントリーする前に。
AACRはデフォルトが前日受付なので、前泊はほぼ必須になります。最悪なのは「エントリー成功!でも前泊するホテルに空きがない!」という事態。なので予めスタート地点付近のホテルの空きをチェックして、可能なようなら予約を済ませてしまいましょう。
もしエントリーに失敗しても、開催は3カ月以上先。すぐにキャンセル処理すれば、さすがにホテルさんに大きなご迷惑はかからないのではないかと。
エントリー峠を勝ち抜くために。
2022年のAACRは「2020年申込者優先エントリー」があるので、一般エントリーの枠が例年より少なくなっている可能性があります。エントリー峠の標高は、かなり高めなのではないでしょうか。
そうなると一般エントリー突破の可能性を高めるために、申込画面で入力が必要な項目を極力減らして手続き完了までの時間を短縮する準備をしておきたいところ。エントリーボタンを押したあと、手続きを進めている最中に定員になってしまうことだってあるはずですからね。
というわけで、
- AACR公式サイトではなく、RUNNETの申込ページをブックマークしておく。
- RUNNETのアカウントを作成して、クレジットカード情報を登録しておく。
- 自動入力にならない連絡先メールアドレス/緊急連絡先/緊急連絡先氏名を、コピペできるようにしておく。
という準備は、最小限済ませておきたいところです。
入力が必要になる項目は、こんな感じ(RUNNETのAACR参加申込ページから引用)。
それでも、一般参加の受付開始日にサーバが大混雑して、ようやく繋がったら参加したい組は受付が終了していた…という可能性は残ります。
確実にエントリーを成功させたいなら、やはり寄付金1万円を加算して申し込む「チャリティーエントリー」を選ぶほかないでしょう。こちらは2022年1月15日に受付がスタートしていて、2022年1月23日 23:59までが期限になります。
参加前に、必ずチェックしておきたいこと。
2022年は、参加者必須のチェック項目が大きく2つ。ひとつは感染症対策。そしてもうひとつは、安全対策です。
参加人数の増加などを背景に、近年は特に重点的に安全/マナー啓発が行われています。今年も事前に情報発信があると思うので「交通マナーを遵守して走っている」という方でも、必ずすべてに必ず目を通しましょう。
結論。AACRはいいぞ…すごくいいぞ…。
自転車イベントは、それこそ星の数ほどあります。そんな中でも「アルプスあづみのセンチュリーライド」が、個人的にはいちばん好きです。
コースや景観など魅力はいくつもありますが、なによりも
「ネギ味噌おにぎりが、最高に美味!」
というのが、ずば抜けて魅力的。AACRに是が非でも参加したい!というモチベーションが湧き上がり続ける最大の源泉はコレ。もはや、「ネギ味噌おにぎりを食べるために参加している」と言っていいほどです。
というわけで、史上最高の美味なおにぎりを味わいたい方は、ぜひぜひ「アルプスあづみのセンチュリーライド」への参加を検討してみてください。エントリー峠は高いし、前泊必須だし、移動も大変。ですが、そんなすべてのネガを吹き飛ばすだけの、素晴らしい自転車体験ができること受けあいです。
(2022年2月4日追記)
「今年はダブルエントリー可能」という情報をいただいたので(@SuzumiyaHaruka様、ありがとうございます!)、私の方でもDMでAACR公式Twitterアカウント(@AACR_official)様に問い合わせました。その結果
『今回、「桜」「緑」両方にエントリーしていただく事は可能』
というご返答を、いただいています。
DMなので画面のキャプチャーは載せられないのですが、これは個人的には朗報以外のナニモノでもないですね。
というか、執筆時点では「桜」も「緑」もすべての組にまだ空きがあります。エントリー開始から1週間近く経っているのに…。こんなの、初めてじゃないですか?
このところずっと開催中止が続いているので、エントリーフィーを支払っても無駄になるかもしれない。そんな懸念からなのかもしれませんが、それだとコンテンツ自体が終わりに向かってしまうでしょう。申込みまだの方、行きましょう!AACR!!