機材をポチって ドヤってみたら
登坂(かわ)った私に
なれた気がしたnadokazuです。
というわけで、本日の駄文はこちら!
謎の制覇感に浸れるルート、それが「半島一周!」
サイクリングのルート設定はさまざまですが「往復する」とか「目的地まで走って輪行で帰る」のではなく、「グルッと一周して戻ってくる」というパターンが最近のお気に入りです。
特に
「湖を一周する」
「山の周りを一周する」
「島を一周する」
などなど「地理的な条件をもとにして一周する」というルートが、個人的な注目株。
なんだかこう、単にルートを走りきったというだけでなく
「己の脚力で、エリアを切り取ってやった!」
「この一帯は、俺様の支配下になった!」
という謎の感覚があるんですよね。
そんな中でも特に「半島をグルっと一周する」というルートは、巨大な陸地の一部分をバッサリ切り取ります。通常より強めの「エリア一帯を制圧してやった感」に満たされることができるのです。
まぁ、そんなアホな感情に浸っているのは自分だけ…という気がしなくもないですが、サイクルボールの公式サイトによると「古来よりサイクリストはテッペンと一周を好んだ」らしいので、これは歴史的事実であると言えるでしょう。
「三浦半島一周」しか、選択肢なくない?
さてさて、関東近郊で「半島一周サイクリング」にチャレンジしようと思うと、
- 銚子半島
- 房総半島
- 三浦半島
- 真鶴半島
- 伊豆半島
以上5つの半島が候補になります。
そのうち国土地理院の地図に半島名が書かれていない、銚子半島と真鶴半島を除外すると
- 房総半島
- 三浦半島
- 伊豆半島
以上3つの半島に絞られます。
そして、その中から半島一周サイクリングの候補を選ぶとなると、幻日…じゃなくて現実的に実現可能なのは「三浦半島一周」だけであることがわかります。
だってそうでしょう?伊豆半島は、言わずと知れた坂地獄。特に下田から戸田までの海沿い区間は、輪行で逃げ帰ることすらできないデスゾーンです。半周ですら瀕死なのに、一周に挑むなんて無理ゲーにも程があります。
▼ 参考記事
そして房総半島はフルフルで一周しようとすると、総走行距離が300km超のレベルです。オーバーナイト確定!それこそ、日本縦断にだって手が届く距離。ないわー…。
そんなわけで関東近郊で半島一周サイクリングをするなら、フルに走っても120〜130km程度(横浜出発の場合)で日帰りだって余裕の「三浦半島一周」一択。どこにもツッコミどころのない完璧な理論で、証明終了です!
自分がよく使うルートはこんな感じ。
横浜住みの自分にとって「いちばん身近な100km超の走行ルート」のひとつでもある「三浦半島一周」。もう何回も走っていますが、このところは大体こんな感じで固定されています。
ちなみに「三浦半島」でググってみたところ
「藤沢市片瀬から円海山北麓を経て横浜市金沢区富岡を結んだ線以南をいう。」
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
だそうなので、このルートだと厳密には「三浦半島一周」じゃないっぽいです。
なんでこのルートなの?
これはあくまでも「自分の場合」なのですが、ルート選定の考え方としては
- 横須賀まではなるべく街中を避けつつ、クルマのエスケーブゾーンが多い2車線道路を中心に。
- 横須賀の先は海沿いを走りつつ、浦賀では渡し船に乗船してラクをする。
- 獲得標高が増えるので、三崎港には寄らない。
- ロードバイクの場合は、湘南国際村でヒルクライム。
- 狭くて人も車も多い、葉山と鎌倉の観光地道路を敢えて選択。
- 鎌倉街道で横浜に戻る。
という感じ。もっといい選択肢は無限にあるはずなので、コレが絶対!と断言したりするつもりは毛頭ありません。
みなとみらい〜金沢八景
みなとみらいから八景島までは、高速道路の高架下を中心に走ります。正直なところ、走っていて面白みは全然ないです。大型車両の通行も多いうえに、アウトレットや八景島シーパラダイス(2024年3月5日〜4月16日まで、ぼざろコラボ開催)に向かう「休日しかハンドルを握らないと思われる運転者」による不穏な挙動の車両も多数。
なんですが「工業地帯を走る4車線道路なので左側から出てくる車両や人が極めて少ない」「交差点以外では右折車両に進路を塞がれる可能性がほぼ無い」という点は、平行する16号線に対しての大きなアドバンテージです。
八景島の手前にはクルマの量がグッと減る見通しのいい直線があるので、脚力のある方は最高速アタックをどうぞ!
金沢八景〜横須賀
八景島から横須賀に向かう途中では、寄り道ポイントが2カ所。ひとつは海上自衛隊の船越基地。ここでは掃海艇や掃海母艦、潜水艦救難艦などの割とマニアックな艦艇が見られます。
もうひとつは若干遠回りになりますが、田浦町5丁目で左折した先の脇道。沿道には相模運輸倉庫F号倉庫(大正6年造で今も現役)をはじめ、昭和生まれには工場のアイコンとしてお馴染みのノコギリ屋根の建物、好きな方には垂涎の十字交差の廃線跡などが点在しています。クルマの量が少なく、走りやすいのも高ポイントです。
踏切の先で左折してトンネルを抜け、横須賀隧道の手前で斜め左に入って再び踏切を渡れば横須賀駅前。その先は、ヴェルニー公園です。イージス艦に潜水艦、ヘリコプター搭載護衛艦(航空母艦ではない)に戦艦陸奥の主砲砲身などが見放題。
艦艇の入出港を見物して長居した挙げ句、それで満足して引き返しちゃうケースも割とあるので個人的には撤退誘惑危険ポイント。先日はアーレイ・バーク級がタグボートに牽かれて出てきて、再出発するのにかなりの意思と時間を要しました。
横須賀〜浦賀
ヴェルニー公園公園で帰宅の誘惑を振り切ったら、ここからが三浦半島ライドの本番。「よこすか海岸通り」は椰子の並木が続く気持ちのいい直線で、「遠出してきたー!」という実感が湧きまくります。
浦賀では、渡し船に乗船するのが個人的定番。乗船時間は5分程度で、ショートカットできる距離だって、ホンのわずか。それでいて大人1名400円+自転車50円(執筆時点)と、そこそこのお値段。正直、どう贔屓目に見ても「コスパがいい」とは言えません。
とはいえキラキラと輝く波を眺めながら座って過ごす、のんびりした時間は旅のとてもいいアクセント。それに、ここまで走ってきて疲労しきった脚には、たとえ僅かな時間でも休息効果絶大です!交通機関ではなくアトラクションとして、プチ船旅を楽しみましょう。
浦賀〜三浦海岸
久里浜のフェリー乗り場の先にあるトンネルを抜けると、左にずっと海を見ながら走れるようになります。楽しい海沿いサイクリングに、多幸感爆上がり。
ただし!野比の交差点で左折した先は、路肩に砂が浮きまくるわ渋滞しまくるわで神経を使うシーン多めです。
普段は三浦海岸交差点を左折してそのまま海岸線を走りますが、河津桜のシーズンは、右折して河津桜ポイントに立ち寄ることも検討しておくべきでしょう。
シーズン最盛期は早朝など人の少ない時間を選ばないと、ご覧の通り地獄の様相ですけどね!
三浦海岸〜三崎口
三浦海岸交差点を左折すると、交通量がグンと少なくなって一気に走りやすくなります。ここから三崎口までが、三浦半島サイクリングのハイライト区間です。
さあ、真のゆるポタ時間の始まりだ!…と思って気を抜くと、その先に待っているのは自転車マンガの帝「ろんぐらいだぁす!」でも描かれた通称「亜美ちゃん坂」。
Stravaのセグメント情報によると、登坂区間は距離0.51km/獲得標高31m。ここまで出現した坂とは一線を画す凶悪さで、最大斜度はサイコン読みでも10%を超えます。ヤビツ峠が距離10.14km/獲得標高600mですから、ちょうど20分の1ヤビツ。まさに地獄!!
「い いつまで続くのぉ… この坂ぁ…」
と、涙目になれること受け合い。回避ルートは無いので、諦めて登坂しましょう。坂を上りきったところにある「商店松輪」の裏からは、苦労に見合うだけの見晴らしが楽しめます。
「充実感…あるだろ?」
ちなみにこの写真を撮ったあと、車体が風に煽られて向こう側に思いっきり傾きました。
お、落ちるーっ!!!
ギリギリのタイミングでフレームを鷲掴みして、なんとか確保に成功。あ、あぶないところだった…(聞いたところによると、ロードバイクを落としてしまった方がいらっしゃるそうです…合掌)。
松輪港の手前で気持ちいいダウンヒルを楽しんだら、その先には風力発電の巨大なプロペラが回る宮川公園…の手前にある毘沙門の坂が待ち構えています。
ここは坂が辛いのもさることながら
「これから登坂しないといけない坂が、目の前に思いっきり立ちはだかる」
という、悪魔的光景と強制的に向き合わされる絶望ポイント。心がバッキバキに複雑骨折させられます。
三崎口〜逗子
風車の下で談笑するリア充自転車乗りの皆さんを横目に、そのままスルーして三崎港…には向かいません。
そりゃぁ三崎のまぐろは著名ですし、昼食を楽しむサイクリストも大勢いらっしゃいます。私も「くろば亭」のビントロ丼やカルビ焼きは、大のお気に入り。「三崎のマグロ」は、確かに魅力的です。
なんですが、店を選ばないと行列必至。お値段だって、決してお手頃とは言えません。さらに宮川公園から三崎港までの間には、下り坂があります。
つまり!その分だけ、余分な登坂が増えるのです。
というわけで、個人的には三崎のマグロはスルー。三崎口駅の先にある「三浦パン屋 充麦(みつむぎ)」で、パンをパクつくのが個人的定番です。
イチ押しは「かぶと舞茸とブロッコリー」。シャキシャキしたかぶの歯応えとブロッコリーのアクセント、甘みのあるパン生地、そして鼻に抜けていく舞茸の香ばしさ。
食ってみな…飛ぶぞ!
この辺りから、三浦イチは後半戦に突入。交通量は増えていく一方でテンションもダダ下がりになるうえ、疲れも出てくる頃なので気を引き締めたいところ。
いくつかのアップダウンをクリアして到着する「湘南国際村秋谷入口交差点」なのですが、ここはロードバイクの方は直進不可なので要注意。海沿いを進まずに、「必ず」右折してトンネルに入ります。
トンネルの先は三浦半島のヒルクラ名所、湘南国際村。Stravaのセグメント情報によると、距離は2.2kmで獲得標高110m。ロードバイクで三浦半島を走行した際は、法律で登坂が義務付けられている(出典/神奈川県の道路交通に関する法令大全:民明書房刊)のでスルーしないように気をつけましょう。
ヤビツ峠や西伊豆スカイラインに比べたらコンパクトな坂でしかありませんが、100km近く走ってきたあとのヒルクライムはキツさ5割増し。
あ、もちろん、ミニベロは対象外ですからね!?
逗子〜横浜
湘南国際村ヒルクライムのあとは、いよいよ三浦半島一周サイクリングも終盤。横浜方面に戻るには複数のルートがあるのですが、私は葉山〜逗子海岸〜鎌倉という混雑観光地道路を選ぶことが多いです。
狭いし人も車も多いし走りにくいったら無いのですが、ここでは敢えて「走る楽しさ」を諦めます。
どのルートを選んだとしても交通量は多いので、どうせ気持ちよくは走れません。それならオシャレカフェや映えショップが並ぶ観光地真っ只中で、浮かれポンチになっている皆さんの中に混じって「観光地然とした雰囲気を楽しむこと」に集中しちゃう方がストレスを薄められます(不用心な動きをするクルマと人間は増えるので厳重注意しつつになりますが)。
あと小坪隧道からの「トンネルの先に青い海!湘南!」みたいな風景は、なんだかんだ言ってもステキですよね。
鎌倉から先は、鎌倉街道で横浜まで戻ります。これは個人的な経験値でしかないのですが、帰りの時間帯の鎌倉街道は追い風を受けて走れるケースがなぜか多いです。港南台の登坂(Stravaセグメント名「25-15 Climb」)さえクリアすれば、あとは下り&追い風。脚に優しさが満ちあふれる状況で、ヘロヘロになった状態で走るリスクを軽減できます。
まぁ、バスとタクシーと乗用車と歩行者が入り乱れる上大岡の駅前で、思いっきり神経すり減らすんですけどね!
輪行で出発するなら、横浜駅以外で!
横浜駅は巨大ターミナルなので、各方面からのアクセス性は抜群。とはいえホームから改札が遠いうえに、改札から出口まで延々と歩かされます。通路には大量の人通りで、しかも出口付近には階段が!と、輪行に不向きな条件がフルコースで揃い踏み。
輪行で出発するなら、JRだと東神奈川や桜木町、京急だと神奈川新町辺りが個人的にはオススメです。あと都心方面から横浜までの自走する場合は、国道1号線(二国)よりも平坦度の高い国道15号線(一国)一択でしょう。
三浦半島の「美味しいところだけ」を走るなら?
「別に半島一周はしなくていい、美味しいところだけ走りたい!」というのであれば「JR横須賀駅スタート〜京急逗子・葉山駅ゴール」が、走行コスパ高めです。
ヴェルニー公園、よこすか海岸通り、観音崎、浦賀の渡し、三浦海岸、三崎のマグロ、立石公園、そして湘南国際村ヒルクライム。三浦半島の美味しいところを総取りしつつ、国道16号線の連続トンネル区間や逗子/材木座海岸沿いのストレスフル道路が回避可能です。
「それよりもさらに!美味しいところだけを最高の効率で!!」ということであれば「京急三浦海岸駅スタート〜京急三崎口駅ゴール」。これならルート内のハイライト区間である三浦海岸交差点から三崎までの県道215号線までをバッチリ抑えられて、短い走行距離でも高い満足度を得られるでしょう。
まとめ:三浦半島はトンカツである。
自走しようとすると、交通量の多い場所を避けては通れない。景色を楽しめる区間だって、そこまで長くもない。三浦半島が「どこよりも素晴らしい快走ルートだ!」なんて言うつもりは、ちっともありません。
とはいえ、アウターだけで走りきることも不可能ではない(湘南国際村は除外)レベルの難易度。横浜はもちろん23区からでも、自走で日帰りできちゃう距離感。そして海岸沿いの美しい景色に、美味しいごはん。
三浦半島が「海沿い道路を走る100km超の遠征」を、きわめて手軽に楽しめるエリアであることは間違いありません。この「遠征感の高さと、走行難易度のバランスのちょうど良さ」。三浦半島の魅力って、こんなところにあると思うのです。
食べ物にたとえると、それはトンカツ。つまり
「いいかい学生さん、三浦半島をな、三浦半島をいつでも走りきれるくらいになりなよ。 それが、人外過ぎもしない へっぽこ過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ」
ってことですよね。異論は認めます。
というわけで、まだまだ寒さは残りまくりですが、いつの間にか春はすぐそこ。次の週末は、どうですか?三浦イチ。