よみもの

地元の自転車ショップと専門知識を持つ店員をもっと活用して下さい、という投稿に対するベストアンサー

長年自転車ショップで働いているという方が、海外掲示板で「インターネットは間違った情報が多いですから、もっと地元のショップ(LBS=Local bike shops)を活用して、質問したりモノを買ってください」と訴える投稿をしていました。

Photo by Adrien Olichon

出典 PSA: Local bike shops exist for a reason.

以下、スレ主さんの投稿(一部の抄訳)です。

インターネットはグレートですし、みんなが多くを学べるリソースもあります。それはわかります。しかし長年自転車ショップで働いてきた者として、「これはお買い得でしょうか?」や「このリムは延命させられるでしょうか?」や「このヘルメットは交換すべきでしょうか?」といった質問を目にするのにうんざりしています。なぜそうした質問をするのかは、理解はできます。数千人を自転車に乗る手伝いをしてきた人間として、自転車に乗ることと、それに伴って増えていく知識が人にもたらす興奮は、私も好きですから。

しかし、いくつかのスレッドで見かける高評価回答は、正解とは言えないどころか、完全に危険なものまで様々です。そしてそれらの質問はすべて、文字通りすべて、業界の専門家が数分で無料で答えられる内容です。ここで私が見かけるいくつかの自転車には、注ぎこもうとしているだけのお金の価値は間違いなくありませんし、トップチューブに凹みが見えているフレームに(非常に危険です)「良い買い物をしたね!新車、楽しんでね」というコメントがトップに来ていたり、ただの誤情報が拡散されていることもあります。…

自転車メーカーは路面店(brick and motar, 物理店舗)が存在し続けるために多くの努力をしています。私が働いているところでは、明らかな安全上の問題はないか、どんなパーツが必要かを診断するのは無料です。次に火急の質問がある時は、地元ショップを訪れてみることを高く推奨します。そして、私達をサポートするために、何か買ったりして下さい。

様々なコメントが寄せられていますが、本記事時点で最も評価の高いコメントがこちら。

そうですね。同時に、自転車ショップで私が耳にした完全な誤りや、時代遅れの話の量は、この掲示板と同じくらいありますよ。

私の経験では、良い自転車ショップは稀です。いや、それはグレートなショップと呼ぶことにしましょうか。良いショップは、時々遭遇します。しかし、ここでは伝統的なショップ、と呼ぶことにしましょうか、そうしたショップは特に、私の経験ではほぼ100%が完全なゴ◯です。入店時も、質問をする時も、何か買う時も、作業をお願いする時も、何も買わない時も、バカにされます。

本当に良いショップは、表舞台に出ている、コミュニティを作っているショップだけです。そしてそういうショップは、ある程度事情通でないと存在を知らないため、初心者は知らないことがよくあるのです。

私は小さい地元ショップをサポートすることについては完全に賛成します。しかし、ただ店舗を構えているからという理由でゴ◯みたいなショップをサポートする気持ちは、もうありません(189いいね)

私自身も上の方と同様、路面店・物理店舗をサポートしようということについて反対する気持ちは、まったくありません。ショップで店員さんから有益で活きた情報を得られることもありますし、実際の商品を眺めたり、手に取ることは楽しいですし、ネットより多少高くてもその商品との出会いの場を提供してくれたことに対して少し多めにお金を払うのは厭わないですし(限度はありますけれども)、すぐにお持ち帰りできる魅力もあります。

結局のところ、あるショップが支持されるかどうかは「プラスの価値、陽の価値を提供しているかどうか」だと言えるのだろうと私は思います。上の方は、コミュニティをビルドしているショップは良い、とコメントしています。これは言い換えれば、人がそこに集まってくる積極的な価値、ハッピーになれる価値を提供しているかどうか、ということだと思います。

ではその「価値」とは何か。私は専門家です。私は何年も自転車ショップで働いてきました。何千人ものサイクリストの世話をしてきました。私のほうが詳しい。私のほうが技術がある。その自転車、それ以上お金をつぎ込む価値はないですよ。もっとうちのお店に来て、ショップをサポートするために何か買ってください。そのようなメッセージを発信することは、積極的な価値を生むでしょうか。

価値を生む、というのはものすごく難しいことだと思います。というのも、価値を生むことができれば、かなりの確率で成功できるからです。価値を生むことが簡単なら、世の中の自転車ショップはどこも大繁盛しているはずです。

どんな価値を、どのように提供していくか。安さなのか。技術なのか。安心なのか。サポートなのか。気持ち良さなのか。取り扱い商品ラインナップなのか。グループライドの主催なのか。おいしいコーヒーも用意することなのか。先入観なしに話を聞くことなのか。

こうしたことに真面目に取り組んでいくのは、クリエイティブでおもしろい仕事ではないかと思います。LBS(物理店舗を構える自転車ショップ)自体に未来がないのではなく、価値を生んでいる、生もうとしているショップなら、未来はあるだろうという気はします。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

マスターをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました