「シマノはCUESというグループセットで何をやろうとしているのですか? ターゲット市場はどんなものでしょうか?」という質問投稿を海外掲示板で見かけました。わかりやすい見解コメント・参考になる情報がいくつか見られたのでご紹介します。
(スレ主さん)グラベル・クロスバイク向けのAlivioのようなものかなと推測していますが、わからなくなってきました。価格を検索して調べるとGRXのいくつかのグループより高価だったりしますし… 何が起こっているのでしょうか?
出典 What Shimano is doing with the CUES group set? What is the target market?
以下、個人的に参考になったコメントの抜粋・抄訳です。
- (CUESは)ホンダ・アコードなんだ。最安ではないし、キラキラでもないけれど、たまに本当に基本的なところだけチェックしておけば世の終わりまでもつ(57いいね)
- ずっとユニバーサルなコンポでもあるね。グラベルバイク・クロスバイク・MTBでも使える。フラットバーでもドロップハンドルでも使える。あとシマノがMicroshift Advent Xと戦うためのひとつの方法でもあるのだろうと思う(62いいね)
- ターゲットにしているのは、朝飯や昼飯を食うために何マイルもガツガツ走る通勤の人。こうした人達は毎日50km以上乗るし、超高性能なシフトや超軽量なものはあまり必要とはしておらず、信頼性と耐久性が欲しいんだ。どちらもCUESならしっかり満たしてくれるだろう。彼らはレースをしないし、年間300日を平均23mk/hで走りたいけれどチェーンやカセットに新車一台分のお金は払わない(81いいね)
- ドロップハンドル版では、ローエンド側(Claris – Tiagra)を置き換えるけれど8-10スピードから9-11に底上げされる。技術的に相互に互換性があるので、理屈の上ではアップグレードが容易になる。その上で言うと、ユーザーにとっての直接のメリットというよりメーカーにとってのメリットのほうが大きいのだと思う(21いいね)
- シマノはGRX, 105, Deoreから下のグレード全てを撤廃して、CUESで置き換えようとしているんだ。Claris, Sora, Tiagra, Altus, Alivio等々がなくなってCUESに単純化される。個人的には賛成だ、最安コンポの価格は上がってしまうけれど、より普遍的なパーツのベターなコンポが手に入るのだから。Clarisカセット・Tiagraクランク・Alivioディレイラーという組み合わせはなくなる。これからCUESだけということになると、自分でバイクをいじる人達にとってはパーツ調達が楽になる(12いいね)
- CUESにはいくつかの役割があるんです。まずはシマノの製造現場と互換性を整理して効率を高めること。主に通勤・フィットネス及びコンフォートバイクと、エントリーレベルのマウンテン・ロード・グラベルバイクのために設計されたものです。公式リリースの2年前に、シマノの担当者が私に言ったところによるとCUESの最終的な目標は105とDeore以下の全てを基本的にリプレースするというものでした。またこれはエントリーレベルのコンポなので、ターゲット市場はOEMであり、エンドユーザーではありません。そのためGRXより高価なことがあるのです。同じようなことがSRAM NX vs SXについても言えます。SXはOEM用セットで、NXのほうが基本的にはあらゆる面で良いものなのですがNXよりも高いことがよくあります。CUESはリプレース対象のコンポ群よりもずっと頑丈なのでE-Bikeにもよく向いています。分厚く、重く、間隔の広いコグとフィクシーから外してきたように見えるチェーンは、E-bikeに数千ドル払ったニューライダーが2ヶ月おきに駆動系をダメにしないことを意味します(18いいね)
- シマノにとってはSKU(在庫の最小管理単位)が少なくなり、ショップやライダーにとっては相互互換性がより増える(2いいね)
- CUESがもう少し地位を確立したら、シマノはGRXの安いバージョンをディスコンにすると思う(1いいね)
あらためて考えると、CUESのおかげでシマノは増えすぎてしまった(?)コンポラインナップを整理することで製造現場でのコスト・在庫管理コストを減らせるようになり、エントリーレベルのバイクを購入する「互換性や耐久性の面であまり悩みたくない」新しいライダーにとっても良いものであり、ショップにとってもCUES同士なら基本的な互換性が取れるので仕事がはかどる、ということなのかもしれないですね。そしてOEM市場をMicroshiftに奪われないようにする。素人目にはなかなかスマートなムーブに見えます。
Claris, Sora, Tiagra, Altus, Alivio, Tourney等々のコンポ群の存在は「百花繚乱」という感じの面白さがあり、なくなってしまうと寂しくなりますが(今後10年近く部品は流通し続けるような気はしますが)、CUESが存在感を高めつつブラッシュアップされていくのもまた楽しみなところですね。
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