グリーン車を使えば「特大荷物スペース付き座席」のルール施行後も、快適に新幹線輪行できるかな?

東海道・山陽・九州新幹線を使った輪行に、終末の笛をかき鳴らす恐怖の大王「特大荷物スペース付き座席」の制度。その規定にしれっと紛れ込んでいた輪行サイクリストを狙い撃ちするかのような「自席の後ろ最優先ルール(勝手に命名)」が適用されてしまうと、大手を振って輪行袋で占有できるのは「自席の後ろ」だけに限られます(悪い方に解釈しまくった場合)。

新幹線の特大荷物スペース付き座席

そしてこの「自席の後ろ最優先ルール(勝手に命名)」が適用されるのは、特大荷物スペースが設定されていない指定席、そして自由席までが含まれます。そうなると、もうそれを回避する術はありません。

明確なルールが適用されていない今ですら「自分の席の後ろのスペースにハミ出す荷物を勝手に置くな!自転車乗りはマナーが悪い!」とか公言しちゃってはばからない人がいる状況。

東海道・山陽・九州新幹線での輪行をめぐる状況は、このルールによって悪化しこそすれ好転することはないでしょう。

無用なトラブルを避けるための自己防衛策としては、占有可能なスペースである「49cm×52cm」という面積の中に輪行荷物を収めるしかありませんが、難しそうです。かなり。

そんな状況の打開策を見つけるべく、いろいろトライ&エラーを重ねてみた結果をご報告いたします。

普通車両では絶対無理。

まずは縦置き輪行袋の定番、SL-100に納めてサイズを測って…と思いましたが、そもそも700cのホイールは、斜めに置いたところで「49cm×52cm」のスペース内には収まりません。

しかも車体の横幅分が追加されてしまうので、斜めにしたところで盛大にはみ出します。巨大トランクとの共存は譲り合っても難しそうです。

オーストリッチのサイトに書いてあった収納サイズをもとに適当にシミュレーションしてみても、はみ出しまくってお話になりません。フレームとホイールを2つ折りにでもしない限り、どうやっても収まる可能性はゼロ。

▼特大荷物スペースつき座席の自席分(緑のエリア)に、輪行袋に入れたロードバイクは収まりそうにありません。

オーストリッチSL-100を使ったシミュレーション

もはや縦置きとか、横置き以前の問題。ホイールサイズ700cの自転車では、自席後ろスペースの占有トラブルリスクなく輪行すること自体が、ぼっちには無理ゲー。こんな結論が、揺るぎないものになってしまいました。

おしまい。

無理を通すのは、大人の解決策。

大人が揉め事を手っ取り早く解決したいと思ったら、方法はひとつしかありません。相手の頬を、引っ叩いてやるだけですよ。札束で。

金は、命より重い…。

じゃあ個人が巨大な鉄道会社であるJR東海の頬を、札束で引っ叩くにはどうすればいいでしょうか?

2枚の切符を、1人で使う作戦はどう?

荷物スペースは、自席後部の使用が優先。それなら「1人で2座席分のチケットを買う」という作戦でクリアできないでしょうか。2枚のチケットを買っているのですから、2人分の荷物スペースを使っても文句は言われないはずです。

だがしかし、そんな素人考えは先手を売って塞がれていました。

旅客営業規則第147条第5項:同一旅客は、同一区間に対して有効な2枚以上の同種の乗車券類を所持する場合は、当該乗車については、その1枚のみを使用することができる。同一旅客が、同一区間に対し有効な2枚以上の指定券を所持する場合についてまた同じ。

ダメじゃん!!!!!

「1台」を「1人」にして、147条を回避せよ!

「2倍の運賃を払う」これだけの犠牲を払う焦土作戦も、まったく使えない。もう、諦めるしかないのか…。

そんなとき…Twitterから降りてきた…天啓が…!!!

@CptBuchi さんのこの案には、思わず膝を打ちました。つまり「自転車にAIを搭載して人格を持たせ、1人の乗客として扱わせる」ということですよね。

我々にとって、自転車は大切な相棒です。座席に座らせて、何を悪いことがあるでしょうか!

それに搭載するAIが来栖川エレクトロニクス製なら、「ただのきれいな水」の供給機能まで付加できるでしょう。夢が広がりまくります。君に届け、テレパシー!

さっそくAI搭載輪行袋の乗車イメージを、Photoshopによる雑な合成で作成してみました。

▼胸の中の鼓動が聞こえる。

AI搭載輪行袋の乗車イメージ

我々には大切な相棒でも、一般人にはやっぱりただの巨大な荷物にしか見えません。AIを搭載しているとはいえ、自転車を1人の乗客として扱うことの倫理的な判断の確立には、かなりの時間がかかってしまうでしょう。

それだけではありません。隣の席に座らせた輪行袋入りの自転車(の姿をしたAI搭載メイドロボット)とニコニコ会話したりしてたら、輪行警察どころか心療内科方面のお医者様を呼ばれてしまう可能性すら否定できません。

やはり自転車を「夢見るロボット」に改造しなくても、JR東海の頬を札束で引っぱたける別の方法を探さないといけないでしょう。

ハイクを詠むがいい…!

2人と1台で行けば、完璧…!?

2台分の座席後部スペースを占有したい。でも1人で2枚のチケットを使うことも、1人と1台で2枚のチケットを使うこともできませんでした。

そうなったら、「2枚のチケットを2人で使う」ほかありません。

ライドに一緒に出かける友達がいない(哀れみの視線で見るの勘弁してください!)、それなら嫁様に同行をお願いして、輪行先の駅まで一緒に乗車すればいいのですよ。

帰りも時間を決めて待ち合わせして、一緒の列車で2つの席を特大荷物スペース付きで予約する。これなら一切のツッコミどころなく、合法的に特大荷物スペースを2座席分占有できます!

長かった…ようやくJR東海に完全勝利する方法が見つかりましたよ…。

あれ?でも、よくよく考えると、嫁様と一緒に輪行先まで行って、そのあと別行動って二人で出かけた意味なさ過ぎじゃないですか?

というか、一人で自転車乗るよりも、嫁様と一緒に遊んだ方が明らかに楽しいよね?

そうしたら、ただの家族旅行でいいじゃん

終了!!!

コンディション・グリーン。

  • 普通車ではダメ。
  • 2座席分のチケットを買ってもダメ。
  • 自転車を1人扱いするのもダメ。
  • 嫁様と行くなら、普通に家族旅行の方がいい。

思い浮かべる手法のすべてが、ゲンコラのごとく否定されまくりです。

もはや、ペダルからクリートを外すしかない(チャレンジを諦めることの自転車乗り的比喩表現)のか……。

いや、まだだ!

最後にひとつだけあった、逆転できる方法が!

JR東海の頬に札束パンチをお見舞いして、一撃逆転できる方法。それは「グリーン車に乗車する」ことです。

2×2列で座席の幅が広く、足元スペースにも余裕があるグリーン車。これなら、大きな輪行荷物だって、余裕を持って置けるはず。

だって可能性感じたんだ、そうだ…ススメ!後悔したくない 目の前に僕らの道がある!!

というわけで、実際にグリーン車に乗って実験してみることにしました。

新幹線グリーン車

この実験にあたって、もっとも高い壁は高額のグリーン料金。いや、本当にシャレにならない高さなんですよ。

なので、なんとか交通費を削減する必要がありましたが、こちとら自転車乗りの端くれです。「自走」という電車代節約の、究極奥義が使えるじゃありませんか!

横浜を日が変わる前に出発して夜通し走り続けて、片道分の電車賃をゼロにしてしまえば費用負担は半分でよくなります。もはや、これ以外の選択肢はありません。

始発のこだま号が発車するのは、三島駅。その手前には「箱根」という坂アンド坂が延々と続く地獄が、手ぐすねひいて待ち構えています。

でもまぁ、最近はZWIFTでペダルを回し続けて、脚力は以前よりも明らかにアップしています。箱根がいくらキツくても、そうそう簡単には…ズタズタのボロボロにされました。

特に宮ノ下を左に折れたあとの凶悪な斜度と、小涌谷を超えたあとのまったく終わる気配のない上りには、脚と心を再起不能なレベルでメッタ刺しにされています。やっぱり…やっぱり坂は最低だ…!!

三島駅まで自走

いつにも増して瀕死に近い状態で峠を越えて、余裕ゼロの時間にようやく三島駅に到着。縦置き輪行袋の定番的製品「オーストリッチ SL-100」に自転車を収めて、ドタバタとホームに上がりました。

オーストリッチ SL-100

滑り込んできた、始発のこだま800号に乗車。早朝始発のグリーン車、車内はもちろんガラガラです。

さあ、高いお金を出して買ったチケットの威力を行使しまくって、座席後部スペースの広さを測りまくりますよ!!

グリーン車の真実。

どれだけ余裕のあるスペースがあるのか、期待に胸を高めまくって乗り込んだグリーン車。その直後、自分は目の前に広がる光景を目の当たりにして、完全にフリーズせざるを得ませんでした。

…どうして…どうしてこうなった…?

グリーン車の座席後部スペース

わけがわからない…わけがわからないよ!!

グリーン車の座席後部スペース

広々とした座席後部スペースを埋め尽くす、4枚のフットレスト。コレ自転車どころかトランクだって、置きにくいことこの上ないですよね?

ここに荷物を置きたいと思ったら、予約無しのときは1,000円!?

…ないわー。

▼無理矢理置いたらこんな感じ。

グリーン車の座席後部スペース

そりゃあ東海道新幹線のグリーン席を使うメイン層は、巨大な荷物を持ち込む輪行サイクリストなんかじゃありません。普通に考えて、東京大阪を往復するシャチョさん方をはじめとするビジネスパーソンでしょう。この中核顧客層に最高の快適性を提供するように作れば、まぁこうなりますよね…。

「グリーン車を使う」は、打開策にはならない。それが、乗車直後にわかってしまいました。

そして各駅停車のこだまとはいえ、新幹線は恐ろしいスピードで東海道をカッとんでいきます。本当なら広々としたグリーン車でゆったり過ごすプレミアムな時間は、計測と撮影だけで終了。なんということでしょう…!

今回の調査で…我々は…今回も…!!
なんの成果も!! 得られませんでした!!

私が無能なばかりに…!!
ただいたずらにグリーン料金を浪費し…!!
特大荷物スペースの制度実施後に、ぼっちが安心して輪行する方法を…!!
突き止めることができませんでした!!

JR東海の頬を札束で引っ叩けたと思ったら、瞬時に猛烈なカウンターパンチを喰らって無残なKO負け。高額のグリーン料金を、東海道へ無駄に散らしたのでありました。

ぼっちでも、快適に輪行できる打開策を見つけたかった…。なのにゼロだったんだよ!悔しいじゃん!!差がすごいあるとか、昔とは違うとか、そんなのどうでもいい!悔しい!やっぱり私…悔しいんだよ…。

追記:

JR九州のリリースに「一部の最後部座席(壁側)のフットレストを撤去」という記述がありました(MARUちゃん様、ご指摘ありがとうございます!)。

その場合、使えるスペースを雑に計算してみると、W75cm×D50cm程度になりそうです(座席側のフットレストが跳ね上げられる構造なら、もっと広く使えるのですが)。

輪行袋は、やっぱり大幅にはみ出してしまう感じです。自席後方スペースの幅には、収められそうにありません。

さようなら、東海道新幹線輪行。

まぁ、そんなわけで特大荷物スペースの制度が実施されたら、ぼっちが安心して東海道・山陽・九州新幹線で、ロードバイクをトラブルリスク無しで輪行する方法は消え去ります。多分。

ぼっちロードバイク乗りが、新幹線輪行で無用なトラブルに遭遇したくないのであれば、

「東海道方面での輪行に、新幹線は使わない」

または

「新幹線で輪行するなら、JR東日本を使う」

という選択をするほかありません。

さようなら。時速256キロ、青い光の超特急。

ところで、ぼっちロードバイク乗りに冷たすぎるJR東海・山陽・九州新幹線に比べて、JR東日本の新幹線はどうでしょうか。

特大荷物スペースつき座席の制度の導入予定は無いですし、そもそもJR東日本の新幹線にはトランクなどを置ける荷物スペースがバッチリあるんですよね。

東海道新幹線

ロードバイクを輪行して出かけるなら、JR東日本の新幹線を使う。これからは、もうコレ一択でしょう!輪行で出かけるなら、長野、北陸、上越、東北、北海道方面へ行きましょう!

ただし、これから冬の寒い寒い寒い寒い季節が到来。そしてJR東日本の新幹線で行けるのは、明らかに関東より寒い寒い寒い寒い地域ばかり。

これ「ぼっちはおとなしく部屋に閉じこもってZWIFTしてろ!」ってことですかねぇ。

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