ディスクブレーキのローターには「6ボルト」と「センターロック」の2種類の規格があります。少し前に次の記事で解説しました。
関連 センターロックと6ボルトはどう違う? そしてどちらを選ぶべき?
さらにセンターロックのローターを固定するロックリングは2種類(内セレーションと外セレーション)が存在します。
カンパのセンターロックはAFS(Axial Fixing System)と呼ばれますが、AFSハブのホイールには外セレーションタイプのロックリングが付属します。本記事ではそのロックリングを使用したローター固定方法を解説します。
AFSのロックリングはBB工具が必要
シマノのセンターロックではローターの取り付けにカセットスプロケットのロックリング工具を使うもの、BB工具を使うもの両方ありますが、カンパ・フルクラムのホイールに付属するロックリングは外セレーションで、使うのはBB工具です。
作業手順を順番に見ていきます。ホイールはFulcrum Racing 3 DBです。これがローター側の様子。ギザギザのスプラインが見えます。ここにローター側のスプラインをはめあわせます。
ローターを入れました。これはTRP-25というTRPでは唯一のセンターロック式ローターです。
ローターを入れたあとにホイール付属の薄い金属ワッシャーをかぶせます。
その上にホイール付属のロックリングをのせます。ツルツルした面が上です。のせたら指で回せるところまで回して締めます。
次に本締めします。写真の工具はPark Tool BBT-9で、カンパ以外にもシマノ・SRAM・Chris King等多くのメーカーの外径44mm・16ノッチのBBカップを締め付ける際に使用できます。
ただこの工具の問題は、トルクを計測できないということです。外す時は便利なんですけど…
そこでこんな工具が登場します。Campagnolo UT-BB130。目的は同じツールですが、トルクレンチの先端に取り付けられるタイプです。
トルクレンチはステムやシートクランプのボルトで使う小さいタイプのほかに、こういう大きいものを1本持っていたほうが良いでしょう。今回使うのはアストロプロダクツの3/8・プリセット型トルクレンチ。校正不可の廉価版なので3,000円台で買えます。
AFSへのローター装着時は35Nmで締め付けます。目盛りを35Nmに設定して、ヘッド先端のレバーを右側にセットし、レンチ底面にあるトルク固定ボルトを締めます。
そして締め上げますが、UT-BB130は外れやすいのでホイールを膝の上などに置き、トルクレンチの先端を片手で押さえつつ締め付けると良いでしょう。
35NmはカンパのUltra-Torqueのスレッド式BBをインストールする時と同じトルクです。結構な力で締めるので、トルクレンチでの計測は必須です。まぁ、ブレーキですからね。大トルクでも当然です。ちなみにカンパのウルトラトルク・クランクだと42Nmで締め上げます。クランクはさらに力が要求されます。
センターロック・AFSはとにかく作業がラクで早い
センターロックと6ボルトはどちらがいいんだろう、という話題がたまに持ち上がりますが、作業性の面ではやはりセンターロック・AFS方式のほうが断然手早く、優れているように思います。トルクレンチを使うのはどちらも同じ。手間は圧倒的にセンターロックのほうが少ないですし、ネジの締め加減にムラが出てローターが微妙に歪んでしまう、とったこともありません。
ただ自転車のBBやクランクを自分ではいじらない、そこは自転車屋さんにお願いしている、という方は今回紹介したような柄の長い大きいトルクレンチを持っていないでしょうし、BB工具も新たに買う必要があります。金額的には安く済むのは6ボルトかもしれません。
そうだ、大事な点をひとつ追記。シマノのセンターロック対応ホイールには6ボルトローターを使うアダプターが用意されていますが、AFSホイールでは使用できません。
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