三原山の山頂口まで自転車で登りました。その模様は伊豆大島・三原山でヒルクライムを楽しむという記事で紹介していますが、その後に「山頂遊歩道」経由で火口まわりを歩いてきたので、その様子をお伝えしたいと思います。サイクリングに加えてちょっとした山歩きも楽しんでみたい、という方は是非お読みいただければ幸いです。
距離・所要時間
三原山頂口から火口までは約2.2km。現地の案内板では所要時間45分とありましたが、これは後半の坂がきついためでしょう。火口を一周するコースは約2.5kmで、これも45分とされていますが、いずれも急げば30分程度で歩けると思います(現地ではどちらも30分という記述も見かけました)。
上の地図の青い点で結ばれている道が山頂遊歩道。山頂口から遊歩道経由で火口を回って戻ってくるには、1時間半は見ておいたほうが良いでしょう。
お時間のある方は2時間ほど見たほうが良いと思います。気持ちに余裕があったほうが楽しめます。
山頂遊歩道
三原山頂口の「歌乃茶屋」を過ぎて左に入ると「御神火茶屋」という喫茶店があり、その先から山頂遊歩道に出られます。これは舗装されたきれいな道で、山頂の三原神社や火口展望台までなら普通の靴でも歩いて行くことができます。なお、車両の通行は禁止されています。当然、自転車も入ることはできません。
山頂目指して歩いていきます。2.2kmとは思えないほど遠くに見えます。ほ、本当にあんなところまで歩いていくのか… 回りに何もないせいで遠近法がおかしくなっているのか、とても2.2kmには思えないですよね。あの上まで30〜45分で行けるの!?
程よいアップダウンのある道ですが、前半は平らな道が多いです。しかし火口の手前で急激な坂が次々と現れ、携帯したGPSでは斜度19%台が表示されました。運動に慣れていない方であれば結構きついかもしれません。
でもなんとかなるものです。振り返ると山頂口があっというまにこんな小ささに!(下の写真中央の白い建物があるあたりです)。
三原神社
山頂では三原神社がお出迎えです。これは、最近では1986年の大噴火でもなぜか被災しなかったこともあり、パワースポットとして有名らしいです。手を合わせ、世界人類の平和を祈ります。個人的なことですが、私は神社では個人的な幸せについて祈りません(もっと正確に言うと何も考えずに手を合わせます)。
祈りというのは実利的な何かを目指すことではなく、単に精神をチューニングすることだと思っています(私にとっては、の話です)。
1986年の三原山の噴火では、東京電力本社の火力発電所の職員3人と町助役の秋田壽氏を除く「全島民および観光客、1万226人(Wikipediaによる)」が避難したそうです。今から33年前にそうした規模の大きい災害がまさにこの地であったのです。
火口一周コース
神社を過ぎると左側に火口一周コース(非舗装路)があります。右側に行くと舗装路のまま火口を見学できる展望台もあるようですが、せっかくなので石と砂と岩に覆われた周回コースに出てみます。
ここからはトレッキングシューズでないと難しいでしょう。私はSIDI SD15というオフロード対応SPDシューズなので問題ありません。
歩きはじめてすぐ、左手側の遠くに「裏砂漠」が見えます。前日にあの一部を自転車で走りました。
こんなふうに湯気が出ています。でも硫黄の臭いなどはしません。
ふたたび裏砂漠方面を眺めます。すごい。伊豆大島すごい。なんか火星みたいだ…
台風の影響でしようか、杭がところどころで折れて倒れています。こんなところで怪我をした場合はどうするんだろう、と思い、スマホを取り出してみたら4Gのアンテナが全部立ってました。通信できるかどうかは試していませんが、各キャリアのアンテナがあるようです(私はauですがdocomo等も繋がるようです)。これもすごい。
これはアシタバでしょうか。前の晩に天ぷらで食べたのですが、これはほんと美味かったー。こんなところでも育っているのがすごいですね。ハチやハナムグリのような昆虫も群がっています。
道には大小様々なサイズの石が転がっていて、歩きやすいところもあれば、足元を見ないと危ないような箇所もあります。砂利が細かいところでは滑って歩けないので、そういう場合は横道にそれたり、ルートを読む必要があります。ハイヒールで来る人はいないと思いますが(注意書きがあったので過去に挑戦した人がいたのでしょう)、スニーカーでも難しい道です。
来た道を振り返ります。本当に変わりやすい天気で、快晴かと思えば次の瞬間は真っ暗になったりします。
東側の裏砂漠の終わりあたりでしょうか。
もう少し登っていくと火口がよく見えるはずです。いい雰囲気の道! 観察していると、この道をつくるのは並大抵の努力ではなかったように思えます。行政の尽力に敬服しました。
手前のススキがきれいです。
あんまりきれいなので本格的にススキの写真を撮ろうとしましたが、この頃から風が強くなりはじめ、穂が動きまくってうまく撮れません。サイクルキャップも吹き飛ばされそうな勢いです。ここは強風で有名らしいです。
うっすらと海に浮かぶ利島のシルエット。その奥は新島でしょうか。いや〜、あっちも行ってみたいね!!
さて、いよいよ火口です。正式名称は「三原山山頂中央火孔」といいます。
寄ります。うお、いろいろとヤバい。ここからマグマが吹き出していたことがあるのか…
三原山山頂の中央火孔は、直径300〜350メートル、深さ200メートルのお椀のような形をしています。1986年の噴火の時には、火孔の中は溶岩で一杯になりましたが、1年後の噴火でへこんで、このような形になりました。
火孔の底と壁との境目からは白い噴気が出ています。これは、ほとんどが水蒸気で、有毒な火山ガスは観測されていません。
火孔の壁には、過去の噴火の溶岩や噴石が何重にもかさなっているのが見えます。赤茶色の部分は、高温の溶岩が空気にふれて酸化したところです。
火孔の一番上の部分は、1986年の噴火のときの溶岩です。溶岩が冷えて固まるときにひび割れて、たくさんの柱が並んでいるように見えます。
(現地の看板より)
道の終わりにはふたたびアシタバがところどころに。これはアオハナムグリでしょうか。こんなところでも生き物がいるのを見ると、不思議と癒やされますね。
下山してきました。急坂なので下るのも楽ではありませんが、帰りは行きよりも早いです。登山口からふたたび三原山を振り返ります。自転車でここまで登ってきた頃は雲が多かったのですが、この時はいい感じに晴れてくれました。疲れていたけれど、やっぱり火口まで足を運んで大正解でした!
その後は時間もないので粛々と三原山登山道路を下り、元町港近くの中華料理店で食事。ジェット船の出発まで、名残惜しい気持ちで海を眺めます。
三原山はヒルクライムだけではもったいない!
先にも書きましたが、三原山にヒルクライムに行く場合はこの「お鉢めぐり」も含めてみてはどうでしょうか。あれを見ないのはもったいないなと思いました(観光に興味がない人もいると思うので無理強いはしませんけど!)。
ただしロードバイクの場合、SPD-SL系シューズでは舗装されていない火口まわりの道は絶対に歩けません。山歩きも楽しみたい場合はSLでないSPD系シューズが良いと思います。
火口付近で捻挫なんかしたら簡単には帰ってこられないと思うので、サイクリング以外のアクティビティも楽しみたい方はシューズの選択を一考したほうが良いでしょう。