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サイクリング

金沢から約35km先の不思議道路、千里浜なぎさドライブウェイ「え!! 細いタイヤの自転車で砂浜を!?」

「出来らぁっ!」
「いま なんていった?」
「細いタイヤの自転車で砂浜を走れるっていったんだよ!!」
「こりゃあ どうしてもうちとおなじ細いタイヤの自転車で砂浜をはしってもらおう」
「え!! 細いタイヤの自転車で砂浜を!?」

脚も脳もへっぽこな、スーパーデブりん坊、nadokazuです。

そんなわけで、本日の駄文はこちら!

金沢から約35km先の不思議道路、千里浜なぎさドライブウェイ「え!! 細いタイヤの自転車で砂浜を!?」

千里浜なぎさドライブウェイ。日本で唯一の「車で走れる砂浜道路」。

砂浜なのに、道路。道路なのに、砂浜!しかも、自転車で走れてしまう。そんな謎仕様にもほどがある場所が、石川県羽咋(はくい)市にあります。千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ。

千里浜なぎさドライブウェイ

にわかには信じがたいのですが、羽咋市の公式サイトにも「自転車でも砂浜を走ることができます」と、思いっきり記載されています。

千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイは、車で砂浜を走れる日本でここだけのドライブウェイ(全長約8キロメートル)で、ほかにもバスやバイク、自転車でも砂浜を走ることができ、まさしく「なんでも走れる砂浜」です。

石川県羽咋市公式サイト「千里浜なぎさドライブウェイ(車で走れる砂浜)」より引用

さらに公式サイトを読み進めると、クルマや自転車が砂浜を走れる理由がわかります。

車で走れる砂浜の秘密は、砂のきめの細かさにあります。砂一粒一粒が海水を含んで引き締まり、4WDでなくても砂浜を走れます。大型観光バスでも24時間自由に走行可能で、自転車やバイクでの走行もできます。能登半島ツーリングの際にはぜひ通行してみてください。ちなみに一輪車でも走れます。

石川県羽咋市公式サイト「千里浜なぎさドライブウェイ(車で走れる砂浜)」より引用

だそうです。砂が水に濡れて、キュッと締まって硬くなる。この現象が、普通の砂浜よりも強烈に起こっている…ということなのでしょう。たぶん。きっと。おそらく。

でもでも、ここってどう見てもタダの砂浜です。「自転車で走れちゃう」というのは、集団幻覚とかではなく「真実」なのでしょうか。これは…実際に行ってみて、確かめるほかありませんよね。

千里浜なぎさドライブウェイに行くなら、最寄り駅まで輪行すべし!(異論は認めます)

で、そんな千里浜なぎさドライブウェイには、一体どうやってアプローチすればいいのでしょう? 手元にiPhoneがあったので、世界のアップルコンピュータが誇る超絶有能な音声アシスタントであるところの「Siri」に問い合わせてみました。すると…

Siri

あっさり拒絶。はいはい、キミに期待した私が悪うございました。音声アシスタントの実用化がほど遠いことに絶望しつつ、いつもどおり普通に検索したら一発で答えが返ってきました。Google先生、さすがです!

石川県羽咋市といっても、横浜住みの自分には「能登半島のどこか」というウルトラ雑なイメージしかありませんでした。最寄りの歳…じゃなくて都市が「金沢」だと知って、ようやく「この辺」の解像度が上がった感じです。でもまぁ、横浜からだと約400kmあって、宇宙よりも遠い場所レベルのハルカカナタ。おいそれと行ける場所じゃない、ということだけは確実でしょう。

金沢駅鼓門

…という先入観をバリバリに持っていたのですが、実は北陸新幹線で東京から約2時間23分でサクッと着いちゃうんですよね、金沢。発車と同時にLSSを1話から連続再生したら、「常夏☆サンシャイン」のライブシーンが終わった辺りで終点になる感じでしょうか。1話あたりの体感時間は5分ですから、5分×6話=30分で到着できる!ということ。金沢って、思ってたよりも全然近いのかも。

そして金沢駅から千里浜なぎさドライブウェイまでは、およそ35km。自走だって、全然できちゃう距離です。ロードバイクでなら、なおさらでしょう。

しかも!

かなり快適な自転車道も整備されています(ここは後述します)。自転車を抱えてホームを移動するより、この程度の距離ならサクッと輪行解除して自走しちゃう方が…と思えなくもありません。

しかしながら、個人的には「乗り換えがあっても、最寄り駅まで輪行する」を、猛烈にオススメします。

いくら普通に走れるとはいっても、千里浜なぎさドライブウェイは「砂浜」です。アスファルトの舗装路よりも、遥かに脚への負荷が高い道。それなら「なるべくサラ脚の状態で走った方が楽しい」というのが、間違えようのない世界の真理にほかなりません。

金沢寄りの「今浜口」から北上するルートなら、宝達駅。

そして七尾寄りの「千里浜北口」から南下するルートだと、羽咋駅からのスタートになります。

どちらの駅から走り始めても道順はわかりやすく、読者モデルをやっている八丈島出身の先輩でもなければ迷うことはまずないでしょう。

走ってみて、どんな感じ?

というわけで、実際に走ってきました。使った自転車はうどん県メイドのミニベロロード「Tyrell FX」で、SCHWALBE ONE 20×1.10(28-406)を履いています。

SCHWALBE ONE 20×1.10(28-406)

いろいろあって前日は七尾駅付近の安ホテルに泊まっていたので、羽咋駅からスタートして「千里浜北口」から金沢方向へ南下するルートを選択。

羽咋にはまったく事前情報なしで行ったのですが、羽咋市って「UFOのまち」なんですね。駅前にいきなりこんな看板がそびえ立っていて、「やべー街に降り立ってしまった…」という感情が爆裂しました。

羽咋市 UFOのまち

とりあえず、この看板や駅前の謎モニュメントは見なかったことにして、千里浜なぎさドライブウェイに向かいます。適当に走ったらすぐ案内看板が出てきたので、地図アプリを開くことも無く到着できました。

いよいよ千里浜なぎさドライブウェイに突入…したのですが、砂浜の上に入ってしばらくは、どこを走ってもハンドルが取られまくり。「これ、ダメなんじゃね?」と思わずにいられません。それでも100mほど進んだあとは、路面を選べばなんとか走れるようになってひと安心。

千里浜なぎさドライブウェイ

引き締まった砂の上を走るのは、舗装路ともグラベルとも違った独特の走行感覚があります。地面の柔らかさを感じるけれど、ちゃんとタイヤはグリップしてくれて「砂の上を走っている」とは到底思えないほど。「ものすごく普通に走れる」というのが、走ってみた印象でした。

千里浜なぎさドライブウェイ

とはいえ、だからといって油断は禁物です。なにしろ走っているのは、あくまでも「砂浜」。それこそ薄氷の上を歩くような、ギリギリの状態にあります。無理にペダルを踏み込んだり、急なブレーキをかけたりして限界を超えると、すぐに砂がその本性を現してハンドルをとられてしまいます。

ペダルに入力した脚力が地面に吸い取られていることを明確に感じますし、走行中はずっと緊張を強いられる。「何も考えず、ただ楽しく走れる」ということには、決してなりません。

それでも「どこまでも続く砂浜で、波打ち際のすぐ脇を自転車で走る」というのは、あまりにも気持ちがよすぎです。キラキラと輝く海を横目で見て走っていると、思わず口元が緩みます。たしかにこれは、ここでしか味わうことができない、唯一無二で至高の体験です。

走行区間の延長は、およそ8km。フラットな砂浜が、ひたすら続きます。撮った動画を見ていると同じような映像しか残っていませんが、実際にはいろいろな表情があって単調さなんて一瞬も感じません。へっぽこペースで必要以上にゆっくり走っても、あまりにも楽しすぎて終点までは本当にアッという間でした。千里浜なぎさドライブウェイ、もう最高です…。

そうそう、途中ではシギ・チドリの群れも見られました。

シギ・チドリの群れ(千里浜なぎさドライブウェイ)

走るときの注意点は?

「クルマは普通に走れても、自転車が走るとタイヤが砂に埋もれてハンドルを取られる」というエリアが思いっきりあります。しかも厄介なことに「普通に走れるエリア」と「ハンドルを取られるエリア」の境界は、極めて曖昧です。

おそらく砂が一定量を超える水分を含んでいないと、自転車のタイヤからの荷重に耐えられないのでしょう。なので「砂が乾いたように見える(白っぽい)部分」は思い切り避ける、というのがまずは鉄則です。

なんですが、それも完璧ではありません。なにしろヤバそうに見えて平気だったり、大丈夫そうに見えてハンドル取られたりということも、普通にあります。初見で見極めるのは、絶対に無理ですよ、コレ。

千里浜なぎさドライブウェイ

なので、どうしても「走行車線の真ん中に寄って走る」という選択をしがち。後ろが気になってしかたありませんが、それを躊躇する余裕もない。でもまぁクルマもすっ飛ばしてはいないですし、かなり大きく避けてはもらえます。そこまで不安に思う必要は無い…はずです。

ただし!

路面状態に細心の注意を払って走っていても、下の写真のように「進行方向の全域がヤバい感じで、もはや避けようがない」という状況にはサクッと遭遇します。

千里浜なぎさドライブウェイ

案の定、砂にハンドルを取られました。これまでは何度かリカバリーに成功していましたが、結局はバランスを大きく崩し…。

千里浜なぎさドライブウェイ

このとおり、ついにベシャっとコケました。なんで空が見えるんだろう…。

千里浜なぎさドライブウェイ

転倒したというのに、まったく痛みがありません。身体的なダメージは、ほぼゼロです。

さすが砂浜だ、なんともないぜ。

STIやディレイラーやチェーンが、潮を含んだ砂にまみれましたけどね!!(号泣)アルミやカーボンのフレームならともかく、これってクロモリフレームだと錆びの原因になりまくるのでは?

というわけで、どちらの脚もビンディングは外してペダルを回すこと。できればサドルも下げておくことを、強く推奨いたします。砂にハンドルを取られてバランスを崩すシーンは幾度となくあるので、リカバリーできるようにしておきましょう。でないと、コケますよ。私みたいに!!!

北上する、南下する。どっちがいい?

金沢寄りの「今浜口」から、七尾寄りの「千里浜北口」に向けて北上する。逆に七尾寄りの「千里浜北口」から金沢寄りの「今浜口」に向かって南下する。どちらが良いでしょうか?

時間と脚力に余裕があるなら、もちろん往復してしまいたいところ。でも諸般の都合で片道だけしか走れない、ということであれば前者の「北上する」がオススメでしょう。

理由はひとつ。海が近いから。左手に海が見えるように走るのは、海沿いを走るときのセオリーですよね。右側だと自分→道路→反対車線→海という4つのレイヤーですが、左側なら自分の脇はすぐに海です。

千里浜なぎさドライブウェイ

といっても、それはあくまでも一般論。走行方向を決めるときに、何より優先しておくべきポイントは「風向き」であると断言できます。

千里浜なぎさドライブウェイは海辺なので、それなりに強く風が吹きます。いくら波打ち際がグッと近くたって、向かい風の中を走ろうものならすべてが帳消しになってお釣りが来てしまう。走り出す前に、まずは最優先で「風向き」をチェックしましょう。

ちなみに自分は前述のとおり南下するルートで走りましたが、運良く追い風でした。もしこれで反対向きに走っていたら、地獄のサイクリングになっていたことは想像に難くありません。いやー、追い風って本当に素晴らしいですね。最高です。…コケましたけどね!

「行っても走れない」というリスクが、ゼロじゃない。

千里浜なぎさドライブウェイは、天候の影響を普通の道路より遥かに大きく受けます。そりゃそうでしょう。砂浜ですから。なので、公式サイトにはこんな記載があります。

千里浜なぎさドライブウェイは、安全に走行できない(波が高いなど)と判断された場合に、石川県(管理者)が通行規制を行い、車で走行することができません。

石川県羽咋市公式サイト「千里浜なぎさドライブウェイ(車で走れる砂浜)」より引用

ここに書かれている「車で走行することはできない」という通行規制が、自転車にも適用されるのかは正直わかりません。ですが自動車の走行がNGとなっている道路に、わざわざ自転車で突入しちゃうことには否定的です。

つまるところ、走れるかどうかは「当日になってみないとわからない」ということ。当日朝早めからの情報収集はもちろん、走行NGだった場合の別プランを準備しておくなどの必要は間違いなくありそうです。

金沢までの帰路は「能登海浜自転車道」を快走!

JR羽咋駅から千里浜なぎさドライブウェイを経由して、金沢駅近郊の内灘駅までは「能登海浜自転車道」が整備されています。

能登海浜自転車道

参考 ジャパンエコトラック  のと里浜ルート(能登海浜自転車道)

この「能登海浜自転車道」が、金沢まで戻るルートとして超高いレベルで快適です。路面が一部荒れていたり、砂が溜まっている区間があるものの、よくあるサイクリングロードレベルのクオリティはバッチリ担保されています。そしてなにより、ルート内のほぼ全区間が自転車歩行者専用で、自動車が進入してこないのです!

能登海浜自転車道

それだけではありません!

自動車専用道路の側道という理由からなのか、キツイ登りも皆無です。砂浜を走って、コケて、消耗しきった身体と脚でも、すんなり金沢まで戻れました。平らな道路は最高…最高だよ…!

能登海浜自転車道

「景観がちょっと変化に乏しい」という点は気になりますが、かなりの快走ルートであることは間違いありません。あ、補給とお手洗いはポイントが限られるので、そこだけは要注意です。

あと自転車道終点の内灘駅から金沢駅までの区間は一般道になりますが、道順はわかりやすく距離も大してありません。自転車を抱えて乗り換える手間を考えると、金沢駅まで戻って輪行するほうがベターです。

まとめ

「自転車で砂浜を走る」という唯一無二の体験ができる場所、千里浜なぎさドライブウェイ。それはまさに、時間を忘れるほどの楽しさでした。当日の天候や波の状況によって「行ったけど走れなかった」ということになる可能性を差し引いたとしても、行ってみる価値は絶対にあります(n=1)。

そして楽しく走った後は、金沢駅近くにある昔ながらの銭湯「こばし湯」で汗を流しました。タオル貸出と石鹸・シャンプーの購入を合わせても、お値段1,000円以下。もはやこれだけで「金沢って、サイクリングするのに最高のエリアなのでは?」という感情が、いとも簡単にブチ上がります。

金沢駅近くにある昔ながらの銭湯「こばし湯」

千里浜なぎさドライブウェイを走るだけでなく、金沢周辺や能登半島のサイクリングをプラスする。そうすると、かなり充実したライドプランが組み上げられるはず。日帰りもできないことはないのですが、できれば1泊して楽しみ尽くしたいところです。さあ、まずは金沢までの輪行プランを立てましょうったら、立てましょう!

あとは日帰りでも泊まりでも「走った後のお風呂」を、プランに加えておくことをお忘れなく!

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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