サイクリング

ネイチャー系観光サイクリングでは複数のオフライン資料を活用すると体験の解像度が高まる

地方、特に自然環境のなかでの観光サイクリングを最大限に楽しみたい、という場合、私が行っている「オフライン資料」の活用方法に一定のパターンができてきたので、ご紹介します。

三宅島

ネットで各種ウェブサイトを事前に調べたり、GPSサイコンの地図やナビといったデジタル情報を活用するのも有益で楽しいと思いますが、それに加えて「オフラインで得られる様々な資料・情報」を積極的に活用すると、旅行・観光サイクリングはさらにおもしろくなる、という内容です。

地理院地図(1/25000)

私にとってまずメインとなるのが、国土地理院の地理院地図(1/25000尺)です。サイクリングでこれを活用する人は少ないかもしれませんが、ピンポイントでこの地方を探索したい、ここは何度か行くだろう、という時は大体購入しています。

三宅島の地理院地図

これが観光ライド中のベースマップとなり、大きい行動計画を立てる時の指標になっています。後に登場するソースから得られる各種情報を、これに書き加えたりもします。

地理院地図はメジャーな地域なら大型書店で手に入るほか、日本地図センターのネットショッピングでも購入できます(到着まで3〜4日)。国土地理院のサイトで好みのエリアを検索してデータをダウンロードし、印刷して持って行くという手もあります。数百円かかりますが、私にとってこれは必要不可欠な旅費の一部です。

地形図の読み方は覚えていく必要がありますが、慣れてくると本当におもしろいし、便利です。

無料の観光パンフレットたち

加えて、無料の観光パンフレット群があります。どこで手に入るか。一例として離島での観光サイクリングの場合、船の発着港や現地の観光協会、民俗資料館などで手に入ります。同じ内容のデジタル版が自治体・観光協会のサイトからダウンロードできる場合もあるのですが、現地でしか手に入らないものもあります。

三宅島の観光パンフレット

荷物になるのでサイクリスト的には抵抗があるかもしれませんが、紙バージョンを携行するのが個人的にはおすすめ。ぱっと広げられて視認性も高い。また「観光パンフレットはひとつ取ったから、これで十分だろう」と考えることが最初は多かったのですが、パンフレットによって情報の量や深さが違うため、複数を移動中にでもチラチラ眺めておくと発見があります。

三宅島のサイクリスト向けパンフレット

たとえば上も下もサイクリスト向けの地図・ページなのですが、複数ある見どころや観光スポットの紹介、通行止め区間などの情報が補完されていき、頭の中でより完全なものになっていきます。あっちには書いてなかったけど、こっちには書いてある。ということが多いのです。

三宅島のサイクリスト向けパンフレット

ウォーキング・トレッキング向けのマップからも、違う角度からの情報を得られます。特にオフロードサイクリングにとって重要な情報や、自転車は乗り入れできないけれど近くに停車して歩いていける観光スポット、といった情報が現れることがあります。

三宅島のウォーキングマップ

下はバードウォッチャー向けの地図です(地質の情報が少し含まれています)。このように観光サイクリング振興に力を入れている地域でも、サイクリスト向けだけでなく他のアウトドア活動向けのパンフレットも入手して眺めると情報が深くなります。

三宅島のバードウォッチャー向け地図

現地の地図看板

加えて、現地の地図看板も役に立つオフライン資料です。看板という性質上、情報がアップデートされていない場合もあり、もはや存在していないスポットや行き止まりに連れて行かれることも稀にあったりしますが、集落の名前・メジャーでない林道の名前・現地の人による地名の読み方など、よりミクロな情報を得られることがあります。

三宅島の現地の地図看板

有名観光地であれば、大きい情報ももちろん看板から得られます。こうしたものでも、事前に知らなかったことがわかることがよくあります。へーそんな峠あるんだ、とか、トレイルの描き方はこっちのほうが詳しいな、等。

三宅島の現地の地図看板

郷土資料館

最後に個人的に外せなくなってきたものを紹介します。郷土資料館です。その土地の歴史や地理についてより深い理解を得られ、下のような地形の3D模型を見られることもあります。ネットでもこれらに近い情報は得られるかもしれませんが、現地でしか得られない情報が圧倒的に多く、広さよりも深さを追求したいタイプの観光サイクリングにはおすすめです。

三宅島の郷土資料館にある島の3D模型

せっかく遠方までアウトドアのサイクリングに来ているのだから、旅先で屋内の情報施設に入っていくのは本末転倒な気がする、時間ももったいない、と思われるかもしれません。しかし、もし複数日にわたって同じ地域を観光サイクリングするのなら、1時間前後を郷土資料館で過ごしてみてはどうでしょうか。体験の解像度が爆発的に高くなることうけあいです。

観光サイクリングの後半に、旅のラップアップとしてこうした資料館を訪れ、自分はこんなものを見てきたのか、と感慨にふけるのもおもしろいと思います。

自分自身が資料になる

あとはとにかくライドを楽しみます。やがて自分のライドそのものが、その土地を再訪する時の唯一無二のオフライン資料となるのは言うまでもありません。その季節、そこではどんな風が吹き、どんな匂いがするのか…

三宅島

こんな情報も、ネットでは得られにくいものです。

三宅島の林道

どんなところでも、有名な観光スポットに限った場合であっても、一回の訪問ですべて回れることはそう多くないと思います。回れなかった時は次回の楽しみにして、再訪してみてはどうでしょうか。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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