東京都の味わい深い坂道を自転車で探訪するシリーズ第2回は「淡路坂」と「皀角坂」(さいかちざか)をご紹介します。
淡路坂
まずは場所から。JR御茶ノ水駅と外堀通りとをつなぐ道です。住所は東京都千代田区神田駿河台4丁目。距離にして320mの坂道です。
入り口には昌平橋があり、神田郵便局が目印。
いい感じの煉瓦造りの線路橋が右手にあります。スペイン・バルとブッチャーズ八百八というステーキ屋さんが入っています。最初はゆっくりと登れる、なかなか気持ちの良い坂道です。淡路坂には激坂区間はありませんが、ひろびろとしていて眺めも良いです。坂道の魅力は斜度だけではありません。
登りがいちばんキツくなるのが「御茶ノ水ソラシティ」前です。このあたりは瞬間的に11.5%の斜度が出ます。ゆるく長めのウォームアップのあとに登場するこのちょっとだけ厳しいセクション、東京の奥多摩のような趣があります。
御茶ノ水峠
淡路坂を登りきるとJR御茶ノ水駅の聖橋口が現れます。私はこれを「御茶ノ水峠」と呼んでいます。東京都千代田区における名峰のひとつです。
ここに淡路坂の名前の由来を記した標柱があります。奥に見えているのはロシア正教の寺院・ニコライ堂。左手側には、写っていませんがソラシティというビルがあります。
淡路坂 Awaji-zaka(Hill of Awaji)
江戸時代、坂の上には鈴木淡路守(あわじのかみ)の屋敷があったことから名付けられました。また、屋敷の道をはさんだ向かい側には大田姫稲荷がありましたが、別名の一口(いもあらい)稲荷にちなんで一口坂とも呼ばれていました。
登ってきた道を振り返ります。
峠の茶屋で休憩です。御茶ノ水ソラシティのB1Fには食事処やカフェがいくつかあります。私のお気に入りはエチオピアカリーキッチン。チキン豆カレーを注文します。このお店はライスがかなり多いので「ライス少なめ」で頼むと一般的な量が出ます。
エチオピアではふかしたジャガイモがお通し的に出され、おかわり無料です。なるべく炭水化物は少なめにしていますが、皮のついたジャガイモには栄養があると聞いているので1個だけ食べるようにしています。
皀角坂(さいかちざか)
さて腹ごしらえが終わったら御茶ノ水峠を下ります。駅前の道をまっすぐ走り、交差点を超えて走りつづけます。すると現れるのが皀角坂(さいかちざか)です。
場所は東京都千代田区神田駿河台2丁目11。どこからどこまでが坂なのか微妙なのですが、下りはじめのところからはかると約290mの坂です。
この標柱の少し上あたりから坂になります。この皀角坂には思い出があります。むかしこんな立派な標柱ができる前は漢字で「皀角坂」と書かれただけの杭が立っていたのですが、それを眺めていたら通りかかったおじさんが「この坂、なんて読むの?」と話しかけてきました。私もまったく読めなかったので2人で苦笑した記憶があります。
一度坂をくだりきります。登りはじめの入り口には担々麺屋さんがあり、この左手側にはすき家、そして遠くには後楽園ゆうえんちが見えます。白山通りに面しています。
登りはじめます。さきほどの淡路坂よりも斜度はきつい印象です。
いちばん急斜面になるのがこの「TOKYO CLUB」というライブハウスの前でした。ここで12.6%。急とはいってもフロント46・リア20、ギア比2.3のシングルスピード号でシッティングのまま余裕で登っていけます。
登りきる少し手前に皀角坂の標柱があり、この名前の由来が記されています。
皀角坂 Saikachi-zaka(Hill of Gleditsia japonica)
坂名は、サイカチの木が多く植えられていたことから名付けられました。サイカチは、野山にはえる落葉高木で、枝にとげが多く、花も実も豆に似ています。現在でも、二本のサイカチの木があり、秋になると豆状の実をつけています。
すぐそばの木に白い花が咲いていました。が、これはどうもサイカチではないようです。サイカチの木の写真を撮ってこなかったのが悔やまれます。
登ってきた道を振り返ります。淡路坂同様、激坂とは言えないものの都会のわりに距離のある坂で、御茶ノ水峠とあわせて箱庭版ヒルクライムを楽しめる良路です。何度か峠を登り下りすると、東京砂漠で暮らすあなたの山欲求も少しは満たされるかもしれません。
淡路坂・皀角坂基本データ
淡路坂
- 場所:東京都千代田区神田駿河台4丁目
- 距離:約320m
- 最大斜度:11.5%
- 心の激坂度:★★☆☆☆
- 坂道満足度:★★★★☆
皀角坂
- 場所:東京都千代田区神田駿河台2丁目11
- 距離:約290m
- 最大斜度:12.6%
- 心の激坂度:★★☆☆
- 激坂満足度:★★★★☆
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