サイクリング

秋田県・大館市!忠犬ハチ公のふるさとをミニベロで150km走った結果【サイクルボールあききたいち】

2023年のネオ秋田。
ある夜、マスターをリーダーとするロードバイクの一団のメンバー・nadokazuが負傷した。
彼は突如現れたへリでラボに運ばれ、不思議な力に覚醒する。

というわけで、今回の駄文はこちら!

秋田県・大館市!忠犬ハチ公のふるさとをミニベロで150km走った結果【サイクルボールあききたいち】

サイクルボールの個人的な最強ラスボス女王「あききたいち」!

参加費無料、参加日時自由、それでいて走行実績に応じた記念品がもらえちゃう、お得すぎる自転車ライドイベント「サイクルボール」。

▼ 参考記事

サイクルボールを、つかもうぜ!エントリーも参加費も不要で、記念品&特典あり!【そうさ今こそアドベンチャー】
空を駆け抜け山を越え 青のマシンで 今日も(意識が)翔ぶのさ この世で一番弱いヤツ、nadokazuです。 というわけで、本日の駄文はこちら! ぼっち自転車乗りだけが持つ、圧倒的な自由。 気の合う...

富士山や伊豆半島、霞ヶ浦や筑波といった手軽に参加できそうな関東近郊のコースのほかに、琵琶湖や佐渡島など結構な遠征になるコースが複数あります。そんな中でも個人的に悲劇の元凶となる最強のラスボス女王だと思っているのが、秋田県大館市を中心に走行するコース「あききたいち」です。

「こまち」が東京から直通している「秋田」は、もちろん知っています。しかし「大館」となると名前は知っていても、詳しい場所や行き方は見当がつきません。

事前の情報は、ほぼゼロ。遠征先として、普通は検討の俎上にすら載らない場所です。訪れる機会は、生涯に渡って無いかも?というレベルで、ご縁がありません。そんな場所で交通費&宿泊費をつぎ込んだだけの体験は、果たしてできるのでしょうか?

いずれにしても、自分は大館について何も知らなさすぎます。まずは、どんな場所なのか調べてみることにしました。

大館って、どんなところ?

大館市は秋田県北部にあって、人口は68,782人(令和4年4月30日時点)。

調べていて気になったポイントを列挙すると

  • 忠犬ハチ公の生まれ故郷
  • 比内鶏の産地
  • きりたんぽの本場
  • 駅弁「鶏めし」が有名
  • 近くに新幹線の停車駅はない

という感じです。食べ物のことばっかじゃねーか!というツッコミを受けそうですが、「美味しいものが食べられるかどうか」は、遠征先の検討における最優先事項のひとつ。それが初めて行く場所なら、尚更です。

美味しそうな食べ物の情報が豊富にヒットする大館は、この時点ですでに「行かない理由がない場所」に昇格しました。行くぜ、あききたいち!

遠すぎ!時間かかりすぎ!どうやって行く?

と、決意はしたものの、問題は大館までの交通機関。「新幹線の最寄り駅がない!」というのは、やはり大きなネガです。

時刻表サイトであれこれ調べてみましたが、推奨されたのは「東京から新幹線で新青森まで行き、在来線に乗り換えて1時間半」というルート。いちばん早く着く列車に乗っても、到着は昼過ぎになります。鉄道利用だと、大館よりも北海道に行く方が早い!という衝撃の結果でした。

新幹線

最短時間で行くなら、やっぱり飛行機。羽田空港から大館能代空港までは、全日空の直行便が1日3便だけ運行されています。大館駅までのリムジンバス乗車(約1時間)を加算しても、午前中の到着は余裕です。

いずれにしても、遠征先としてのハードルは高め。イベントのような機会創出だけでなく観光情報の発信も、もうちょっと頑張って欲しいなぁ。

飛行機と鉄道、どっちを使う?

東京駅から大館駅までは、鉄道利用(東京〜新青森:新幹線指定席+新青森〜大館:普通列車)だと往復3万2,860円です。

それに対して航空機利用では、フライト直前の予約だと羽田空港から大館能代空港まで往復で5万6,040円になります。この価格差を考えたら、もう「鉄道利用一択!」としか思えません。※交通費は執筆時点のものなので、変動の可能性があります。

だがしかし!

28日前までに予約する「スーパーバリュー28」なら、往復の航空運賃は3万1,740円に抑えられます。羽田空港までの交通費や大館能代空港から大館駅までのリムジンバスの費用を考えても、価格競争力は十分以上。それでいてスピードについては圧倒的です。

輪行袋に入れた自転車はリムジンバスに無料で乗せられますし、目の前がホテルというバス停も複数あります。低めの輪行負荷で、現地入りが可能です。

1カ月以上前から予約をするのであれば「飛行機の方が早くてラク」しかも「チケット代にも大きな差が無い」。鉄道を使う理由は、もはや存在しないように思えた…のですが、そこに大きな落とし穴がありました。

ANAの飛行機

事前予約の問題は「天候が読めない」という、とんでもないリスクを抱えること。令和ちゃん(5歳児)は、天候調節レバーの操作が激しく雑です。そのうえ、わざわざ週末を狙って大雨を降らせたり、台風直撃させたりといった悪逆非道な仕打ちを平気でしてきます。

天気予報が判明してからでないと、遠征日程の最終確定は怖すぎる。そうなると、事前予約しないと高額な飛行機は選択肢として「無し!」だよなぁ…。

実際に行ってみた。プレミアムクラスで!!

とか思っていましたが、結局は飛行機を使っちゃいました!

というのも、当初予定していた日程に台風が直撃。キャンセルを余儀なくされたあと、2泊3日で外出予定が組める週末は「すでに新幹線が満席!!」。全席指定のはやぶさ、こういうことが起きるんですよね。迂闊でした…。

仕方がありません。大枚はたきました。

そして、人間は「理性のタガがいちど外れると暴走する」という特性を持っています。そう、私は気付いてしまいました。憧れと羨望の上級国民シート「プレミアムクラス」との差額が、バリュー運賃だと2,000円程度である、ということに。

プレミアムクラスを使うと、「空港でラウンジが使える」「機内で軽食が出る」「シートが巨大で広大」「優先搭乗できる」などなどの、石油王待遇が受けられます。それが約2,000円!昼食を4回抜くだけで、楽勝でペイできる計算です。

本来であれば絶対に許されるはずのない、とんでもない贅沢行為。でも、人生1度ぐらいは、そんな体験をしてもいいですよね…?

というわけで、やってきました!羽田空港ANAラウンジ!!もちろん空港ラウンジなんて、人生初の体験です。

羽田空港ANAラウンジ

キョロキョロ見回して写真を撮りまくって、恥ずかしいおのぼりさん全開。ちなみにラウンジで長時間過ごすために、早朝に家を出ております。

無料の飲み物とスナック菓子で快適な時間を過ごしていたら、案内が通知されたので搭乗口へ。優先搭乗で機内に乗り込み、そこでもCAさんから丁寧なおもてなしを受けます。機内食のサンドイッチも、普段食しているコンビニサンドとはレベルが違う美味。

機内食のサンドイッチ

差額約2,000円のモトを、完全に取りました。嗚呼…もう自転車に乗らずに帰ってもいいです…日本海溝より深く満足…。

大館能代空港からは、リムジンバスで移動。後方の出入口から乗降させてもらえたので、自転車の持ち込みはラクラク。空席もそこそこある状態だったので、車内で輪行袋の扱いに困ることもありませんでした。

リムジンバス

バス停を降りたら、ホテルは目の前。ミニマムな自転車運搬負荷で、目的地に到着できました。

大館は、自転車で楽しく走れる場所だった。

フロントに荷物を預けたら自転車を組み立てて、まずは「サイクルボール あききたいちショートコース(25km)」を走行。走破証明になる、サイクルボールカードを確保しました。これで、全コース制覇に王手。万一、明朝寝過ごしたり、途中リタイアしても大丈夫です。

サイクルボール あききたいちショートコース(25km)

翌日は朝5時に起床して、150kmのメインコースを走ってきました。初っ端からヒルクライムが組み込まれていて涙目になりましたが、あとは激坂ほぼ無し。

タイレル

豊かに実って頭を垂れる稲穂が果てしなく広がる田園風景を眺めながら走っていると、白いご飯をお腹いっぱい食べられることへの感謝と「次に買うお米は秋田産にしよう!」という謎の親近感が湧き上がります。

秋田の田園風景

ルート設定の妙もあり、総じて交通量は少なめ。非常に走りやすく、走破難易度はそこまで高くない感じです(ツラい思いをしすぎて記憶が飛んでいる可能性あり)。途中で災害復旧工事の現場脇を通ったのですが、そこで目についたのが謎の萌え工事看板。

謎の萌え工事看板

イラストはともかく、フォントの選び方やグラデの色使い、装飾処理のそれっぽさ。明らかに「文法(ルール)」を「理解(わか)」っている、手練れのデザイナーが全力で仕事をしていることを確信しました。

謎の萌え工事看板

あとコース脇にいきなり出てきた、タイヤ製の交通安全ロボには笑いました。周囲には花が植えられていて、きちんと維持管理されています。

タイヤ製の交通安全ロボ

コースの終盤は、廃線になった小坂鉄道に沿って走る部分が多かったです。まだ廃線になって間もないからか、保存状態は良さげ。どうせなら、サイクリングロードとして整備してくれないかなー、と勝手な妄想をせずにはいられません。

予報では夜半まで天気は持つはずだったのですが、結局思いっきり降られました。号泣。

サイクルボールあききたいち

この「サイクルボールあききたいち」のコース作成に協力されたのは、東大館のスポーツ自転車店「サイクルショップ虻徳(あぶとく)」さん。

サイクルショップ虻徳(あぶとく)

特に150kmのメインコースは練りに練られていて「このルートは地域を知り尽くした方でないと引けないな…」というのが、初めて大館を走る素人の自分にもわかりました。

大館は、美味だった。

さてさて、走るのが楽しい大館エリアですが、食べるのも相当良かったです。

駅前の「花膳」では有名駅弁の「鶏めし」が、ほかほかの状態でいただけます。伝統工芸品「曲げわっぱ」の容器に入っているのも、高ポイント。

花膳の鶏めし

比内鶏の塩ラーメンは、スッキリした味。スープの染み込みまくったお麩が、実にいい仕事をしています。

比内鶏の塩ラーメン

きりたんぽ専門店「元祖むらさき」の「きりたんぽ丼セット」。「きりたんぽ丼」は、きりたんぽ鍋の中身が丼に入って提供されるもの。

きりたんぽ専門店「元祖むらさき」の「きりたんぽ丼セット」

取り分ける手間がない分、鍋よりも手軽に食べられます。量も適度なので、一人で食べる夕食にはぴったり。

きりたんぽ丼

こちらもきりたんぽ専門店「十字屋」の、「特製みそつけたんぽ」。税込200円で、五平餅を思わせる素朴な味わい。店内でいただいたのですが、サービスで出された冷たいお茶との相性抜群でした。

「十字屋」の「特製みそつけたんぽ」

地元の人気店「えんとつ(@entotsu_oodate)」の「チーズハンバーグ ホワイトソース」。自転車で走っているのを言い訳に、容赦なく300グラムをオーダー。この白いソースの下には、チーズに覆われた巨大なハンバーグが鎮座しています。味もボリュームも、大満足できる一品でした。

「えんとつ(@entotsu_oodate)」の「チーズハンバーグ ホワイトソース」

あと、道の駅のレストランで比内鶏の親子丼もいただいていますが、卵に完全に火が通ってしまっていて、見た目だけちょっと残念。味はよかったんですけどねー。

まとめ:大館は、走りやすくて美味しい!

ルート選定にもよりますが、霞ヶ浦やりんりんロードのような「平坦一辺倒の場所」ではありません。走っていると、それなりの頻度で坂が登場してきます。

しかしながら10%超の斜度は稀(少なくとも、サイクルボールのルート内では)。「延々続く最大斜度10%以上の坂」がカジュアルに登場してくる坂地獄の伊豆半島に比べれば、もはやパラダイスだと思えるレベル。

サイクルボールあききたいち

それに幹線道路をちょっと外れれば、途端に交通量が少なくなります。もう、走りやすいったらありません。地元の自転車乗りの方にお伺いした限りでは、他にも走って楽しい場所がたくさんありそう。

そして、前項の通り美味しいごはんも勢揃い。比内鶏やきりたんぽのほか、蕎麦や梨も名産らしいです。

時間と交通費をかけて行くだけの価値、間違いなくあります。サイクルボールの公式さんやアンバサダーさんたちは、もっともっと大館と「あききたいち」の魅力を発信してください!頼みますよー!!

次に大館に行くときは、あえて鉄道を使いたいところ。新幹線駅からは遠いけれど、むしろ「遠さを楽しむ」ことができるはず。

タイレル

サイクリングにプラスして、秋田縦貫鉄道や IGRいわて銀河鉄道&JR花輪線などのローカル線の旅を組み込むプランも良さそう。おりたたみ自転車なら、輪行もラクですし!

2024年の6月には、ライドイベント「ハチ公きりたんぽライド(公式サイト)」の開催が予定されます。コレは行かねば!!との思いを強くしていますが、ぜひ盛り上がって欲しいところです。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

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