みなさんの自転車には、どんなサイクルコンピュータが付いていますか? Garmin、POLAR、Pioneer、LEZYNE、bryton、CATEYEなどなど、いまや数えきれないくらいの選択肢があります。 サイクルコンピュータを付けていない、持っていない、という人も多いでしょう。
僕は現在WahooのELEMNT BOLTというコンピュータを使用しています。ペーター・サガンをはじめとするボーラ・ハンスグローエ所属のプロ選手も同じものを使っているようです。
が、自分の身の回りでもネットで調べてみてもWahooユーザーの少ないこと!
仕方ありません、情報の少ないものにはなかなか手が出ないのが自転車乗りの性。
そこで、僭越ながらこの場をお借りしてELEMNT BOLTの徹底レビューを書かせていただきます。
サイクルコンピュータをまだ持っていない人、自転車用GPSを探している人の一助になれば幸いです。
ELEMNT BOLTを選んだ動機
スピードセンサー要らないのでは?
僕がELEMNT BOLTを購入したのは昨年9月頃でしたが、それ以前に使用していたのはCATEYEのストラーダスリムというアナログワイヤレスのコンピュータ、同じくCATEYEのストラーダスマートというデジタルワイヤレスのコンピュータでした。
トレックのマドンに乗っていた頃、チェーンステーに内蔵されたセンサーを活かせるBluetooth式のコンピュータが使いたいという事でストラーダスマートを、その後マドンを友人に譲り、現在乗っているロードバイクに乗り換えてからはなるべくシンプルかつセンサーが小型なものを、という事でストラーダスリムを選びました。
そう、僕がサイクルコンピュータに求めていたのは「シンプルさ」。大きい画面もケイデンス計も、何ならスピードセンサーも要りません。流石にスピードセンサーが無ければ速度計測が出来ないので付けますが。
しかし!僕はある時に気付きました。
そうだ!GPS測位でスピードを測ってくれるならスピードセンサー要らないのでは?
そういう考えに至ったのが、GPS式コンピュータを買ったきっかけのひとつでした。
ハンドル上で現在地確認が出来たら・・・
もうひとつ。自転車で長距離を走るうえで、通った事のない道路をGoogleMapと紙の地図だけでチェックするのは正直いって不便極まりなかったのです。
スマホを取り出すことなく、ハンドル上で現在地確認が出来たら・・・。
昔は紙に書いたメモをステムに貼ったりしていましたが限度があります。
限られた予算で最良の選択
予算はおよそ3万円。GPS精度の絶対的な高さをとるならGarmin Edge520一択です。
しかし、メーカー出荷状態では単体で機能するマップが見られない事、メモリ容量が少ない事、また各種セットアップにPCが必須である事がネックとなり却下。
同じ理由でLEZYNEも諦め、Wahooを選びました。
Wahooのサイクルコンピュータは、各種設定にPCが要らない仕様となっています。
Wahoo ELEMNTシリーズのラインナップ
現在Wahooのサイクルコンピュータには、
- ELEMNT
- ELEMNT BOLT
- ELEMNT MINI
という3つのラインナップがあります。
ベーシックモデルのELEMNT(以下無印と呼称します)、端末サイズを1まわり小さくして専用台座を用意したELEMNT BOLT、GPS機能を省いたELEMNT MINI、といったところです。
ELEMNT MINIは、機能でいうとストラーダスマートと大差ないので候補落ち。
ELEMNT無印は、ものは良いのですが実物を見ると想像以上に大きく感じたので却下。
結果、ちょうど良い大きさのELEMNT BOLTを選ぶことになりました。
後ほど詳しく述べますが、どのモデルであってもセットアップにPCは一切使用せず、ELEMNT専用のスマートフォンアプリで行います。
RFLKTから受け継いだ設計思想
Wahooはかつて、RFLKTというサイクルコンピュータを作っていました。
RFLKTはそれ単体では特に何も出来る事がなく、常にスマートフォンと接続していなければいけない点が不評で普及しなかったのですが、ELEMNTの設計思想は基本的にRFLKT時代から変わっていません。
RFLKTはスマートフォンの拡張端末的な扱いだったのに対し、ELEMNTはスマホ側で設定さえしてしまえば単機で使用可能になった、というだけの事です。
これは勝手な推測ですが、WahooはRFLKTリリース時、スマートフォンのバッテリー性能が時を追うごとに上がっていくのに賭けたのかもしれません。
スマホのバッテリーが3~4日くらいもってくれるなら RFLKTの方式でも問題ないので。
画面はモノクロ液晶ディスプレイで、解像度はLEZYNEのMEGA XLなどに比べると荒め。カラーディスプレイとは異なり、日光が出ている状況下ではバックライトを消してもちゃんと視認できます。
使用上の小技として、マップ画面ないし情報表示画面から電源ボタンを短く1回押すとメニュー画面に飛びますが、コマンドは「バックライト調整」のところが最初に選択されるようになっているので、
電源ボタン短押し→中央のボタン短押し1ないし2回→電源ボタン短押し
という操作だけでバックライトのON/OFFが変更できます。
覚えておいて損はありません。
使い方
ペアリング
まずは、箱から出したELEMNT BOLT単体で何ができるのか書き出してみます。
- 走行ログを採る
- 速度や走行距離などの基本データの閲覧
- 過去ログの確認
- 本体上部の7連LEDライトの使い道を決める
- 実走するか、ローラー台上で使うかの選択
- バックライトのON/OFF/5秒だけ点灯
- センサー類の接続/解除
- デフォルトで用意されたKICKR用ワークアウト
- 言語・日付・時刻・タイムゾーンの設定
これだけです。工場出荷状態では日本の地図がインストールされていないので、マップ表示もできません。CATEYEやPioneerを買った事のある人は、まずは要る情報・要らない情報の取捨選択をすると思いますがそれすらできません。
スマートフォンとペアリングして初めて、ELEMNTは本来の機能を引きだしてやる事ができます。
使えるスマートフォンにも条件があって、Bluetooth SMARTに対応している事が必須です。Bluetooth 4.0およびそれ以前の規格では使えません。
電源を入れると画面にQRコードが現れます。スマートフォン側でも、ELEMNTアプリを起動するとカメラ撮影モードに移行するので、画面のQRコードを読み取ってください。
このとき、スマートフォンの設定でBluetoothをONにしておかないとちゃんと接続できないので要注意!
スマートフォンとの接続が完了すると、上のような画面が現れます。
出荷時点で英語設定だった場合、ペアリングと同時に言語が切り替わります。
日本のスマートフォンであればもちろん日本語に変換されますが、ELEMNTの日本語、どうにも翻訳がアヤシイので人によってはストレスフルかもしれません。
なので、使用言語をいっそのこと英語にしてしまうのが得策です。
本体左側面の電源ボタンを短押しするとメニュー画面が出てくるので、一番下の「システム情報」を開きます。
ELEMNTの固有IDとファームウェアのバージョンなどが表示されるこの画面、ここの更に一番下に「セットアップを実行する」という項目があるので、そこから変更できます。
「アップデートを確認」は、ELEMNTをスマートフォンを介する事無く直接Wi-fiに接続し、ファームウェアの最新版があるか確認してくれるものです。
ELEMNTを直接Wi-fiに繋ぐにはスマホ上からWi-fiルータのアドレスとパスコードを登録する必要があり、しかもソフトウェアの更新はスマホ側から操作できるので、はたしてこのモードに意味はあるのだろうか、と考えてしまいます。
しかし、実際のところ「新しいファームウェアが公開されているのに、スマホが知らせてくれないのでELEMNT単体でWi-fi接続し更新した」という事があったので、この機能はやはり覚えておいて損はありません。
僕自身、システム情報画面を久々に開いたおかげで、この文章を書きながら3カ月以上も前のファームウェアをダウンロードしているところなので(笑)。
iPhoneさん仕事して!
先ほども書いたように、デフォルトでは日本地図が入っていないのでスマホ経由でネットから地図をダウンロードしなければいけません。
上の画面、アプリの「設定」タブを開いた6段目にある「マップ管理」タブの先ですが既に日本語がアヤシイです・・・。
日本の道路情報は全部で約150MBありますが、そのままでは容量不足でダウンロードしてくれないので、不必要なマップデータを削除しなければいけません。
また、マップデータには道路の名前や地名も含まれていますが、まれに誤字脱字が見られるのでそれの修正の意味もあってかファームウェアとは別でアップデートが行われる事があります。
日本国内ではまだ見つけていませんが、北米のとある田舎町では道路の名前が一致していない箇所が1つだけありました。
ELEMNTは、本体からの操作で表示項目を切り替える機能をバッサリ切り捨てた事で、この端末サイズからは想像もつかない膨大な量の情報を表示し、なおかつ操作が煩雑にならないよう非常によく考えられています。
一例をあげると、現在の速度やケイデンス、心拍数、ワット数、気温、血中ヘモグロビン濃度、またそれらの平均値と最大値、走行距離、時計、標高、上り/下り累積標高、斜度、VAM(1時間あたりの平均獲得標高)、消費カロリー、バッテリー残量。
さらに電動コンポのギヤ表示、タイヤの空気圧、心拍数のゾーン管理、ペダリングパワー/トルクのゾーン管理、パワーウェイトレシオ、最近実装された機能としては、Pioneerのクランク用パワーセンサーに最適化されたペダリングトルクのベクトル表示などなど。
情報表示画面は、マップ画面以外に5ページまで。マップを非表示に設定すれば6ページまで増やす事が可能になります。
僕はというと、自転車競技に打ち込んでいるわけでも真剣にトレーニングをしているわけでもないので、パワーやケイデンスは採らず、以下のような表示にしています。
【マップ画面】
- 速度 km/h
- 現在時刻
【2ページ目】
- 速度 km/h
- 標高
- バッテリー残量
- 現在時刻
- 気温 ℃
2ページ目の内容はわりと変動的で、画面をすっきりさせたい時は下2つは消しますし、長距離のサイクリングに出掛ける際は走行距離や走行時間などを追加したりします。
ヒルクライムの時専用の、
- 走行距離
- ゴールまでの距離
- 走行時間
- 獲得標高
- 斜度
- 標高
- VAM
という速度を除外した画面も作っていますが普段は表示させないようにしてあります。
ページが増えると切り替えボタンを何度も押さないといけなくなるので、ある用途に特化させた画面は使う日の朝に追加して家に帰ったら切るようにします。
こういうセッティングがPC無しで気軽にサクッとできるのは、ELEMNTシリーズの大きなメリットですね。
機種によっては初っ端のペアリング作業に時間がかかる事もありますが、いちど登録してしまうとそれ以降の接続にはほとんど時間がかかりません。
スマホアプリを起動して2秒ほどでELEMNTを補足します。
自転車に取り付ける
ELEMNTの取り付けは、ステムないしハンドルバー上に載せるオーソドックスな台座と、ステム奥に突きだして取り付けられる「アウトフロント」と呼ばれる台座のいずれかで行います。
アウトフロント台座のほうが走行中の視線移動が少なくてすむうえ、ハンドルバー上にコンピュータが出っ張る事もありません。
ELEMNT無印とELEMNT BOLTにはアウトフロント台座が標準で付属していますが、これらは同じものではありません。
無印の台座は、Garminなどにもある一般的な形状のものですが、BOLTのほうは取り付けた状態で本体と台座の曲面がツライチになるように合わせて設計されています。
これによりどれ程の空気抵抗が減らせるのかは不明ですが、こちらの方がおしゃれです。
ですが、ELEMNT BOLTの専用台座がすごいのは、見た目などではありません。
ELEMNT BOLTの台座には小さなヘリサートコイルが埋め込まれていて、台座とELEMNT BOLTをボルトで(駄洒落ではなく)固定してしまう事で走行中の振動で本体が落っこちてしまうのを防いでくれます!
舗装路を普通に走っているくらいでサイクルコンピュータが吹っ飛ぶ事は あまりないですが、デコボコな峠道やグラベルを走行する場合はじゅうぶんあり得る話です。
この脱落防止ボルト、ELEMNT無印にもELEMNT MINIにも無い、BOLT特有のものです。盗難防止にも一役買ってくれそうなので、これだけでも買ってよかったと思っています。
上の画像は、その脱落防止ボルトを1.5mmヘックスレンチで締めているところです。
日帰りなら外す必要は無いですが、宿などで1泊以上する場合は外して充電する事もあるでしょう。そんな時は、1.5mmヘックスレンチを小銭入れに入れておくと便利です。
台座にネジが切られているのは、取り外しの際コンピュータからはボルトが抜けていて台座には掛かっている状態にしておけば、緩めたボルトを紛失してしまう心配がなくなるからです。
目安として、このボルトの頭が台座の底のツラからギリギリ出ないくらいまで緩めればELEMNT BOLTは外れます。
こんな便利な機能、なぜ無印やMINIには実装されていないのか考えたのですが、ボルトの紛失防止のために埋め込まれている(と思われる)ヘリサートコイル、台座側にそれなりの厚みを要求します(薄い台座にネジを切ってもすぐにボルトが抜け落ちるので、あんまり意味が無いだろうという事です)。
で、無印の台座を厚くすると、元々の端末サイズが大きい事と相まって台座+本体の重量が非常に重たくなってしまう事が考えられます。サイクルコンピュータもロードバイク用アクセサリーのひとつですから、軽さに訴えられないのはメーカーとしても痛手だと思うのです。
なので、この機能をELEMNT無印では切り捨て、元々そんなに重くないBOLTの台座のみに実装したのではないでしょうか。Wahooは、BOLTの台座形状についてエアロ効果がうんぬんと謳ってはいますが、実際のところは脱落防止ボルトが要求する厚みを確保した上でそのデザインに説得力を持たせるべく生みだされた産物だと邪推しています。
ELEMNTのアウトフロント台座ですが、クランプ径が31.8mmになっています。Dedaの31.7mm表記や31.75mm表記のバーなら問題ないですが26.0mmや25.4mm、35mmなどの規格となると取り付けができません。
その場合、ハンドルバー上に載せるノーマル台座にするかレックマウントを使うしかありません。頑張ってください。
ELEMNT BOLTの充電ポートは、本体の手前側面に設けてあります。アウトフロント台座を使用している際は、ステムが邪魔になるので画像のような普通のUSBケーブルはささりません。
L字になっているUSBケーブルがあれば問題ないかもしれませんが、ステムのクランプが厚かったりするとアウトです。ELEMNT無印では本体の底にあるので、ブルべなどで充電しながら走るのには無印のほうが適しています。
BOLTの専用台座が生んだ弊害のひとつです。
ログを採る
まずは、GPS式コンピュータの基本的な使途「GPSロガー」。
自分が通過した地点の軌跡を北緯/南緯と東経/西経の座標で連続的に記録、PCやスマホなどの端末に吸い出してマップ上に軌跡を重ね合わせる事で、自分が「どのような道を」「どれくらいの速度で」走っていたかが分かります。
走りだす前に、端末中央の「STARTボタン」を押します。
これを忘れると押すまでの記録は採ってくれないので(当たり前だ)、細心の注意を払いましょう。
筆者自身、それなりに走ったにも関わらず計測開始を忘れていた経験が1度や2度ではないくらいたくさんあります。
ELEMNT単機でログを採る場合(ケイデンスや心拍、ワット数などを測る外部センサーを一切用いないという意味です)、
走行ルートと走行距離以外に得られるデータは
- その時の速度、平均速度、最高速度
- その時の標高、上り/下りの累積標高、VAM
- その時の気温、最高気温、最低気温、平均気温
- 合計時間、アクティブ時間、休憩時間
- 走行開始時刻
以上です。
「アクティブ時間」というのは、僕がテキトーに呼んでいるのではなくELEMNTの画面上に表示されたものをそのまま書いただけで、要は
- 「合計時間」=計測開始から終了までの時間
- 「休憩時間」=停車していた時間の合計
- 「アクティブ時間」=合計時間-休憩時間、つまり走っていた時間の合計
です。
平均速度は走行距離÷アクティブ時間で算出されますが、走行距離÷合計時間に変更する事も可能です。
街中のストップ&ゴーをインターバルトレーニングの指標とするのなら、合計時間で割るのもアリです。
GPSの精度ですが、「自転車で走る限りは」及第点と言えます。
というのも、移動速度が(自転車で走るのが非現実的なレベルで)遅くなった場合、時間当たりの移動量が「これくらいならば計測上の誤差とみなして、動いていない判定をする」というELEMNTが決めた公差の範囲内に収まってしまうため、「動いていないはずなのに位置が変わっている」現象が起こってしまうのです。
これがGarminであれば、eTrexという登山に最適化されたGPSなども作っているので、徒歩レベルの移動速度であっても測定が狂う事はまず無いと思われます。ここが ひとつ、WahooがGarminに劣る点です。
上の画像は、時速6kmくらい(体感)でELEMNT BOLTを持って歩いた時のログですが最高時速18kmも出していません。
これはGPSが建物によって遮られたり、あるいは移動速度が遅すぎたが故にELEMNTのほうで出してしまった誤差という事になります。
実際の移動速度の3倍近い誤差が自転車での走行時に出る事はまずありません。
肝心の自転車でログを採った時の安定感ですが、例えば河川敷のサイクリングロードや京都⇔滋賀間の逢坂ルートでは測定誤差はほとんど生じません。
高い建物や樹木などの遮蔽物が少ない事と道幅が広い事が幸いしています。
これが、道路脇に森林が迫っているルートであれば常に3~4mの誤差を生じ、ビルやアーケードに阻まれる市街地では建物の壁をぶち破りながら走っている事にされます。
が、いずれの場合でも軌跡がジグザグになってしまうような、誤差どころではない荒ぶり方をしたためしはありません。
それなり以上にシビアなロギングを要求する人を満足させるには至りませんが、日々の街乗りやポタリング、サイクリングの記録を見返してどんなコースを走ったのか振り返る、またはログをStravaにアップロードしてランキングに挑戦する程度の用途であれば全く不自由しません。
また僕はある時期、ほぼ毎日同じ時間帯に同じ道路をほぼ同じ速度で走っていた事があったのですがある建物の前で必ず大きな誤差が出ます。
逆に、誤差がほぼ出ない区間では何度走っても誤差が出ないので、GPSの安定感もなかなかのものです。
ELEMNTは温度計を内蔵しているので、気温も採ってくれます。
体感温度というのは身体が受ける風の強弱によってある程度は上下しますが、実際の体感温度を、風を受ける事で実測値として出してくれる!という機能は残念ながらELEMNTにはありません。
どうやら温度計には風は当たらないらしく、普通に外気温が出るだけです。
「リンケの式」で概算する方が早いかもしれません。
気圧計も内蔵されていて、これで標高を計算します。
GPSは、あくまでも地図という平面上(実際は球面ですが ツッコミ無しでお願いします)での縦と横の座標を計測するだけのものなので、標高はGPS情報とは別で測らなければなりません。
例えば、国土地理院が作成している日本各地の標高データは一般公開されていますが、京都市だけしかカバーできないものであってもそのデータ量はなんと163MBに達します。
これを日本全国の分、この小さな端末にインストールするのは不可能ですよね。
なので、気圧というある程度は信用できる情報から間接的に測るしかないのです。
しかし、可能性としてはあまり高くはないものの走っている最中に天候が急激に悪くなったりした場合、同じ標高でも気圧が下がるので獲得標高に狂いが生じる可能性がありますよね。
そこで、「Ride with GPS」というWebサービスが役に立ちます。
Ride with GPSにログを送る
Ride with GPSはその名の通り自転車のGPSに関わるサービスを提供するサイトで、アメリカ・オレゴン州のソフトウェア会社が立ち上げたものです。
主な機能としては、
- 走行ルートの作成、保存
- 走行ログの管理、閲覧
- セグメントへの参加
などです。
Ride with GPSは日本語に対応していないのですが、その影響もあってか日本国内でセグメントに参加している人数、セグメントの総数共にStravaなどに比べればずっと少ないです。
僕はStravaのアカウントも持っていますしそちらにもログのアップロードをしたりしますが、Ride with GPSのほうが何かと使い勝手が良いので最近は専らRide with GPSを使っています。
↑Ride with GPSのホーム画面です。
自宅の位置がばれるので、一部を隠しております。
後ほど書きますが、ELEMNTシリーズはルートラボに対応していないので、Ride with GPSでルートを作成する必要があります。
が、日々の走行ログを管理する上でもRide with GPSが非常に有用になってくるのです。
上の画像はELEMNTアプリのプロフィール欄で、この画面を下まで引き下げていくとFTPの入力、パワーと心拍数のゾーン編集ができるのですが、ここでは「リンク済みアカウント」のところを見てください。
StravaやRide with GPSのアカウントを予め持っておくと、ここからWahooと各Webサービスとの連携が可能になります。
これをすると、サイクルコンピュータからアプリに吸い上げた走行ログを連携させておいたWebサービスに自動で転送してくれるのです。
これが非常に助かる。
何が助かるのかというと、ELEMNTのアプリはログ一覧の作りがイマイチで、
「過去に自分は どれくらいの距離を走ったのか」
「2019年に入ってから何km走ったのか」
「2018年は どうだったか」
「この年の 特定の月は何kmだったか」
という細かな振り返りが一切できないのです。
全てのログを1週間の区切りで仕切ってある上、土曜日を週末、日曜日を週初めとして扱っているので、仮に土曜日から日曜日にかけての1泊2日のライドを組んだ場合1日目と2日目は違う週のライドとして分け隔てられてしまう事になります。
鬱陶しいですね。
Ride with GPSでも土日の区切りがWahooと一緒、という点に関してはイマイチですが、ホーム画面からログを遡るという機能に関して言うとWahooやStravaに比べてUIが優れており(慣れの問題もあるかもしれませんが)扱いやすいから、というのがRide with GPSでログ管理をしている理由です。
先ほど、天候の変化による獲得標高の狂いについて書きました。
ELEMNT自体は(コンピュータ・アプリの双方で)標高データを有していないためにそういう問題が起こり得る訳ですが、Ride with GPSはELEMNTから送られてくる標高データを基本的には信用していません。
基本的に、と書いたのは例外があるからです。後述します。
Ride with GPSは、ソースは不明ですが地図に重ね合わせて使用する標高のデータを持っています。
まずはELEMNT由来の走行軌跡を標高データ付きのマップに重ね、ELEMNTが記録した標高は一旦無視した上で走った箇所の標高を独自に出す、という方法を採っています。
このような回りくどいやり方にする理由ですが、もちろん気圧による標高計測のズレを修正するためです。
ですので、ELEMNT BOLTで採った同一のログをELEMNTアプリ上で見た時とRide with GPS上で見た時で獲得標高が違う事はよくあります。
獲得標高の計算の根拠がより確からしいのはRide with GPSなので、獲得標高の記録を振り返る時は Ride with GPSを使うのがベターです。
Ride with GPSにログを保存する際、気をつけなければいけない点がひとつあります。
デフォルトの状態では、投稿したログが全て一般公開されるように設定されている、という罠が潜んでいます。
自宅を出発してから帰宅するまでのログを繰り返し投稿してしまうのは、Web上の見知らぬ人間に自宅の住所をバラまくような行為ですので避けたほうがいいです。
スマホアプリ版のRide with GPSで説明しますと、ホーム画面の左上に「三」みたいなメニュータブがあるので、そこから「Settings」→「Account Settings」→「Default Ride Privacy」の順に開きます。
ここが「Public」になっていると、ELEMNTから転送されたログが問答無用で一般公開されます。怖すぎです。
「Private」にしておけば、それ以降の全てのログは自分自身にしか見えないように隠されます。
個人情報の暴露に値しない(公開しても構わない)ログに関しては、後から個別にPublicへ変更するのが良いでしょう。
スピードセンサーを有効活用しよう
より高精度なログが欲しいなら、スピードセンサーが必須です。
マンションなどにお住まいの方は覚えがあるかもしれませんが、GPS式コンピュータのロギングを自動で一時停止させる設定にしていて、玄関をくぐったらログが停まる事があります。
これは、コンピュータの現在位置が衛星から測位できない位置に入ってしまった時、移動速度などが計算出来ない以上「GPS的には停車した扱い」にせざるを得ないからですが、これでいちばん困るのがトンネル内でのGPSの振る舞いです。
トンネルの中も当然ながらGPS測位の範囲外になってしまうため、
トンネルに入ったと同時に「停車」とみなされ、計測が中断されます。
出口に辿り着いた瞬間に測位が再開され、現在位置を補足してその間を補完した結果中で曲がっているはずのトンネルの入口と出口を直線で結んでしまう上、入口から出口まで瞬間移動した事になるので「最高時速24km、平均時速81km」というとんでもない計測が為されてしまいます。
この誤りの計測を、スピードセンサーを用いる事で補正してあげる事ができます。
↑同じトンネルに、同じ方向からスピードセンサー有りで進入した際のログです。
GPS的に不動であったとしても、スピードセンサーが走行を感知している限りはロギングを中断する事が許されません。
現に、速度のところが「最高時速30km、平均時速24km」となっています。
加えて、スピードセンサー無しの際にはトンネルの入口で46秒間たたずんでいる事にされていたところスピードセンサーを使うとそれが「MovingTime:1分25秒 StoppedTime:1秒」に補正されています。
この検証をしたところは、全長600m足らずの細くて短いトンネルだったのでここで誤計測がおきたところでワークアウト全体から見た誤差は小さなものかもしれませんがこれが全長1kmオーバーともなってくると誤差はこんなものでは済みません。
また、これはトンネルに限った事でもなくて高架の下やビル街、木々の生い茂る峠道などGPSの誤差が出やすい、または一時的に電波が遮断されるような環境すべてに言える事です。
僕は GarminやLEZYNEを使った事が一度もないのですが、少なくともWahooはGPS測位の結果割り出された移動速度や距離よりもスピードセンサーで計測した結果の方がログへ反映させる情報としての優先順位が遥かに高いので、タイヤ周長の入力をしくじると(当たり前ですが)速度や距離もズレます。
例えば、CATEYEの説明書には「700×23Cのタイヤは約2,096mm」などと書かれていますがGP4000SⅡの周長は2,124mmあるのでこの文言を信じて入力すると100km走るごとに1.3kmのズレを生じます。
また、****さんの検証によるとホイールとの組み合わせによっては同じ銘柄のタイヤであっても周長に差が出る事も多いようなので、タイヤ周長は必ず実測してください。
前項で触れた、「Ride with GPSはELEMNTの自己申告による標高データを信用していないが 例外がある」のくだりですが、スピードセンサー無しでトンネルに進入して、通過している間ずっと停車している判定が下されている場合、入口から出口までの標高データは記録されません。
600mを一瞬で跳んだ扱いになっているので当然といえば当然なのですが、この現象もスピードセンサーを使う事で回避できます。
先ほどのRide with GPSのスクリーンショット、画面下段に標高変動グラフが載っているのですがスピードセンサー無しの方は入口の時点でスパッと切れてしまっているのがセンサー有りの方は記録を継続してくれています。
この場合、入口と出口の間には軌跡が存在せず地図上にプロットされた標高データが使えないので、ELEMNTの記録した標高データをそのまま反映させます。
Garminが普及させた、ハブ胴に巻くタイプの加速度センサー式スピードセンサーですが現在はWahooとbrytonが採用しています。
スポークマグネットが不要になるのでセッティングが手軽な反面マグネット式に比べてスロースターターなのは否めません。(これはGarminのセンサーも同様ですね)
静止状態からの発進と停車時の速度の反映にタイムラグがあるように感じます。
そこが気になる人は、CATEYEのBluetooth対応センサーを使うのが良いでしょう。
ジャイアントやトレックのロードフレームであれば、チェーンステーにセンサーが内蔵されているものもあるのでスピードセンサーをわざわざ買う必要はありません。
Wahooのスピードセンサーは、700Cないし28インチ径の場合計測可能な最低速度は4.0km/h、車輪の回転数に換算すると毎秒0.52回転となります。
これを下回る速度は感知できず、ELEMNTの画面上でもゼロ表示されます。
また、停車に合わせてタイム計測を一時停止する設定にしている場合4.8km/hを下回った瞬間に一時停止扱いになります。
時速4kmでロードバイクを操縦するのはほぼ不可能だと思われますので、まあ問題は無いでしょう。
ルート作成
ELEMNTは、事前に用意しておいた走行ルートをダウンロードしておく事で走りながらのナビゲーションを行う事が可能です。
サイクルコンピュータのルート構築用Webサービスとしては、Yahoo!JAPANの「ルートラボ」がよく知られていますが、ELEMNT BOLTはルートラボ非対応です。
誤解のないよう言っておくと、ルートラボで作ったルートをELEMNTに取り込んでマップ画面に表示させる事だけは可能です。
しかし、肝心の「○○m先の××交差点を右(左)折」といったナビゲーションをほとんどしてくれないのです(道によってはしてくれる事もある)。
GPS性能について、Garminと遜色ないと言い張るWebサイトも多いですがこれに関しては明確にGarmin Edgeに劣っていると言えるでしょう。
そもそもルートラボは海外の道路にはほぼほぼ対応していないので(経験済み)、仕方ないと言えば仕方ないんですけどね・・・。
Garminであれば、ソフトウェアなどを日本仕様に改良した Edge○○○J というモデルが用意されていますので、全世界共通仕様のELEMNTシリーズの苦しいところです。
ではどうするのかというと、再びRide with GPSの出番です。
ELEMNTシリーズのナビ機能は、全てRide with GPSに準拠して作られているので基本的にはRide with GPS上で作成したルートしか受け付けません。
ELEMNTアプリはGPXファイルには対応していますが、どういう理屈なのかは不明ですがそのファイルの出所によってナビをしてくれるか否かが変わってくるというちょっとメンドクサイ奴なのです。
さらに、Ride with GPSは標準の状態ではGPXファイルに対応しておらず、欲しいルートは手作業でポチポチ打っていかなくてはいけません。
画面右側のバーにある「Follow Roads」をオンにしておけば、点と点の間の補完を大きな道路から優先して行ってくれるので(1,000kmとかにでもならない限りは)実際は大した手間もないのですが。
ブルベに使う場合、キューシートと走行ルートの照らし合わせ(イメージトレーニング)の意味も兼ねるので、これが一概に悪い事という訳でもありません。
お試しとして、僕がたまに走りに行く峠(比叡山の山中越 京都側)のルートを作りました。
叡電出町柳駅を出発し、比叡山ドライブウェイの料金所がゴールのヒルクライムコースです。
気になるのが、途中の集落のところ。
テキトーに引いた結果府道30号線を走る様に誘導されましたが僕は南側の細い道を走りたいのです(車通りが非常に少ないので)。
が、この迂回ルート、Ride with GPSの「道路の定義」に反しているのか何なのか、そのままではルートを引く事ができません。
一方通行の道路を逆走している場合でも同様の事が起こりますが、その場合は一方通行に逆らわない方向でルートを引けば普通に通れます。
この道は、西からと東から、どちらからもルートを引きいれる事ができませんでした。
仕方がないので、右側のメニューから「Draw Lines」を選びます。
要は、Follow Roadsでは通れない道に無理やり直線を引いてルートにしてしまおう!というモードです。
変更しました。
Draw Linesで引いた線は緑色にしています。なかなかめんどくさい。
同じ作業をルートラボで行ったところ、迂回路のほうもちゃんと道路として登録されていたためマウスを4回クリックするだけで全く同じルートが完成しました。
日本国内に限って言えば、ルートラボの方が使い勝手が良いんですね。
海外では全く使いものにならない、という点も考えるならRide with GPSの方が優れているのですが。
作成したルートは、画面左側の「Save」タブで保存します。
ルート名はちゃんと書いておかないと混乱します。
また、ここに書いたルート名が後ほどELEMNTの画面上にそのまま表示されます。
大事なのは下から2つ目。公開/非公開の選択をします。
例として自宅から勤務先までの通勤コースをこれで作成する場合、「Just me, it’s private」にしておかないとインターネット上に自宅の住所と勤務先の情報を公開する事になります。
ログの保存設定と同じ事ですね。
今回は、特に自宅の位置が割れるようなルートにはなっていないので「Anyone, it’s Public」としておきます。
いちばん下の「Record this as a trip?」は原則「No」です。
「Save as a new」をクリックすれば、PC側での作業は終了です。
ELEMNTアプリを開き、「設定」タブから「Wi-fiネットワーク」を選択。
ELEMNT BOLTを、スマホアプリを介さず直接ネットワークに繋げます。
スマホをWi-fiに接続するのと手順は同じです。右のような画面が出たら成功です。
ELEMNT BOLT本体に移ります。
マップないし情報の表示画面からルートボタンを押してください。
下図の①の画面が現れます。
選択タブを画面の上端に持っていき、SYNC(同期)ボタンを押すと…
このように画面が切り替わっていき、④で同期完了です。
SYNCボタンを押してからの所要時間、わずかに30秒。
もちろん、もっと長いルートならもっと時間もかかるでしょう。
しかし、いちど設定さえ済ませてしまえば、2回目以降のルート保存はスマホさえ不要になってしまいます。
ナビゲーション
ELEMNT BOLTにルートを取り込んだら、マップ上にルート案内のラインを表示させてみましょう。
ルートタブを押し、使いたいルートを選択します。
黒いくさびの点線がルート指示のラインです。
走った軌跡は黒い太線で表示されるので、見間違う事もありません。
表示されるのは、右左折するポイントまでの距離、曲がる方向、曲がった先の道路の名前。
ルート作成の段階で、どこでナビゲーションを出すかなどの設定を行う事はなく、全てELEMNT自身の判断で案内してくれます。
ELEMNTのマップデータには、世界各国の道路情報と道路の名前も含まれ、名前が登録されている道を右折または左折する際、画面に道路の名前まで表示して案内してくれます。
京都市の上京~下京にかけては、ほぼ全ての道路に名前が付けられているのでこのように道路名つきでポップアップが出ます。
他社製のGPS式コンピュータには無い、ELEMNT BOLT特有の機能として画面の上に並んだ7連LED(ELEMNTの場合は5連)が曲がる方向に向かって流れるように明滅していく、というものがあります。
快晴の真っ昼間であれば別に要らないかもしれませんが、夜間走行時や昼間だけれども日陰に入ってしまってバックライトが消えているので画面が見えにくい、といったシチュエーションでは助かります。
ELEMNT BOLTをナビとして使っていて、すごいなと思うのは「いま自分が、ルート指定した道路上に居るか否か」の判定が非常に上手いという点です。
以前、大阪市のとある道路をELEMNTのルート案内に従って走っていた時のこと。
河川敷の護岸工事か何かで通れなくなっていて、5~6mほど脇に逸れた迂回路を走る様に警備員さんから指示されました。
ELEMNTは当然ながら迂回路の存在を知らないので、ふさがれている方の道を案内し続ける訳ですがたった5~6m横を平行に通っている道に入っただけで ルートを外れたとアラートが鳴りました。
ちょっと前のカーナビなどでよくあった、「少し外れただけだからルート通りに走っている事にしておこう」的なバイアスが働く事もありません。
話は変わって、京都市の烏丸通という道路を毎日のように走っていた時のこと。
丸太町駅のちょっと南のところに京都新聞の本社ビルがあり、その周辺だけビルの階層が高い事もあってか毎回ではないものの走行ログが京都新聞社に突っ込みます。
その時のログを抜粋しました。
北向き(画面上方向)に走っていたので、実際は道路の左側を通るはずがログではガッツリ右側を通っているうえ不死身の身体でビルの壁をブチ抜いている事になっています。
烏丸通の道幅は約16mあるのですが、という事は少なめに見積もってもGPSが20m前後の測定誤差を(ビルに遮られたことによって)出している、という事になります。
にも関わらず、烏丸通を通るルートを表示させながらここを北向きに走っていて「ルートを外れました」と鳴らされた経験は一回たりとも無いのです。
前者の例では、10mも外れていないのにルートを外れている事がELEMNT側にばれ、後者では16mの誤差を出しても道路上に留まっていると認識してくれたのです。
僕は電子工学とか測量技術に関する知識が疎いのでどういうエビデンスでこれを計算しているのかは分かりませんが、道幅によって判定のきつさが変わるのか、または何らかの遮蔽物による誤差であると見抜けるのか。
恐らく前者だと思うのですが。
ずれた軌跡を修正するのは難しくとも、そのずれの「中身」を判断する機能が優れている、という事なのでしょう。多分。
ELEMNTには、ルートを外れた際にリルートを行う機能はありません。
しつこく書いてきましたが、ELEMNTは Ride with GPSで作成したルートを一つの完成したデータとして受信・表示するだけですのでその内容をELEMNT自体が分析・修正する機能は持ち合わせておらず、ルートから外れた時に「外れたよ!」とお知らせしてくれる以上の事はしてもらえません。
ELEMNTのスマホアプリに、ダウンロードした、または作成したルートを保存するところがあるのですが、ここからアプリ内でルート生成を行う事は一応、可能です。
しかし、GoogleMapでもやらないようなとんでもない道程(街中の移動でも細い細い路地を縫うように通らされる)しか提示してこないので信用なりません。
加えて、「履歴から作成」という、過去の走行ログをそのままナビゲーション用ルートに転用するモードがあるのですが、履歴から生成したルートはあくまでも道程を示してくれるだけで、曲がり角でのナビゲーションを一切してくれないので、基本的に使う事は無いでしょう。
簡易キューシート
本体に保存したルートをマップ画面に呼び出した状態で、マップ画面からルートボタンを押すと
キューシートが表れます。
ELEMNT BOLTは画面が小さいので、紙のキューシートの代用になるとは到底思えません。
ELEMNT無印であれば、画面が大きいぶん3段表示になるので視認性が若干よくなります。
このキューシート、Ride with GPSで感知した右左折ポイントを全行程ぶん並べたものなのでルート案内を使っていてもキューシートの段数分だけナビゲーションがポップアップ表示されます。
休憩中に閲覧して、次に入る道路が何km先にあるのか、右左折の頻度が今後どれくらいなのか再確認するくらいには役立つでしょう。
ルートラボ由来のGPXファイルだと、ナビ機能が使えないと先ほど書きましたがその場合はキューシートも白紙になり、「目的地まで○○km」と寂しく表示されるだけです。
まとめ
ELEMNT BOLTですが、日本国内での販売価格は税別定価32,000円と新興メーカーのGPS機器としてはかなり挑戦的な価格設定になっています。
Garmin Edge 520Jが定価36,000円である事を考えると、ELEMNT BOLTはGarminキラーとしての立場を本気で狙っているように感じるのです。
実際に使ってみても、特殊な設定なしで日本地図を閲覧可能な点、機能的にも優れるBOLT専用台座、ルート作成以外の全てをスマホで完結させられる簡便さ、などなどGarminに勝っているポイントも多いです。
もちろん、リルート機能やGPS精度などに関してはGarminに一日の長があるように感じますし、さすがは最大手メーカーだと認める点でもあります。
ですが、少なくとも自分のような一般ユーザー視点で長期的に使用してみて、致命的に使いづらい所、どうしようもない欠陥、メーカーサポートへの不満などはありませんでした(少なくとも今回ご紹介した機能に関しては)。
Ride with GPSとの連携や各種の細かな設定など、やるべき事は少なくないものの、初めてのサイクルコンピュータとして、または古くなったGPSの買い替え候補として、ELEMNT BOLTは自信をもってすすめられます。
ELEMNT BOLTには、本体と専用台座のみのパックとスピードセンサー、ケイデンス計、心拍計がセットになったものがあり、後者のほうが7,000円くらいおトクです。
僕はケイデンス計が要らなかったので、本体・スピードセンサー・心拍計をバラで購入しました。そういう買い方もありますし、ローラー台で使いたい方はケイデンス計があったほうがトレーニングの幅が広がります。
そうそう、ELEMNTは同社のKICKRシリーズでのトレーニングにも活用する事ができますよ。
心拍計とELEMNT BOLTを用いた、より効率的なトレーニング方法について触れようかと思うのですが、長くなったので これにて締めさせてもらいます。
読んでいただきありがとうございました。
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