ヤビツの山奥で修行して
台場・ダッタの魂やどしたnadokazuです。
空にかけたる 虹の夢
いまさらあとへは ひけないぞ
だから行くのだ
レインボーライド!
というわけで、本日の駄文はこちら!
レインボーブリッジ!自転車に乗って渡れない橋!!
首都高速11号線・東京港連絡橋。またの名を「レインボーブリッジ」。東京都港区と東京臨海部の副都心エリアを結ぶ、橋長798m、塔高126mの吊り橋です。虹色のライトアップが知られているかと思いますが、特筆すべきはその景観。日没後にお台場側から渡ると「この眺めはマンハッタンと肩を並べるのではないか?」と、過大評価したくなるほどです。
ミュージックビデオや映画など、数多くの映像作品にも登場。東京臨海部の推し…押しも押されぬランドマークとしての地位を確立しています。
そんなレインボーブリッジですが「自転車に乗車して渡ることができない」というのが、自転車乗り的な弁慶の泣きどころ。歩行者道は設置されているものの「自転車は専用の台車に括り付けて押し歩き」という苦行を強いられます。悪魔か!?
▼ 参考記事
せっかくの名所なのに、お台場サイクリングのルートからは除外せざるを得ないレインボーブリッジ。押し歩きで渡るくらいなら、水上バスを使っちゃうのがオススメです!
レインボーブリッジを完全封鎖!自転車イベントのためだけに!!
自転車走行不可のレインボーブリッジを、走って渡れる。しかも下段の歩行者道ではなく、最上段の首都高速道路を!合法的に!! という俄には信じがたい自転車イベントが、2023年11月23日に開催されました。「GRAND CYCLE TOKYOレインボーライド」。
参考 イベント概要 – GRAND CYCLE TOKYO − 公式ウェブサイト
今年で2回目の開催となりますが驚くべきことに、このイベントのためだけに首都高速道路11号線と周辺道路が完全に封鎖されます。休日の限られた時間だけとはいえ、44,000台/日の交通量(国土交通省の資料による)がある巨大幹線道路の交通を遮断するなんて尋常ではありません。こんなトンデモイベント(褒めています)を実現させてしまった関係者の皆様には、心からの賞賛と敬意を表します。
昨年はものすごい倍率だったようでX(旧Twitter)のタイムラインでは「落選した!」という声に満ちあふれていました。
今年も同じ感じなんだろうなー、と思いつつダメ元で申し込んでみたらあっさり当選。どうやら大幅に参加枠が拡充されたようで、「落選した」というPOST(旧Tweet)を見かけることはなかったです。「当選したけど参加費の振り込み忘れた!」という悲鳴は聞きましたが。
参加費1万5000円!これって妥当?
レインボーライドは3つのクラスに分かれていて
- ロング(レインボーブリッジを渡り、東京港の海底トンネルを経て東京ゲートブリッジを渡る約32km)
- ミドル(レインボーブリッジを渡り、東京港の海底トンネルを経て戻る約19km)
- ショート(レインボーブリッジを渡る 約8km)
と、自転車経験値によって走行距離が選べるようになっています。
自分が申し込んだロングコースは、大人の一般参加だと参加費1万5000円でした。
…いちまんごせんえん!!!!!
よくよく考えてみると、というか考えるまでもなく「1万5000円」は高額です。5倍以上の走行距離がある「アルプスあづみのセンチュリーライド」の参加費を、余裕で上回ります。
時速15kmで走ったとして、およそ2時間。「1時間あたり7,500円」なんて、憧れの回らないお寿司屋さんで好き放題注文しないと使い切れないのでは?
とはいうものの募集定員からものすごく雑に計算すると、欠員/未収なしの前提で集まる参加費はざっと5475万円。地価が日本一高い都心エリアでの開催であることや、スタッフの方々の動員規模(後述します)を考えると、割安とは言えないまでも妥当だとは思わざるを得ません。
ちなみに限定100名の「VIP枠」があって、
- 出走権の確約
- VIP専用の受付場所
- スタート位置の優遇
- VIP特製ノベルティ
- ライドイベント前後でのVIPラウンジ使用(ドリンク&軽食付き)
という特典が用意されているようです。しかしながら、VIP枠の参加費は実に5万5000円(!!!)です。この枠で申し込んでみた方の体験談、ぜひお伺いしたいところです。
実際に参加してみた。
2023年11月23日、早朝のお台場。受付開始からスタートまでの時間帯は、気温こそ11月下旬にしては高めではあるものの、時折小雨がパラつくというコンディションでした。
それでも「雨天&極寒」のダブルパンチに見舞われたらしい昨年に比べれば、最高の天気だと思えます。
待ち時間2時間!後発ウエーブの悲劇。
自分のスタートは、第35ウエーブ。受付のリミットは7時で、そこから指定位置に移動して待機列を形成。順次スタートという流れなのですが、まぁ待たされましたねぇ。
近くにいらしたTyrell乗りの方と小径談義をしていたので退屈はしませんでしたが、結局待機列がスタート地点に辿り着いたのは9時過ぎ。実に2時間以上、待ちっぱなし&立ちっぱなしです。
参加者以外は進入ほぼ不可能!完全クローズドコース!
長い長い待機のあと、MCの方と大勢のスタッフの皆さんに見送られつつスタート。走行ルートは一般道を含めて、完全なクローズドコースが生成されていました。
コーン標識やフェンス、立ち入り禁止テープなどで厳密に区切られているほか、数メートル〜数十メートルおきにスタッフの方がコース脇に立って監視の目を光らせています。
悪意を持って侵入を試みない限り、一般車や歩行者がコース内に立ち入ることはできないでしょう。
安全性の確保!徹底されまくり!!
各ウエーブの先頭は走行管理スタッフの方がペーサーとして走行されていて、追い抜きは禁止。お話を伺うと、
登坂/時速8km
平坦/時速15km
下り/時速20km
の制限が設けられているとのこと。※うろ覚え
かなり低く抑えられた、安全重視の走行速度。へっぽこ脚の自分ですら、登坂がゆっくりペースで必要以上のギアダウンを余儀なくされたので、ガチ勢の皆さんには相当ストレスフルな走行になったのではないでしょうか。
レインボーライドのハイライトであるレインボーブリッジはスタート直後に渡るルート設定になっていて、あれよあれよという間に首都高の料金所を通過。
路肩の壁が低い場所は金属フェンスが設置されていて、間違って壁に突っ込んだとしても海に転落する可能性は限りなくゼロ。
コース脇には万一の事態に備えているのであろう、救急車も待機しています。走行安全性の確保の徹底っぷりには、驚かされました。ここまでやるのか!
白日の下にさらされる、陰キャの本性。
コース脇には数メートルおきにスタッフの方が配置されていて、笑顔で手を振りながら声援を送ってくれます(本来の業務は監視とトラブル対応なのでしょうけれど)。このコース沿道のスタッフ配置、スタートからゴールまで途切れることが殆どありません。
とんでもない規模の人数が沿道に配置されていることが、走っていてハッキリわかります。そして走っている間じゅう、ずっと皆さんから拍手や声援を送られ続けるのです。
閉塞された空間の中で、スタッフの誰もが自分を歓迎してくれている(ように思える)この感じ。おもてなしされまくりな独特の雰囲気は、あれです。かなり近いですね、ディズニーランドと。
こういうときは斜にかまえて冷静な態度を装うのではなく、あえて雰囲気に飲まれて浮かれポンチになっちゃうのが正解。もちろん自転車で集団走行しているので、自分と周囲への注意だけは絶対に怠らない、という前提つきになりますが。
沿道のスタッフさんや対向車線を走ってくる先行ウエーブの皆さんに、同じウエーブを走行している陽キャの皆さんが笑顔で手を振りまくっています。そう、これがイベントの正しい楽しみ方です。
だがしかし!
自分は陽の光が作り出した、漆黒の影の中に息を潜める陰キャ。ジャングルクルーズでキャストさんの煽りを受けて周囲が盛り上がる中、一人苦笑いしちゃってる空気読めない奴です。
陽キャのみなさんが振りまく笑顔が、眩しすぎる…!
目が!目がぁあああ!!
その結果、口角を中途半端に釣り上げた歪んだ笑顔でペコペコ頭を下げて走る、いちばん気持ち悪い奴が1丁上がりです。
本能が土下座する!道路交通法を合法的に蹂躙!!
スタートからゴールまで、すべてが道路交通法の適用されないクローズドコース。そこでは自動車専用道に自転車で突入する、というだけでなく
- 3車線の中央車線を走行する。
- 赤信号を減速せずに通過する。
- 走行車線を思いっきり逆走する。
などなど、普段は遵守すべき道交法を無視するどころかゲス顔で蹂躙しまくることが完全に合法化されます。
それでも目の前が赤信号だと本能的にブレーキをかけたくなるし、中央車線を走ったり逆走したりすると胸が痛みます。サイクルトレインの乗車時に、ホームや電車内に自転車をそのまま持ち込んで感じる罪悪感の比ではありません。
後ろめたいことなど、一切していない。完全に合法。それを頭ではわかっているのに、感情の処理が追いつかず「申し訳ございません!申し訳ございません!」という気持ちに苛まれ続けました。
ゴールまでは、あっという間!
レインボーブリッジを渡ったあと海底トンネル(東京港海の森トンネル)を抜けた先にある「海の森水上競技場」がエイドステーションになっていて、そこでひと休み。エイドと言えば補給食ですが、さすがにこの走行距離ですし何の提供もありません(水は補給できたかも。未確認)。
このエイドにはタイアップしている映像作品のパネルを背景に撮影できるフォトスポットが設置されていて、撮影待ちの参加者が長蛇の列を作っています。スタッフの方がシャッターを押してくれるので、ぼっち参加でも記念写真の撮影はバッチリです。
スタート時のウエーブは、ここで一旦解散。ゴールまでは、エイドステーションを出発するタイミングにあわせて適宜ウエーブに乗っていく形になります。
エイドを出てしばらく走ると、本日第2のハイライト「東京ゲートブリッジ」です。地味に斜度があってどこまでも真っ直ぐ続く凶悪な登坂に、ちょっとだけ涙目にさせられました。ゲートブリッジを渡ったあとは、若洲海浜公園のサイクリングコースを少しだけ走行。
公園を一周するのかと思ったら、半分も行かないうちにUターン。さっき渡った東京ゲートブリッジをもう一度渡って、お台場方面に戻ります。真っ直ぐな下り坂は、最 of the 高!
海底トンネルを抜けると、瞬く間にゴールに到着。9時頃スタートの11時20分着なので、エイドの撮影待ちを差し引くと、走行時間はきっちり2時間。平坦の設定速度である時速15kmを、バッチリ遵守した感じです。
そうそう、レインボーライドで走っていた折り畳み・小径車は、自分の見た範囲だと「ブロンプトンとそれ以外」というぐらい圧倒的にブロンプトンでした。石油王御用達のTラインもちらほら。
あと、ビジネススーツ着用&レンタルママチャリの方がいらして笑いました。ルート後半は一緒に走りましたが、自転車イベントで敢えてこの装い。もはやコスプレでしょう。
まとめ
レインボーブリッジと東京ゲートブリッジへの登坂はありますが、走行距離はたったの30km程度。走行スピードも徹底的に抑えられているので、普段から自転車に乗っていると走りごたえは正直ゼロです。自分のペースで走らせて!せめて3周させて!と、思わずにはいられません。
とはいえ「普段は絶対に自転車で走れない場所を、考え得る最大限の安全性が確保された状態で走って、走行中は沿道からの声援を受け続ける」というのは、自転車体験として稀有にも程があります。
まさに、唯一無二。世界にひとつだけの、特別なOnlyOneの自転車イベントだと言えるでしょう。
また参加者の中には、海外の方もいらっしゃいました。X(旧Twitter)では「聖地をキャラクタージャージを着て走るために台湾から来日」という、筋金入りのオタk…熱心なファンの方も観測しております。
「お台場」という魅力あるコンテンツに、普段は走れない場所を自転車で走るという「特別な体験」が掛け合わされる。
もしかして、このまま回数を重ねていくと「ホノルルセンチュリーライド」レベルのワールドワイドな自転車イベントに成長してしまうのではないか。と、夢想するぐらいのポテンシャルを感じました。
「レインボーライド」が日本を代表する自転車イベントとして、ますます発展していくことを願ってやみません。
ものすごく蛇足!
今回のレインボーライドは、お台場を舞台にした映像作品との公式タイアップが行われています。
わたくし、普段はキャラクタージャージを着用してサイクルイベントを走ったりはしません。ですが、今回は「イベントでの公式タイアップ」です。それに乗らない理由なんて、どこにもない。むしろ積極的に乗っかって、運営をサポートしていくのが参加者として正しい行動でしょう。そんなわけで、仕方なく(本当)キャラクタージャージをポチりました。
ちなみにタイアップしている作品についてはちっとも詳しくないですし(本当)、楽曲のCDやBlu-rayを全巻買い揃えたりもしていないし(本当)、同作のソシャゲで天井まで課金したことも…ありません…よ?
さてさて、いい歳こいてキャラクタージャージかよ!というのはさておき、浮かれポンチになっている走行中はともかく、イベント開始前後の往路と復路の道中が大きな問題です。
だって、これって「浮かれ気分の消え去った地元の電車内で、ディズニーのカチューシャ着けたままの人」になってしまうパターンそのものじゃないですか!
そこで対策として一緒にポチったのが、同作品のウインドブレーカー。シルエットでしかキャラクターが描かれていないので、パッと見であれば普通のロゴ入りウェアでしかありません。これでイベントタイアップに全力で乗っかりつつ、イベント走行時以外は無関係な一般人を装えます。隠蔽工作は完璧です!!
そして迎えたレインボーライド当日。ゴール後にそそくさとウインドブレーカーを着用して素性をひた隠しにしつつ、お台場を離れるためにコースを横断しようとしたときのことです。
コースの横断を管理されているおねーさまが、私のキャラが一切描かれていないウェアを指差してこう仰いました。
「あー!ラブライブだー!!ここ、虹ヶ咲の聖地ですもんねー!!」
本日の教訓:いくら隠蔽しようとしても、あっさり素性は公にされる。
いろいろと終了!!!